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テクニカル分析における一番代表的なインジケーターである移動平均線。
多くのトレーダーが欠かさずと言っていいほど、移動平均線を使っています。
TradingViewにも様々なタイプの移動平均線が搭載されています。
今回は、移動平均線の中でも有名な
・SMA(単純移動平均線)
・EMA(指数平滑移動平均線)
・WMA(加重移動平均線)
の3つの移動平均線の使い方や表示方法を紹介します。
これを機に移動平均線についての理解を深めてみませんか?
SMA(単純移動平均線)とは?
最も一般的な移動平均線
SMA(Simple Moving Average)は単純移動平均線と呼ばれています。
最も一般的な移動平均線でトレーダー間の会話で「移動平均線」とだけ出てきたら、この「単純移動平均線」のことを指していることが多いです。
SMAはある期間における終値を平均することで求められます。
一般的には、短期・中期・長期に分類して使われます。
SMA(単純移動平均線)の算出方法
SMAはローソク足チャートにおけるローソクの終値を平均することで、算出出来ます。
SMA=(一定期間におけるローソクの終値の和)÷(そのローソクの本数)
例)
日足のローソク足チャートで移動平均線を設定します。
期間を「5」に設定した場合、一番新しいローソクから5本分のローソクの終値を平均して求められます。
1日目 | 2日目 | 3日目 | |
価格 | 100円 | 140円 | 130円 |
SMA=(100+140+130)/3=123.3
この123.3円が3日目にプロットされます。
このプロットの繰り返すことで、新しいローソク足が誕生するたびに点がプロットされます。
その点どうしをつなげることで、単純移動平均線が完成します。
EMA(指数平滑移動平均線)とは?
トレンドをいち早く見極める移動平均線
EMA(Exponential Moving Average)は指数平滑移動平均線と言われています。
SMAは一定期間における終値をそのまま平均しているので、トレンド転換にシグナルを発するのが遅いという欠点があります。
この問題を改善するために、EMAが開発されました。
EMAは直近のローソク足に比重をかけて算出するため、SMAと比べてより新しい価格を強く反映することができます。
これにより、トレンドにいち早く対応することが出来ます。
EMA(指数平滑移動平均線)の算出方法
EMAは移動平均線に対して、指数関数的に比重をかけていきます。
n日分のEMAを算出するとして見ていきましょう。
1日目の計算: 単純移動平均の値を採用
2日目以降の計算: EMA(n)=EMA(n-1)+α×{レート(0)-EMA(n-1)}
n:対象期間
α:平滑下定数(=2/(n+1))
レート(0):当日の価格
複雑な計算式をしていますが、ポイントは直近の価格ほど比重が大きいということです。
シンプルな例を見ていきましょう。
例)
3日分のEMAを出します。
1日目 | 2日目 | 3日目 | |
価格 | 100円 | 140円 | 130円 |
EMA=(100+140+130×2)/(3+1)=125
SMA=123.3
EMAは125円となり、SMAの123.3円に比べるとより直近の価格に近いことが分かります。
このように、より直近の変化に対応できる平均線となります。
WMA(加重移動平均線)とは?
海外では有名な移動平均線
WMA(Weighted Moving Average)は加重移動平均線と呼ばれています。
WMAはEMAと同様に、直近の価格に比重を置いています。
WMAとEMAは価格への比重の置き方が異なります。
EMAがより直近の価格に指数関数的に比重を置いているのに対し、WMAは直近になると徐々に比重を比例的に置く仕組みになっています。
日本ではSMAやEMAほどの人気は誇られませんが、海外では根強い人気を誇っています。
WMA(加重移動平均線)の算出方法
WMAは移動平均に対して、比例的に比重をかけていきます。
n日間のWMAを算出するとして見ていきましょう。
WMA=[{当日の終値×n}+{前日の終値×(n-2)}+・・・+{(n-2)日前の終値×2}+{(n-1)日前の終値}]÷{n+(n-1)+(n-2)+・・・2+1}
と表されます。
またシンプルな例を見てみましょう。
例)
1日目 | 2日目 | 3日目 | |
価格 | 100円 | 140円 | 130円 |
WMA=(130×3+140×2+100×1)/(3+2+1)=128.3
SMA=123.3
EMA=125
この3つの移動平均線の中で直近の価格に最も近い値になりました。
これはEMAに比べて、直近になるにかけて徐々に比重を大きくしているため、2日目の140円の価格がより大きく影響しています。
SMA、EMA、WMAを同じチャート内に表示すると上図のようになります。
