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ハーバードケネディスクールは今月19日、ホワイトハウス国家安全保障会議でライブシュミレーションを行い、デジタル通貨が普及した際に、起こりうる国際情勢のシナリオについての議論がなされました。
このシナリオには、中国のデジタル通貨の発行や北朝鮮のミサイル実験などを含まれています。
中国のデジタル人民元が北朝鮮の資金源になる可能性
今回シュミレーションでは2年後の世界情勢が再現され、中国が発行を予定しているデジタル人民元DCEPが議論の中心となりました。
議論の内容は、中国がデジタル人民元を発行した場合、その影響力は中国国内の経済のみならず、東南アジアを中心として、アフリカの一部の地域にまで及ぶ広い範囲に及び普及することが考えられるとしています。
現在の米中貿易戦争に代表される米中関係の悪化に伴い、米国の北朝鮮に対する経済制裁の効力が弱体化が考えられると言います。
そのような状況下でデジタル人民元が普及すれば、北朝鮮は米国政府の経済制裁を潜り抜けて、デジタル人民元を利用してミサイル開発や武器の調達のための資金を得ることになるとしています。
また、これらが実現する理由としてデジタル人民元での取引は米ドルの代表的な送金手段とされるSWIFTを介さずに取引できるため、追跡が不可能である点を挙げています。
米中関係の改善が不可欠
財務長官の指摘によると、北朝鮮を経済的に疲弊させるためには中国政府の協力は不可欠であるとしています。
しかし、米中関係改善が実現せずに悪化した場合は、米国は非常に厳しい状況に立たされることになる言います。
過去30年にわたり米国政府が中国政府と協力関係を結ぶことに成功していない状況を挙げ、北朝鮮の経済制裁を機能させるためには多くの課題が残されていることを指摘しました。
より進歩的な参加者は、米国の経済力を高めるために米国独自のデジタル通貨を発行すべきであるという意見を述べていました。
軍事的な圧力を強めることは望ましくないという考えから、中国に対する外交的な圧力を高めるか、独自のデジタルドルを発行すべきかと言った議論の結果、官民合同でのデジタルドルの開発か、もしくはFRBと協力したデジタルドル通貨の開発を選択肢として大統領に報告することで一致しました。
現在米ドルは世界経済の支配的な地位を占めています。
しかし、近い将来デジタル通貨が世界的に普及した場合、米国は先にデジタル通貨を導入した中国にその地位を奪われる可能性も考えられます。
米国連邦準備制度理事会(FRB)は、今月からデジタル通貨やステーブルコイン、分散型台帳技術の研究の人材を募集するなど、デジタル通貨の研究に一層力を入れ始めています。