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ビットコインに未来はあるのか?承認方法から仮想通貨の将来を徹底分析

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皆さんはビットコインの承認方法についてはご存知ですか?

ビットコインが使う承認方法、それがPoW(Proof of Work)です。

ビットコインはこのPoWでブロックチェーン上に取引データを記録しています。

今回はビットコインをはじめとする仮想通貨の承認方法という視点から、コインの将来を徹底分析していきます。

ビットコインが世界を滅ぼす?

ビットコインやモナコインなどの多くのコインが用いる承認方法、それがPoW(Proof of Work)です。

仕事量(Work)に応じて承認することが出来、報酬としてトークンがもらえる仕組みとなっています。

この仕事量とは計算量のことを指し、膨大な量の計算を早く行うことで報酬がもらえます。そのため計算能力の高いコンピューターとそれを動かす電気が必要となります。 この計算処理することをマイニングと呼びます。

時価総額1位に君臨し続けるビットコインですが、仮想通貨関連者からは「PoWはもう古い!」とまで言われるようになってしまいました。

なぜビットコインは古いとまで言われるようになってしまったのでしょうか?

ビットコインが乗っ取られる・・・PoWを狙った様々な攻撃

最近、ビットコインの承認方法であるPoWを狙ったデータ改ざんが見られました。

PoWの特徴はコンピューターの計算量に応じてブロックを承認することが出来ます。このブロックチェーンを分岐させ、不正なブロックを承認させる(≒ ブロックチェーンの乗っ取り)にはネットワーク全体の51%の計算量が必要です。

これより、51%以上の計算量によってブロックチェーン上のデータを改ざんすることを「51%攻撃」と言います。

PoWはこの「51%攻撃」によるデータ改ざんの危険性を懸念されています。

それ以外にも、他の攻撃方法でPoWを採用する仮想通貨が被害を受けるということがありました。

モナコインが「巻き戻し攻撃」を受け1000万円の被害

2018年5月にPoWを採用するナコインが「巻き戻し攻撃」を受けました

これはPoWの欠点をつく攻撃で、悪意のあるマイナーがブロックを隠し持ち続けることで不正なブロックチェーンを承認するというものです。

このマイナーの計算能力が非常に高かったため、この不正が成立してしまいました。

ビットコインゴールドが「二重攻撃」を受け1,800万ドルの被害

2018年5月にビットコインからハードフォークしたビットコインゴールドが「二重攻撃」を受けました

これもPoWを狙ったデータ改ざんです。

悪意のあるマイナーがブロックチェーンシステムをコントロールするほどの計算能力を持っていました。

このマイナーにより、同じコインによる2つの取引データを両方承認することが出来てしまいました。

このようにビットコインが採用するPoWには様々な弱点があります。

しかし、ビットコインが抱える問題はこれだけではありません。

ビットコインにない未来

PoWが抱える大きな問題の一つが消費電力問題です。

ビットコインの承認作業を行うときに必要なものは計算量です。

コンピューターが承認作業を行うときに必要なものは計算量です。コンピューターが高度な計算を行うには莫大な量の電力が必要になります。

この消費電力をめぐる問題が、近年議論されています。

マイニングが世界の電力を食い潰す

世界の消費電力は年々上昇しています。

1990年:10,000テラワット

2017年:20,000テラワット

2020年:40,000テラワット

にまでのぼると言われています。

この大きな要因が仮想通貨のマイニングにあるようです。

現在ビットコインは一日に40万トランザクションの取引が行われていて、その際の消費電力は400ギガワットにもなります。

なんとビットコインの1日の消費電力はハイチの1年分の消費電力に匹敵します。

(ちなみに東京ディズニーリゾートの1日の消費電力量は約57万kw、東京ドームで巨人軍が 30回試合をすると消費電力量は約1080万kwです)

