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韓国の仮想通貨規制はどうなる?取引所は禁止・閉鎖って本当?

韓国の仮想通貨規制

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韓国では、2017年9月よりICOが全面的に禁止されました。韓国法務省からは、仮想通貨取引全般を禁止しようとする提案もなされました。また12月には、「仮想通貨緊急対策」が発表されました。

韓国では現在、何が起きているのでしょうか。2017年末から始まった仮想通貨取引を規制する新システム整備の現状をまとめてみます。

匿名口座の禁止

2018年1月、韓国政府は銀行に対して仮想通貨口座の所有者がマイナーなのか外国人なのかを確認するように指示しましたが、銀行は取引所に対してネットバンク口座を発行しているだけで誰に対して発行されているのかは知りえない現状と説明しました。つまり、この「誰が使っている仮想通貨口座なのかわからない」という匿名銀行口座が今回の取り締まりの対象です。

大統領が議長を務める韓国国内経済諮問委員会の会議で発表された2018年経済政策マネージメントには、いくつかの方針や具体的な対策が挙げられています。仮想通貨取引の”投機”は、バーチャル銀行口座を使用しているために透明性を欠き、時には犯罪に関わることが散見されました。そんなギャンブル的要素の強い投機を撲滅すべく匿名取引を禁止し、実名に基づく仮想通貨取引の特別対策を実行する、と今回の緊急対策の目的を掲げました。

これを受けて銀行は、取引所に対してバーチャル口座を提供することを停止すると発表しました。マネーロンダリング対策(AML)として、疑わしい仮想通貨取引があれば当局へ報告することや、政府の緊急対策に従わない不健全な取引所とは取引しないことにしました。また、銀行など金融企業が仮想通貨を購入したり投資したりすることを禁止する決定もされています。

取引所は実名口座制に移行

韓国政府は大統領令を発し、取引の透明化と投資家保護を目的に、仮想通貨取引(管理、保管、入手、交換、取引、手配、裁定、発行)業者に対し以下の6つの条件を義務付けました。

  • 顧客の資金は別に分けて管理しなければならない
  • 投資リスクの十分な説明を顧客に提供しなければならない
  • 顧客の本名を確認しなければならない
  • 十分なマネーロンダリング対策(AML)システムをとらなければならない
  • 暗号鍵を分散するなど資産保護システムをとらなければならない
  • 取引の詳細を開示することによって透明性を高めなければならない

以上を遵守している取引所だけが、政府のお墨付きを得ている銀行の口座開設に顧客を誘導できることになります。

金融サービス委員会(FSC)は銀行と仮想通貨取引所間で顧客データを共有することを義務付け、これにより実名の銀行口座しか仮想通貨取引所の口座にマッチしなくなります。仮想通貨取引所にサービスを提供する準備が整った国内の主要な銀行は6行あり、Nonghyup Bank, Industiral Bank of Korea, KB Kookmin Bank, Shinhan Bank, 他2行は、1月30日を新システム移行日にし、既存の仮想通貨口座は本人確認を行ったうえで実名システムに切り替わりました。さらに、外国人と19歳未満の未成年者は、韓国での仮想通貨口座開設はできなくなりました。

犯罪の取り締まりと処罰を強化

政府は、マルチ商法や訪問販売、架空のコインセール、反道徳的な取引を含む仮想通貨関連の犯罪を厳しく取り締まる方針です。ハッキングや個人情報の不正流出など、仮想通貨に関連する特別捜査を実行する予定で、仮想通貨取引の実態に調査が入るようです。

これらの動きは当初、仮想通貨取引をすべて禁止にしようと提案していた法務省と、強硬手段ではないバランスのとれた対策を検討していた政府とで議論を重ねた結果です。

仮想通貨取引所に課税

1月下旬には、仮想通貨取引所への課税案も報道されるようになりました。今のところ課税率については国税庁と検討中のようですが、現行の税法に従えば、昨年の収入が200億ウォン(1870万ドル)以上ある企業は22%の法人税に2.2%の住民税が課せられています。つまり、それだけの収入がある大手の仮想通貨取引所が納税しなければならない法人税や地方所得税(住民税)は、24.2%にもなると見込まれています。

韓国内で規模の大きい取引所は、BithumbとKakaoをバックボーンにもつUpbitですが、Bithumbを例にとると、3176億ウォン(およそ2億9850万ドル)の収益があると報道されているので、法人税と住民税を合わせて600億ウォンほどの支払いになるのではと予想されていますが、実際のところは、この税率がそのまま適用されるわけではないようです。

年が明けてすぐに韓国国税庁は、BithumbとCoinoneへの立ち入り調査を実行し、Coinoneに至ってはギャンブルの疑いで警察から別件で事情徴収も受けていますが、これらの立ち入り調査の背景には、政府が投資利益に対してキャピタルゲイン税を課税することを検討しているといわれています。

そんな国税庁の調査中に、当局にとっては痛手となるインサイダー取引が行われていたことが発覚しました。仮想通貨の規制対策が発表される直前に、所持している仮想通貨を売って利益を得ていた複数の職員が金融監督庁(FSS)にいたということです。

この事件が発覚して、政府の進めている仮想通貨規制対策に対する影響を恐れ、該当職員を処罰しようとしていますが、現行の国家公務員倫理法には株取引を厳しく禁止する項目はあっても仮想通貨に関する規定は何も整備されていません。しかし、金融当局が「仮想通貨取引はギャンブルだ」といいながら強硬な政策をとる一方で、政府が内部情報を利用して利益を得ているとあってはモラルハザードが起きかねないと危惧し、金融庁職員による仮想通貨取引をしないように指示しています。

今後の展望:韓国は本当はどうしたいのか?

日本では、2017年から金融庁の登録制となった取引所に口座開設をする際は本人確認が厳重です。取引所のみならず、仮想通貨の利用者である私たちにも利益に対しては課税されるようになりました。

日本同様に韓国も、仮想通貨取引を禁止するのではなく、より理にかなった規制を図りたいようにみえます。仮想通貨による投機を撲滅したいという基本姿勢から始まった規制対策によって、匿名口座の利用を禁止し、取引所も銀行も利用者の実名データを共有する義務が与えられたことで、政府はAML対策のみならず、税金徴収の管理もスピーディになると期待しています。税金が徴収できるということで、仮想通貨マーケットが合法化されることが期待されます。

実際、2月に入って企画財政部(MOSF)が中国の中央銀行のトップと会談し、仮想通貨対策の議論も含めて話をしていますが、中国のような強硬姿勢で一方的に禁止する姿勢ではないと発言しました。もし取引所が閉鎖されれば、不法な取引や外貨の流出も起こりかねないため、過剰なマーケットの過熱を抑制しつつ取引所の閉鎖は避けてきたということです。

また、韓国での仮想通貨取引所は、金融企業とはされておらずEコマースの法律下にあったことが最大の問題であると指摘し、日本では国家が管理する金融庁の登録下で管理されていることを引き合いに出しています。

そんな日本では、取引所の登録審査中のコインチェックにセキュリティ上の問題があったことでハッキング事件が起こり、すでに登録されている全取引所に対しセキュリティの再確認を要求する事態になっています。

サイバー犯罪に対して世界でも規制対策が進む国が多くなるなか、今後、韓国の仮想通貨規制対策でどのように仕様が確定されていくのか、その推移を見守りたいと思います。

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