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世界の主要な取引所の1つである、ロンドン証券取引所(LSE)。その子会社であるイタリア証券取引所が、IBMのブロックチェーンを利用して証券データをデジタル化する計画を発表したと、ビットコイン・マガジンが伝えました。LSEとIBMの協働により、ヨーロッパの中小企業と株主が相互にやり取りすることが可能になり、株主の取引をすべて記録することで情報の追跡や管理の簡素化が期待されています。
LSEのシニアプレスオフィサーであるエド・クラークは、「中小企業が現在使われているような不透明で非効率的な紙ベースのシステムをデータベース化できる可能性がある。透明性が向上することで将来的にトレードの機会も増えるでしょう」と述べています。
クラークはIBMとの共同開発はイタリアの子会社によって始められたことを強調し、「LSEの技術者らが提案してビジネスケースに使われるのではなく、イタリア証券取引所から出たビジネス主導の、ボトムアップのアプローチです」と述べました。
この計画は、LSEのパートナー会社や顧客との最初のテスト段階にあり、目下のところ、ブロックチェーンと取引所の専門家たちの承認を得つつあります。
取引所に助言をする会社である、DVアドバイザーズのエグゼクティブディレクターであるパトリック・ヤンは、「LSEがブロックチェーン技術を企業のデータ管理に適用することは非常に理にかなっている。非分散型技術を撤廃するようなラディカルなシフトとは異なり、シンプルな第1ステップといえる」と語りました。
このIBMと共同で開発が進められるブロックチェーンのソリューションは、商業にも使うことのできる非常に高レベルの暗号化を用いたインフラ技術をもとに設計されています。
LSEはブロックチェーン技術を使うことを発表したヨーロッパ最初の企業というわけではありません。今年に入り、中小企業向けのブロックチェーンを基盤としたトレードファイナンスの計画を発表したヨーロッバの銀行はたくさんあります。その中には、アメリカン・インターナショナルグループとスタンダード・チャータード銀行も含まれます。
黎明期のブロックチェーンのテック企業に融資や管理を行う企業であるコインシリウムのCEOであるエディ・トラヴィアは、「ブロックチェーン技術は、取引の自動化やスマートコントラクトを通じて仲介業者などの操業コストを削減することで効率化と能率化を劇的に向上させるポテンシャルを持っています」と語りました。
IBMはブロックチェーン技術を、セキュリティプランの重要な一部とみなしています。ブロックチェーン技術はブロックチェーンのフレームワークであるハイパーレジャーファブリックver1.0を基盤に設計されています。リナックスフォウンデーションがさまざまなプロジェクトを主催していて、ハイパーレジャーファブリックver1.0によってセキュリティを保ったまま許可を与えられたネットワーク参加者が繊細なセキュリティデータを共有することが可能になります。
トラヴィアはさらに、「ハイパーレジャーは許可参加型のブロックチェーンソリューションによって大企業をターゲット顧客とするでしょう。しかし、将来的には本当の分散型パブリック・ブロックチェーンと連邦化されたノードのバランスが取れたソリューションを提供するRSKのようなブロックチェーン計画が採用されるでしょう」と述べています。
「セキュアで透明なネットワークデータを株主のネットワーク上で共有するのは従来のシステムでは難しい」IBMブロックチェーンのゼネラルマネージャーであるマリー・ウィエックはこう述べます。「ブロックチェーン技術は価値の移動の手段として従来的なシステムが抱えていたバリアを取り除く助けになります。これは90年台後半にインターネットが情報の交換に果たした役割と同じです」。