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ビットコイン先物がシカゴ取引所に年内上場

ビットコイン先物がシカゴ取引所に年内上場

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米国を代表するデリバティブ取引所のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)がビットコインの先物取引を12月18日に開始すると発表しました(※12月2日追記)。これを受けてBloombergBitcoin.com、日本では日経新聞でも報じられました。

CME news release

CMEとは?

米シカゴにある世界最大の金融商品の先物取引所で、1898年にシカゴ・バター・卵取引所としてシカゴ商品取引所から独立して1919年にシカゴ・マーカンタイル取引所となった歴史ある取引所です。

2007年にシカゴ商品取引所CBOTを買収してCMEグループを設立、その後2008年にはNYMEXニューヨーク・マーカンタイル取引所を、2012年にはカンザスシティー証券取引所KCBTを買収して、2013年にはロンドンにCMヨーロッパ(CME Europe)を開設しました。1994年にNYMEXと合併していたCOMEX(コメックス:ニューヨーク商品取引所)も傘下にし、世界の金価格の指標的な存在となっている金先物(NY金)市場を運営しています。

CMEはCMEグループとなったことで、Agriculture(農産物)、Interest Rate(金利)、FX(通貨)、Equities(株価指数)などの先物・オプションを取り扱う世界最大規模の取引所グループになりました。その中で日経平均の株価指数先物・オプションや日本円の通貨先物・オプションなどを扱っているため、日本の投資家も非常に注目しています。CMEは、先物・オプション取引を世界に接続可能なCME Globexで電子取引プラットフォームを提供し、世界最大のデリバティブ取引清算機関で清算・決済を行うCME Clearingを活用するなど、取引システムも開発しています。

先物取引とは?

先物取引とは、ある対象商品を将来の一定の期日に、今の時点で取り決めた価格で取引することを約束(保証)する契約であり、いつ・何を・いくらで売買するという「未来の取引を約束する契約」のことです。この取引の歴史は非常に古く、江戸時代の18世紀、大阪堂島の米市場などが先物取引の原型だといわれています。天候に左右されて米の需要と供給のバランスが崩れたことも多かった時代、その価格を安定させようというのが狙いでした。

デリバティブというのは、このような先物取引を含めた金融派生商品であり、ほかにオプション取引やスワップ取引などがあります。それぞれの取引の始まりを調べてみると面白いですね。

ここまでは、前知識ですが、
世界の金融を左右するほどの大きな市場を持っているこのCMEが仮想通貨の代表ビットコインを年内に先物取引を開始すると発表したのです。
CMEはこれまで、この方針とは逆の立場だったのですが、CME Groupの発表によると、

進化する仮想通貨市場に関心をもつ顧客がどんどん増えていることを考えて決定した

と、CEOのTerry Duffy氏は言っています。

これまで「ビットコインを先物取引しようなどという気はさらさらない」としていた方針の転換理由に、顧客の仮想通貨市場への興味が増大していることを挙げていますが、その方針転換の背景には、シカゴオプション取引所のCBOEとGemini Trustが夏に共同発表している取引所Geminiでのビットコイン先物取引の年内開始計画や、LedgerX社がすでにオプションやスワップ取引を行っていることが方針転換の一因なのではという記事も見かけます。

そうはいっても、CMEは、2016年11月よりCrypto Facilitiesと協力してCME CF Bitcoin Reference Rate(BRR) を計算して公表しています。

これは、IOSCO(証券監督者国際機構、通称イオスコ)の法令・規則に従って、金融指標を示すよう設計されているビットコインの参照レートで、元となる価格データはBitstamp, GDAX, itBit やKraken などの取引所から提供されています。ロンドン時間PM4:00時点における1BTCのUSD建ての価格を計算してビットコインの大きな現物相場の流れを総計しています。

さらに両社はCME CF Bitcoin Real Time Index(BRTI)も公開しており、これはビットコインのスポットマーケットに透明性を提供すべく、リアルタイムに公開されており、ポートフォリオを作りやすく、日中足のビットコイン取引やリスクマネージメントを実行します。

これらの商品を開発していることから、CMEは従来からビットコインの価格変動についてはデータを集めていたといえます。今回の先物取引にもこれらのデータに基づく米ドル・BTCレートの現金決済ベースで行われるようです。

金や株と同じ土俵に上がるのか?

予定通りにビットコイン先物取引が可能になれば重大なお墨付きを与えられた格好となり、メインストリームに流れる機会となります。

さらに、ビットコインの流動性はこの流れに乗って加速することが期待され、
デジタルアセットに基づく上場投資信託(ETF)を作ることも容易になるだろうという期待が、発表後のBTCの価格上昇に反映されているようです。

実際、Proshares Capital Management などのビットコインでのデリバティブに基づくETFを申請する会社の多くは、オプション取引のLedger X社や今回の先物取引のCMEを待って米国証券取引委員会 (SEC)に再申請することを決めています。

ビットコインは先物取引により金や株のような新しい資産クラスを築く

と、CMEのLeo Melamed名誉会長は言っています。

ビットコインの未来はとても明るいように見えますが、実際はこれに反対している人たちも多くいます。多くのウォールストリートの投資家の間では、やはりビットコイン取引の法整備が不十分で危険が多い、という声も多いようです。ビットコイン取引が正しく行われるよう詐欺問題の調査に取り組む姿勢になるまで、デリバティブ仮想通貨商品は認められるべきではないと主張しています。

CMEの発表に賛否両論があるのは当たり前ですが、毎週のようにビットコインをめぐる話題が賑わうなかで、誰もビットコインのこの先を見通せない状態です。まさに「先物取引」のようです。

世界の金融危機を招いたリーマンショックの教訓が生かされ、仮想通貨が表舞台に台頭した際に混乱を起こすことがないよう、見守るばかりです。

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