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仮想通貨は、高い有用性や将来性が期待されている一方で、詐欺に悪用されるケースも少なくありません。
今回は、今年に入ってから詐欺の疑惑が生じている仮想通貨Foin(フォイン)についてご紹介します。
仮想通貨Foin(フォイン)の基本情報
仮想通貨Foin(フォイン)は「金融分野に、分散型でP2Pの仮想通貨をもたらす」ことを目的とした仮想通貨プロジェクトです。
公式サイトによれば、拠点はウクライナ・キエフで、Ruslan Salatovという人物がCEOとなています。
現段階での上場取引所は、P2PB2B、Hotbit、CryptoBridgeの3つです。
さらに、OKEXにも上場予定であるかのように公式サイトで掲載されています。
詐欺の疑惑も持たれている中でこのような大きな取引所に上場した場合、市場が混乱する可能性もあります。
疑惑を持たれている理由
不自然なチャートの動き
「価格下落→一気に回復」という不自然な動きが何度も起こっています。
通常、価格が下落してからすぐにぴったり同水準の価格に戻るということは何度も起きないはずなので不可解です。
Githubの開発進捗が1年以上未更新
GitHub進捗状況を確認すると、2018年5月に1度だけ投稿されて以来、1年以上進捗がありません。
さらに、唯一の2018年5月の投稿内容は、公式サイトのオープンを知らせるものであり、Foin(フォイン)のブロックチェーンがどのような仕組みで成り立っているのか不明です。
ポンジ・スキームと見られる体験談
インターネット上で「Foin」で調べると、海外の仮想通貨であるにも関わらず、日本人によるポンジ・スキームと見られる体験談が複数投稿されていることを確認できます。
ポンジ・スキームとは
ポンジ・スキームとは、仮想通貨詐欺によく用いられる詐欺手法です。
「『出資してもらった資金を運用し、その利益を出資者に(配当金などとして)還元する』などと謳っておきながら、謳っていることとは異なって実際には資金運用を行わず、後から参加させる別の出資者から新たに集めたお金を(やはり運用せず)以前からの出資者に“配当金”などと偽って渡すことで、あたかも資金運用が行われ利益が生まれてそれが配当されているかのように装うもののこと」(Wikipediaより)を指します。
自転車操業の状態で自社で生み出す価値が無いため、かなり危ない詐欺ビジネスです。
Foin(フォイン)の事例
インターネット上で複数確認できるFoin(フォイン)のポンジ・スキームと見られる体験談による
「Foinを運営しているFinancial.orgという会社に投資すると、資金運用の結果、月利15%を得ることができる」「他の知り合いを勧誘すればもっと利益を得られる」と知り合いやセミナー経由で勧誘されるケースがあるようです。
しかし、資金運用に使われるとされるAIシステムの仕組みが不可解、紹介業以外の会社のビジネスモデルが不明瞭といった懸念があります。
以上より、実際には資金運用を行わず、他の出資者から集めたお金で以前からの出資者に「配当金」と偽って手渡すポンジ・スキームである可能性が高いと言えます。
運営企業Financial.orgとは
Foinの運営会社とされているFinancial.orgについて詳しく見てみましょう。
FoinとFinancial.orgの繋がり
CoinMarketCapでFoinのページを確認すると、通常は表示されない忠告文が掲載されます。
そして、FoinとFinancial.orgの間に繋がりがある可能性が高いとが分かります。
赤い枠の中には「我々は、多くの規制当局の監視対象に入っている団体、Fiaicial. orgがFoinと提携しているという報告書を受理しました。ご自身の注意義務を果たして下さい。」と記載されています。
閉鎖された公式サイト
現在、Financial.orgの公式サイトは閉鎖されており、公式サイトから情報を取ることができません。
「操作を停止しました。トークンの要求方法は2019年8月に公開済です。」という文言だけが表示されます。
Foinのトークンは2019年の7月(11月という説もあり)まで出金できないという情報があり、「トークンの要求方法」はそれに関連するものと見られます。
ロイターによって暴かれたFinancial.orgの実態
公式サイトからは十分に情報を得られない状態ですが、Financial.orgについてのロイターの独占記事より、以下の重要な情報を得ることができました。
Financial.orgはイギリスに拠点がある会社で、2018年1月の時点で著名なF1チームや教育ビジネスのスポンサーとなっています。
しかし、法で義務付けられている金融取引ライセンスを取得していないにも関わらず、アジアの投資家から莫大な資金を集めている会社です。
出資者には「アメリカの優良企業に投資して資金運用をしている」と説明しており、ロイターが接触した複数のFinancial.orgの投資家は利益を上げることができたと語っています。
しかし、ロイターは実際に株取引が行われたかどうかを確認できなかったようです。
同社は2年前、英国の公式の会社登記簿に不動産業として登録しました。
イギリスの企業登録会社であるCompanies Houseは、1月23日に決算書を提出していないため、同社を削除する準備を進めていると述べました。
会社が削除された場合、会社の資産は州に引き渡されることになります。
よって、明らかに健全な企業ではないと分かります。
Financial.orgに対する各国規制当局の反応
各国規制当局もFinancial.orgに対して厳しい姿勢をとっています。
フィリピンの証券取引委員会は、Finaicial.orgのような無許可の投資案件を紹介した場合、最大21年の懲役が課されると警告しました。
さらに、マレーシア、シンガポール、インドネシア、タイの規制当局は、Financial.orgを、投資家への要注意企業警告リストに掲載しました。
そして、アラブ首長国連邦証券・商品委員会は、「UAE当局はFinaicial.orgのウェブサイトとサービスが、金融商品を扱っているため、投資家に警告する」と述べました。
計6カ国がFinaicial.orgに対して警告を出していることになります。
そのような会社が運営していると見られるFoinも決して安全だとは言えないでしょう。
まとめ
仮想通貨は発展途上だからこそ、大きな伸びしろや可能性を秘めています。
その一方で、このような違法行為の温床となっていることも否定できません。
信頼できる情報をしっかりと収集し、正しい判断ができるようになりたいですね。