このままトランザクションが増加し、PoWによるマイニングが続けば地球規模の電力問題になることは想像に難くありません。

「革命的な電力生産技術(再生可能エネルギー)」または「革新的な承認方法技術」が訪れなければ、この問題は解決されないでしょう。

PoWは地球環境の「敵」なのか

現在も世界規模で、地球温暖化について議論されています。

パリ協定では地球温暖化防止策を目指して、温室効果ガスの排出について2020年以降の各国の取り組みを決めた国際的なルールも定められました。

もし世界がPoWを規制し始めたら

パリ協定のように 国際的な規制の強制力がPoWにまで及べば、PoWを壊滅に追い込むかもしれません。

世界的な地球環境への取り組みが、PoWの電力問題について取り上げられるのも時間の問題だと考えられます。

規制によって、PoWによるマイニングが崩壊すれば・・・

ビットコインをはじめとするPoWを利用した仮想通貨は電子クズ同然になってしまうかもしれません。

問題山積みのPoW。

それでも尚、ビットコインがPoWを止めないのは何故なのでしょうか?

ビットコインがPoWを止められないワケ

「欠点だらけのPoWなんて止めて、他の承認方法にすればいいのに」

と思う人もいると思います。

しかし、ビットコインには承認方法を簡単に変えられない理由があるのです。

ビットコインのしがらみ① マイニングプールによる利権争い

現在、ビットコインの承認作業の多くは事業化され、「マイニングプール」というマイニングによって利益を得る団体に行われています。

近年、マイニングプールの存在が大きくなりすぎて、システムを変更する際にもマイニングプールを無視できない状態になっています。

ビットコインはアップデートするにも一苦労

以前、ビットコインが抱える問題の解決に向けて、「Segwit(セグウィット)」という技術を導入するかで議論がされました。

というのも、Segwitを導入するとマイニングプールにとって不都合な点が生じるため大手マイニングプールがSegwitの導入を反対したのです。

結局、ビットコインはSegwitを導入しましたが、この争いを受けてSegwitを導入しないビットコインキャッシュがハードフォーク(分裂)するという形になりました。

このようにマイニングプールの存在が大きくなりすぎてビットコインのアップデートの際にはマイニングプールの存在が付きまといます。

マイニングプールはPoWによって利益を得たいわけですからPoWを廃止して、別の承認方法に移行しようとしたら、マイニングプールが黙っていないでしょうね。

※Segwit・・・ビットコインの取引量増加に伴い1ブロック1MBでは足りなくなったため、データを圧縮することで、取引データを記録する方法。ビットコインキャッシュはSegwit の導入をせずに、1ブロックを8MBとしている。

ビットコインのしがらみ② 『承認方法移行の難しさ』

例えば、時価総額第2位のイーサリアムはPoWから離れようとしています。

別の承認方法である、PoSに移行することが注目されています。

しかし、PoSへの移行はそんな簡単なものではありません。

(PoSの説明は後述)

イーサリアムのPoS移行に備えたディフィカルティ・ボム

イーサリアムはPoSへの移行に向けて、長い時間をかけて準備をしてきました。

「ディフィカルティ・ボム」という時限爆弾のようなものを設定し、徐々にPoSへの移行の必要性を高めていくという方法を取りました。

この「ディフィカルティ・ボム」というものは、指数関数的にマイニングの難易度を上げていき、最終的にはマイニング出来ない状態にし、PoSへ移行しようというものです。

イーサリアムは2015年9月にこのアルゴリズムを追加しました。

このように、承認方法を変えるといってもイーサリアムのように長い時間をかけて、計画的に移行を進めていかなければ、不具合が生じたり、ユーザーが離れていったりしまいます。

では、次の世代を見据えた仮想通貨(承認方法)はあるのでしょうか?

PoWはもう古い?次世代の承認方法たち

PoWの問題をまとめると次のようになります。

・マイニングの際に電気代、人件費といったコストがかかる。

・51%攻撃などのリスクがある。

・マイニングプールによるマイニングの寡占と決定権の集中。

PoWより優れた承認方法はないのでしょうか?

