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Bitcoinのボラティリティは、実はビットコインクジラのせいではない、という調査結果

Bitcoinのボラティリティは、実はビットコインクジラのせいではない、という調査結果

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ブロックチェーン研究企業のChainalysisの10月に公開された最新の研究結果によると、いわゆるビットコインクジラは価格変動(ボラティリティ)の原因ではないと言います。

クジラは、ビットコインの4割を所有する個人や企業の投資家と言われています。

8月に15%の下落があった際に、20億ドルのビットコインクジラによる50,500BTCのキャッシュアウトの疑いなど、恐れを強調するようなBloombergの報道もありました。

これまで、このクジラが動く時に価格変動が生じるというのが定説でしたが、これを覆す結果に興味がそそられます。

この研究では、8月現在で32に及ぶ規模の大きいBTCウォレットの取引履歴を分析しています。
そのウォレットの額は、100万BTC(約63億ドル)に上ります。

Chainalysisデータによると、ビットコインクジラには多様なグループがあり、そのうちの3分の1だけがアクティブトレーダーだとわかりました。

取引所にない100万BTCのウォレット所有者の内訳

調査では、ビットコインクジラを4つのタイプ別にしました。

Traders:トレーダーズクジラ
最も多いカテゴリが、アクティブなトレーダーズクジラの9つのウォレット。彼らは常時取引所でBTC取引を行います。
このBTC所有者グループは332,000コイン、20億ドル以上をコントロールしていますが、全クジラの3分の1(33.1%)のみです。彼らの大半は2017年にマーケットに参加したトレーダーということです。

Miners/Early Adopters:マイナー・早期導入者
2番目のグループはマイナーと早期導入者で、15の投資家、トータルで332,000コイン(20億ドル強に相当)を保有している人たちです。このグループの取引活動は極端に低いです。彼らの多くは、BTC価格が高騰した2016年から2017年にかなりを売却したと報告されています。おそらく今は、とてつもなく裕福な暮らしをしていると思われます。

残る二つのカテゴリは、

Criminals:犯罪クジラ
「犯罪」クジラは最小セグメントでウォレットは3つ、125,000コイン以上(資産額7億9000万ドル)を保有します。
3つの内の二つはシルクロードのダークマーケットに繋がっており、もう一つはマネーロンダリングに拘わっているようです。

Lost:消失クジラ
「消失」クジラは21.2%のシェアを占め、212,000コイン以上で13億ドル相当になります。これらのウォレットは、オーナーがプライベートキーをなくして自分のビットコインにアクセスできなくなったものです。定義上は、2011年以来この「消失」クジラからは一切のトランザクションもみつかっていません。

このように分類して見ると、クジラがボラティリティを主導しているのかという問いに対して、データが示す答えはゴシップの期待とは反対です。

実は、価格変動を起こすどころか安定ファクターとなっているクジラ

これらのトレーディングをするクジラ(トレーダーズクジラ)は確かにマーケットを動かすに十分な規模のトランザクションをする能力を持っていますが、取引履歴を見ると、彼らは価格下落時に買って(投資)います。

彼らはプロフェッショナルで、マーケットに急に大きな投資をする趣向はないようです。

流動性が必要な時には、市場の混乱を最小限に抑える大規模な取引を管理する為のOTC取引(オーバーザカウンター取引)プラットフォームを使う可能性が高いです。

このトレーダーズクジラは、2017年と2018年の大きな価格下落の間、BTCの利益が出せる買い方のできるnet purchasersでした。取引所の取引データは取得していませんが、これらのウォレットでのビットコインの純利益と損失を計算します。

純益の動きを見れば、トレーダーズクジラがビットコインを大量の額では売りさばいていなかったということを示します。というより彼らは2016年後期と2017年では取引所からビットコインを受けれいていたnet receiversだったといえます。

概してトレーダーズクジラは、価格低下の時に買っていたことがわかり、マーケットにおいて不安定要素というよりはむしろ、安定させていたということを示唆している、と研究結果では読み取れます。

ビットコインクジラのミステリアス性が故の噂

2017年12月には、BTC価格が19,000ドルに高騰し、コミュニティは全BTCの40パーセントを所有する1000人がBTCを同時に現金化したらどうなってしまうのかと危惧し始めました。
市場に供給過多を起こすのに十分なコインをクジラによって組織的に売りさばかれたら、特定のトレーダーの利益となるような価格沈下を起こし得たでしょう。

お互いに連絡を取り合ってそれぐらいを持っている人物が数百人はいるだろうとも言われました。

ビットコインクジラは投資家にとって今後も魅力の対象となるでしょう。彼らの豊かな富と匿名性が本質的に興味をそそるのです。

しかし、彼らのリッチで有名なゴシップ的ライフスタイルのことではなく、巨大なビットコインホルダーがマーケットに相互作用する影響についてのリアルなデータ分析を有効活用することが必要です。

今回の調査では、ビットコインクジラが巨大で、ある意味ミステリアスではあっても、多くの人々が思うほど市場価格に与えるインパクトは少ないことを示しています。

憶測やゴシップに裏付けられたセンセーショナルな報道に振り回されず、冷静に分析する姿勢を持ちたいものですね。

参考サイト:
”https://blog.chainalysis.com/reports/bitcoin-whales-oct”
”https://cointelegraph.com/news/study-bitcoin-whales-are-not-responsible-for-volatility”
”https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-09-13/mystery-of-the-2-billion-bitcoin-whale-that-fueled-a-selloff”

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