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財務省国際局は、金融活動作業部会(FATF)の概要を公開しました。
仮想通貨が初めてFATFの審査対象に
今回の対日審査で初めて仮想通貨交換業がFATFの審査対象となることは、注目すべき重要な点であるとのことです。
良くも悪くも、仮想通貨が多くの国々の規制当局に規制対象として認知されているということが伺えます。
FATFとは?
FATFとはFinancial Action Task Forceの略で、1989年に設立された期間でマネーロンダリングやテロ資金対策の国際基準(FATF勧告)を策定し、その履行状況について相互審査を行う他国間の枠組みです。
G7を含む36の国と地域の機関が加盟しており、FATF勧告は世界190の国と地域で適用されるとのことです。
注目すべき重要な点は、マネーロンダリングおよびテロ資金供与対策の国際基準となるFATF勧告を他国間での審査の元で策定するということです。
現在は、大量破壊兵器の拡散に寄与する資金供与対策でイランや北朝鮮に関する国連安保理決議に基づく資産凍結措置を各国に要請しているほか、暗号資産や関連業者にFATFを適用するコミットメントの再確認を実施しているとのことです。
監視対象国と厳しい審査基準
これまでに審査が行われた23カ国中、通常レベルの監視対象国にに置かれた国は5カ国のみという厳しい結果になっています。
通常レベルの監視対象国は、イギリス、スペイン、イタリア、イスラエル、ポルトガルの5カ国とのことです。
これ以外の国々は、通常レベル以上の要周囲レベルの監視対象国ということになります。
日本は、前回の2008年に行われた第3次対日審査において、銀行を含む金融機関全体の審査で25項目中全ての項目に要改善(不備10項目、一部履行15項目)が見られるという厳しい評価を受けています。
また、当時のランキングで日本は27カ国中18位でした。
評価内容としては、具体的には資金洗浄やテロ資金の凍結、大量破壊兵器に関与する者への金融制裁など、主に国際テロリストや組織的犯罪集団に関わる犯罪対策がリスト化されており、これらの項目に基づいて評価されるとのことです。
銀行、仮想通貨、資金移動のリスク懸念
今回公開されたFATFの資料によると、危険度の高い取引における各セクターを5段階で評価した結果、銀行、仮想通貨、資金移動のリスクが相対的に高いとのことです。
金融庁主導の仮想通貨自主規制団体(JVCEA)が中心となり仮想通貨の規制を進める中、今年の10月から11月のにかけて実施される対日審査を無事に通過することができれば、仮想通貨市場にとって大きな前進になるとのことです。
しかし、監視対象国と認定された場合には、問題の解消に時間を要することが予想され、市場の整備段階で仮想通貨市場が一時的な停滞期に陥る状況も考えられます。
今年6月に開催されたG20財務大臣・中方銀行総裁会議の声明では、技術革新がもたらすリスクと可能性についてFATFによる作業を歓迎し、その進捗を2021年に報告することをFATFに求めるとし、FATFとの連携を重視する姿勢を示しています。