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べネズエラの仮想通貨Petro発表

venezuelaPETRO

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世界にはビットコインブロックチェーン技術を応用して自国の仮想通貨を作ると発表している国がいくつかあります。ロシアではプーチン大統領の命令で仮想通貨「クリプトルーブル」の話が出ているのは有名です。そして南米のベネズエラでも、自国の仮想通貨を発行するとの発表がありました。

ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、原油資源、ガス、金やダイヤモンドの埋蔵量に裏付けされた「Petro」という仮想通貨を作ると国営放送の日曜番組で12月3日に発表しました。時代は21世紀なのだ、と意気込む大統領ですが、その開始時期やどのようにして実行していくのかという問いに具体的な答えはありませんでした。

ベネズエラの苦しい経済状況

国をあげての仮想通貨Petro構想は、米国の経済制裁にあえぐ貧しいベネズエラの経済事情を打開したいという、大統領の思いから生まれたもののようです。

マドゥロ大統領は、米国から独裁者のレッテルを貼られており、ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)や政府当局への経済制裁がかけられています。債券支払いや、金融機関の取引は新規契約ができなくなっており、石油輸出の書類手続きが厳しく制限されているために、国の経済が立ち行かなくなっているのです。

また、ベネズエラ通貨のボリバルは急落しており、闇取引レートで、7月末には1ドル10,000ボリバルだったレートは、今や103,000ボリバルになりました。最低月給が4.30ドルという貧しい生活を国民に強いており、1日3度の食事にも事欠いている生活状況だといいます。IMFによるとベネズエラの経済は今年12%縮小しており、年間のインフレ率は、来年には2300%を超えると予測されています。

ビットコインとベネズエラ国民の結びつき

そんな経済状況のなかでも、日々の食料を確保し家族を守ろうとする市民は、ビットコインによって食料や薬などの生活必需品を購入することができたという背景があります。ギリシャでも先例があるように、国の経済が行き詰まると人々は仮想通貨に最後の頼みをつなぎます。それが仮に信頼に欠けるものでも、他に手段がなかったのです。ボリバルが大暴落すればするほど、仮想通貨の実用に応じた流通量が増えていったのです。

ベネズエラの国民のなかでもテクノロジーに詳しくビットコインに興味のある人は、1ドルに対するビットコインの価値と1ドルに対するボリバルの価値の大きな価格変動による差額で利益を出せることに気がつき、生活に必要なものを購入して飢えをしのいだりしていたというニュースもあります。

幸い、ベネズエラの電気代は実質的に無料なのでマイニングも盛んになりました。政府が取り締まりをかけても、食べるものがなくても、マイニングをする電気は手に入ったので、その手を休めることはなかったのです。これまでにも、ビットコインの世界では、もしかしたら世界で初のビットコインで生活できる主権国家になるのではという期待を寄せている記事もありました。

国の経済政策に行き詰まった大統領が、このビットコインのマーケットに注目をしたのも不思議ではありません。貿易と外国送金をはじめとする金融機関の機能が米国の制裁によって打撃を受ける状況のなかで、送金手段としてだけでなく投資目的としても価値が上昇しているビットコインに望みを持ったようです。

しかし、この大統領のPetro構想に反対の声も多く、実際に議会の承認を取りつけることができるか見通しは立っていません。数多くの論争のなかで仮想通貨が理解されるのか、業績不振のOPECメンバーがどうやってそんな偉業を成功させることができるのか、大統領は道化のようでとても信用できないなどと、強い批判をする政治家や経済学者もいます。

中央集権型の“国営”仮想通貨?

ビットコインの思想とは矛盾する中央集権型の“国営”仮想通貨は、法定通貨の仮想通貨版になるだけで、人々に恩恵をもたらすことができるのでしょうか。

具体的な予定が何も示されていないPetro構想は、今すぐに経済援助を差し伸べてほしい市民にとっては、気の遠くなるような国策に聞こえているようです。

仮想通貨によって貧困を乗り越えている市民は、価格を上げている仮想通貨の恩恵を受けて、たくましく生き抜いています。彼らの姿は、何があってもその価格を上げ続けるビットコインの力強さとオーバーラップするかのようで、国の思惑に左右されず中央集権を嫌うビットコインの思想に合致した姿に見えます。

大統領の希望がかない、ベネズエラ政府の財政危機がPetroによって立て直されることを願います。

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