次からご紹介するのは、PoWがもつ問題を改善するべく生まれてきた承認方法たちです。

ここまでお読みいただいた方なら、

これを「知ってる人」「知らない人」で投資のやり方も変わってくることに気付いたのではないでしょうか。

ここからが仮想通貨のトレードに重要な情報です。

PoWの欠点を改善するために生まれたPoS

PoWの欠点を改善した承認方法がPoSです。

PoSはコインを保有している割合(Stake)Stakeによってブロックの承認の割合を決める仕組みです。

コインを多く保有しているほど計算範囲が狭くなり、ブロックを承認しやすくなります。

これにより、計算能力の高いコンピューターが不要となり、マイニングもムダ(電気代、人件費など)を省くことが可能です。

イーサリアムもPoSへ移行

前述しましたが、イーサリアムも従来の承認方法であるPoWからPoSへの移行を予定しています。

イーサリアムは全4段階のアップデートを予定しています。

第3段階目のメトロポリスから第4段階目のセレニティのアップデートの際にPoSへの移行を予定しています。

PoSの今後の展望

イーサリアムもPoSへの移行を進めている事もあり、PoSは現在注目されている承認方法の1つだと思います。

仮想通貨の時価総額ランキングを見てみると、PoSを採用する仮想通貨はPoWに次いで2番目に多いです。

PoWに上位お占められてはいますが、今後の市場の動向次第えは上位をPoSが占める可能性も高いように思います。

<その他PoSを採用している仮想通貨>
EOS(DPos), Cardano, Qtum, OmiseGO, Lisk(DPoS), Nano (DPoS), Stratis, Waves, BitShares, RChain, Hshareなど

(仮想通貨四季報夏号における時価増額ランキングTOP50より)

※DPoSは厳密にはPoSとは異なるが、保有量をもとに承認者を決めているため記載

仮想通貨の寡占を防ぐ承認方法、PoIとは?

前述したPoSはコインの保有量が多いほど承認がしやすくなるというものでしたが、PoIはさらに「コインの取引量」も関係してきます。

実はPoSにはまだ欠点があります。

コインを持っているほど有利であるため、承認を有利に進めたいと思う人は「コインをずっと持ち続けてやる!」という考えが働いてしまう可能性があります。

コインを大量に持ったマイナーのみが報酬をもらい続けてしまうと、流動性が悪くなり寡占状態に陥ってしまいます。

その欠点を解決しようとしたものがPoIです。

健全な流動性を維持するために、「保有量」×「取引量」が多いマイナーがブロックを承認しやすくなっています。

PoIを採用する仮想通貨はNEMなどがあります。

PoIの今後の展望

PoIを採用する主要な仮想通貨は現在NEMしかありません。

しかし、承認方法においてはPoSの課題が解決されているためPoSよりも優れているように思えます。

今後、承認方法の変更先としてPoIを採用する仮想通貨も出てくるかもしれません。

上位仮想通貨の承認方法まとめ

承認方法はPoW、PoS、PoIだけではありません。

上位仮想通貨の承認方法についてまとめてみました。

承認方法 概要
・PoC

(Proof of Consensus)

運営側が認めた人のみが承認を行うことが出来る。
(Ripple、Stellar Lumensなど)
・DAG

(有効非循環グラフ)

ブロックチェーンを用いない承認方法。取引手数料もマイニングも必要ない。ユーザーが互いにトランザクションを承認することで成り立っている。
(IOTA、Byteballなど)
・PoB

(Proof of Burn)

仮想通貨を燃やす(=一生使えなくする)ことで承認する。誰も分からない秘密鍵にコインを送金して一生使えなくなることで、トークンを得る。
(カウンターパーティ、BinanceCoin、Siacoinなど)
・PoA

(Proof of Asset)

金などの資産を持つことで記録を証明する。(DigixDAO、Populousなど)
・BFT

(Byzantine Fault Tolerant)

トークン保有者が投票によってブロックキーパーと呼ばれる代表者を選出。選ばれたブロックキーパーが取引を承認して、新しいブロックを生成するというもの。
(NEO、Ontologyなど)
・DPoS

(Delegated Proof of Asset)

コインの「保有量」「取引量」が多い人の中から投票で承認者を選出する方法。(EOS、Lisk、Nano、BitSharesなど)
承認方法はこれだけでは収まらず、まだまだたくさん存在します。

草コインレベルになると、より複雑な承認方法が存在したりします。

承認方法からコインの将来性が見えてくる?

以上のように仮想通貨にとって承認方法とはコインの将来を決める大切な機能の一つと言えます。

仮想通貨を新しく買う際は、今後は承認方法も判断材料の1つとして考えてみるのもオススメです。

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