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※2018年1月現在、日本向けTenXカードはまだ発行されておらず、その見通しも立っていません。CRIPCYでは、新規発行の情報が入り次第お伝えする予定です。
普段の生活で仮想通貨が使える
いくら仮想通貨が盛り上がっているとはいえ、いつもの生活パターンのなかで仮想通貨を使うことはまだありません。せいぜい、ビットコインに対応しているお店やATMを探し出して「試しに使ってみる」程度のことしか、仮想通貨の使用場面はありません。
ところが、いつもの日常生活で大いに活躍してくれるカードが登場しました。仮想通貨デビットカードのTenX(テンネクス)カードです。
使用方法はクレジットカードそのまま
どんな人でも、クレジットカードならお店やレストランなどで頻繁に使っていることでしょう。生活する上で必需品とさえいえるクレジットカードですが、その立場を代わりに担えるのがTenXカードなのです。
いつものコンビニ、レストランやデパートなどで、いつものクレジットカードを使うように、そのままTenXカードが使えてしまいます。
クレジットカードが使えるお店ならどこでもOKですが、2017年8月時点ではVISAかMasterCardの加盟店に限ります。
TenXカードの仕組み
こんなに便利な仮想通貨のデビットカードですが、一体どんな仕組みになっているのでしょうか。
Wirexカードやバンドルカードなど、仮想通貨のデビットカードはすでにいくつも存在しています。それらは専用のウォレットで日本円に両替した上でデビットカードに必要額をチャージして使用します。そのため、実質的には「法定通貨のプリペイドカード」となっていますし、為替手数料やチャージ手数料がかかります。
しかしTenX(テンネクス)カードは、仮想通貨のまま支払いに使えてしまうところが画期的なのです。
多くの仮想通貨に対応するTenXウォレット
まず特筆すべきは、TenXウォレットです。このウォレットはビットコインをはじめ、イーサリアム、ERC20(REP, TRST, ANTなど)、ダッシュと、多くの仮想通貨に対応する予定で、1つのウォレットでそれらの資産を管理できます。
これらの仮想通貨をTenXウォレットに入れておくことで、そこから直接TenXカードで支払うことができます。
つまり、TenXウォレットは銀行にある自分の口座であり、TenXカードで支払うと、瞬時にその口座から引かれて決済されます。TenXカードは、本来の意味で「仮想通貨のデビットカード」なのです。
TenXウォレットは、アンドロイド版とiOS版、WEB版があります(8月31日追記)。
手数料なしのリアルタイム換金決済
使い方はクレジットカードと変わりありません。これまでのようにカードを機械に挿し、暗証番号を入力するだけでOKです。
ただし、TenXウォレットで決済通貨(どの仮想通貨で支払うか)を選ぶ必要があるので、スマホを必ず携帯しなければなりません。
事前に日本円などの法定通貨に両替しておく必要はないので決済額が予想しづらいのですが、そこはスマホがあれば、任意の仮想通貨が日本円でいくらの支払いになるのか確認できるので安心です。おまけに、決済するときには複数の取引所のレートから最もお得なレートが自動的に選ばれるようになっています。
他のデビットカードでは事前に法定通貨に両替しておかなければならず、その際に為替手数料(約3%)が発生します。しかしTenXカードでは為替手数料はかからず、支払い発生時のリアルタイム換金レートが適用されるだけです。
ということは、海外での利用でTenXカードが大活躍するということです。つまり、VISAかMasterCardを海外で利用すると、日本円への為替手数料が上乗せされて請求されますが、TenXカードでの利用であればそれがないので、海外で使用するには最強のカードとなります。
また、海外でATMを利用(キャッシング)する場合にも手数料が2.75ドルしかかからず、リアルタイム決済なので利息がふくらむ心配もありません。
TenXカードの申し込み方法
TenXカードを手に入れるにはTenXウォレットから申し込む必要があります。
発行手数料として15ドルかかりますので、申し込む前にウォレットに仮想通貨(現時点ではビットコインのみ)をいくらか入金しておきます。
現在、カード申し込みが殺到していて、手元にカードが届くまでには数カ月かかるようです。
今後、SuicaのようにNFCにも対応し、スマホをかざすだけで決済できるバーチャルカードも用意されるとのことです。
TenXカード | 発行手数料(送料込み) | 15ドル |
年会費 | 10ドル(年間1000ドル以上の利用で無料) | |
バーチャルカード | 発行手数料 | 1.5ドル |
年会費 | 10ドル(年間1000ドル以上の利用で無料) |
ポイント還元&利益分配型カード
VISAやMasterCardといった従来型クレジットカードでは、クレジットカード会社が約3%の手数料を加盟店から徴収しています。そしてクレジットカード会社は、利用額の約1%分をポイントやマイレージとして利用者に還元します。利用者は、還元されたポイントやマイレージを貯めてギフトに交換したり、特典航空券に換えたりします。
このTenXカードも同様に、約3%の手数料を加盟店から徴収し、そのうち1%をVISAやMasterCardの送金・決済ネットワークに支払います。残りの2%がTenXの取り分で、そこから利用額の0.1%が利用者に還元されます。ただし、ポイントやマイレージといった形ではなく、TenXが発行する独自トークンであるPAY(ペイ)で還元します。
この還元に使われるPAYは、TenXの保有分から供出されるのではなく、市場から調達されます。つまり、その分PAYが値上がりする要因になります。
PAYは、利用還元として手に入れる他に、Bittrexなどの取引所で売買することができます。そして、このPAYを指定のウォレットに保有していると、さらにうれしい特典があります。全世界のTenXカードの売り上げの0.5%がPAY保有者に、ETH(イーサ)として報酬が配られるのです。PAYの保有量が多いほどETHが多く配分されるため、PAY購入の動機ともなり、PAYの値上がりが期待できるのです。
これらの還元と報酬は定期的に、そして自動的にウォレットに送金されるようにプロジェクトは進んでいます。世の中のTenXカードによるカード決済額が大きくなればなるほど、報酬額が増える仕組みです。
TenXが目指すもの
TenXが採用しているブロックチェーン技術は「COMIT NETWORK」と呼ばれる決済ネットワークです。開発途上の技術ですが、その目標は壮大です。
すなわち、より多くの暗号通貨、より多くのブロックチェーン、そしてより多くの取引所をCOMIT NETWORKでつなぎ、ウォレット内で各通貨の取引や両替、低い手数料での即時決済を実現しようというものです。
さらに、銀行が行うような融資や、ETFやデリバティブといった金融商品の取引も、TenXウォレットを通して提供することを目指しています。
まとめ
こうしたTenXが示すビジョンからか、それとも各種特典が魅力的だからか、8月になってからPAY価格は高騰しています。
しかしやはり、一番の魅力は「仮想通貨を日常生活で手軽に使える」ことに尽きます。現実の生活とかけ離れていた仮想通貨という存在が、ぐっと身近なものとして実感できるようになる。それがTenXの最大のポテンシャルでしょう。