SMA、EMA、WMAの違いやメリット・デメリットは以下の様です。
メリット | デメリット | |
SMA | 長期的なトレンドに有効。 | 直近の価格に対応しにくい。 |
EMA | 直近の値動きに対応することができる。 (WMAより過去の動きを重視、中時期の動きを軽視。) |
レンジに弱い。 |
WMA | 直近の値動きに対応することができる。 (EMAより過去の動きを軽視、中時期の動きを重視) |
レンジに弱い。 |
SMA、EMA、WMAの時間軸に関しての比重のかけ具合をグラフに表しました。
移動平均線の活用方法
ここからは移動平均線を用いたトレード方法(売買サイン)を紹介していきます。
ゴールデンクロス
ゴールデンクロスは短期の移動平均線と長期の移動平均線の2つを用います。
短期MAが長期MAを下からクロスして突き上げることをゴールデンクロスと言います。
このクロスした瞬間をアップトレンドへの転換点と見て、買いのサインとして捉えます。
デッドクロス
デッドクロスはゴールデンクロスの逆です。
長期MAを短期MAが上から下にクロスした時のことを言います。
これも、クロスした瞬間をダウントレンドへの転換点と見なすことで、売りのサインとして捉えることが出来ます。
パーフェクトオーダー
パーフェクトオーダーは短期移動平均線、中期移動平均線、長期移動平均線の3つの移動平均線を用います。
上昇トレンドと下降トレンドの2つを見分けること際に使われます。
上から短期MA、中期MA、長期MAの順にチャート上に並んでいる時は強い上昇トレンドにあると判断する材料となります。
上から長期MA、中期MA、短期MAの順にある場合は強い下降トレンドにあると判断する材料となります。
※上図はダウントレンドにおけるパーフェクトオーダー
オーバーシュート
オーバーシュートは記入相場の世界では予想以上に価格が動いてしまうこと、過剰に価格変化してしまうことを意味します。
サポートラインやレジスタンスラインを超えてしまうような動きを指します。
このオーバーシュートの考え方を移動平均線と絡めて考えることでトレンドを見極めることが出来ます。
移動平均線から価格が離れれば離れるほど(乖離率が高いほど)、そのトレンドが強いと判断することが出来ます。
短期MAが長期MAより上に離れれば離れるほど上昇トレンドが強く、逆に下に離れるほど下降トレンドが強いと見ることが出来ます。
※上図はダウントレンドにおけるオーバーシュート
TradingViewで移動平均線を表示・設定する
最後にTradingViewでの移動平均線の設定の仕方を説明します。
移動平均線を表示する
まず、移動平均線を入れたいチャートを開きます。
チャートの上に「インジケーター」と書いてある部分があるので、そこをクリックします。
クリックすると、インジケーターの検索画面が出てきます。
検索欄で「MA」もしくは「移動平均線」と検索します。
検索すると、様々な種類の移動平均線が出てきます。
今回紹介した3つの移動平均線に限らず、豊富な種類の移動平均線が搭載されています。
「移動平均線」は単純移動平均線のことを指します。
これをクリックしてみましょう。
すると矢印で指したような移動平均線が出てきます。
これで移動平均線の表示が出来ました。
その他のインジケーターも同様の方法で表示することが出来ます。
移動平均線の設定を変更する
移動平均線の設定を変更する方法を紹介します。
設定では、移動平均線の場合、平均する期間などを変更出来ます。
まず、チャートに表示された移動平均線を右クリックします。
右クリックすると、下図のような画面が表示されます。
一番下にある「設定」をクリックします。
設定では、移動平均線の「期間」「ソース」「オフセット」を変更出来ます。
「期間」は移動平均線を計算するときにローソク足何本分を平均するかのローソク足の本数を示しています。
長期、中期、短期移動平均線に合わせて移動平均線の期間を変更してみましょう。
「ソース」はローソク足におけるどの時点での価格を平均するかを示しています。
上図の場合だと、「終値」を設定しています。
この場合だと、期間内におけるローソク足の終値を平均して、移動平均線を出します。
「終値」以外にも「始値」「高値」「安値」、また「高値安値平均」など複雑な方法も搭載されています。
「オフセット」では移動平均線をチャート上でずらして表示することが出来ます。
オフセットを小さくする(-)ほど移動平均線が左に移動し、大きくする(+)ほど右に移動します。
「0」がずらし無しの状態です。
例えば、オフセットの値を「1」にすると移動平均線はチャートよりローソク一本分だけ右にずれて表示されます。
まとめ
移動平均線はFXにおいて、一番よく使われるインジケーターです。
トレードを行う誰しもが知っていると言っても過言ではありません。
移動平均線のインジケーターを自分なりに使えるようになれば、チャートの変化を的確に捉えられるようになるでしょう。