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仮想通貨界のクイーンとして、ビットコインに次ぐ時価総額を誇るイーサリアム(Ethereum/ETH)。
注目の集まる有名通貨ではあるものの、昨年の価格変動は仮想通貨市場全体の動きと同じように、緩やかな下降に留まりました。
そんなイーサリアムは、2019年は期待できるのか?どのくらい上がる/下がるのかについて専門家の見解と共に解説します。
2018年末からの価格変動分析
今後の動きを探る前に、昨年末からの最近の価格変動を分析してみましょう。
下のチャートを見てください。
出典:CoinMarketCap
①2018年12月24日の価格上昇
1日の中では20%、12月初旬に比べると45%もの価格上昇を記録しました。
2018年は全体的に下げ相場が続いた年でしたが、このように目立った価格上昇が見られたことについて、ブルームバーグのアナリストであるMike Mcglone氏は、「市場は売られすぎており、反発に繋がっている。」と述べています。
さらに、ソーシャルトレーディングツール、eToro のマーケットアナリストであるMati Greenspan氏は「イーサリアムは下げ相場で最も打撃を受けた通貨のうちの1つだ。」と述べており、彼も「売られすぎていた状態」をイーサリアムで大きな反発が起こった理由としました。
②2019年1月10日の価格下落
これはマーケット全体での価格下落で、イーサリアム(Ethereum/ETH)は1日の間に17%も下落しました。
この暴落では、イーサリアムが先行して下落しており、これによって時価総額ランキングが3位に下がってしまいました。
原因の1つとして、Coinbaseが「イーサリアムクラシックの51%攻撃を発見した」と報道したことが挙げられています。
51%攻撃は、システムの根幹を揺るがすような改ざんであるので、投資家心理が敏感に働いたと言えるでしょう。
①②より、イーサリアム(Ethereum/ETH)は投資家心理をチャートに反映させやすい通貨だと言えるかもしれません。
③2月17日から19日の価格上昇
こちらは、マーケット全体の流れというよりはイーサリアム独自の好材料によるものだと考えられます。
まず、2月14日にJPモルガンの独自コイン、JPMコインがイーサリアムベースであると発表されました。
また、2月15日には、日本のマネックスグループなどが出資するErisX(エリスX)がCFTC(米商品先物取引委員会)に、イーサリアム先物について意見書を提出しました。
「規制されたイーサリアムの先物取引を導入することは、市場の成長と成熟化に対してポジティブな影響を与えるだろう」と、イーサリアム先物の可能性を強く示唆する考えを明らかにしました。
さらに2月16日、イーサリアム2.0の開発の進捗が発表されました。
イーサリアム2.0とは、マイニング電力問題の深刻さ、マイナー寡占のといった問題を解決するために、現在の承認方式であるPoWをPoSにすることをメインの目的としたプロジェクトのことです。
今回の発表では、イーサリアム2.0プロジェクトの一貫として、「シャーディング」開発に着手していることも伝えられました。
シャーディングとは、トランザクションの並行処理が可能になる機能のことで、スケーラビリティ問題の解決策になります。
これら一連のニュースによって、イーサリアムの有用性、開発の順調さが投資家に伝わりイーサリアムへの期待が価格上昇となって表れたのでしょう。
2019年のイーサリアム注目情報
イーサリアムの新機能!「モノプラズマ」
2019年2月中旬、ブロックチェーンのデータプラットフォームを提供するスイスの企業、Streamr社が「モノプラズマ」というイーサリアムのスケーリング技術を発表しました。
この技術を用いると、「一対多決済」が可能になります。
「一対多決済」とは、1つのイーサリアム(Ethereum/ETH)アドレスから、複数のアドレスへ同時に送金できるということです。
Streamr社のCEOであるHenri Pihkala氏は、モノプラズマのユースケースについて、収益の分配や、また、オープンソースの分散型アプリケーションを活用することで、ステーキング報酬や継続的なエアドロップの実施などを挙げています。
独自の通貨を管理しているプロジェクトは山ほどあるので、このようなサービスには大きな需要があるのではないでしょうか。
Streamr社は既に、モノプラズマを用いて20万アドレスにデモ用トークンを送り、試運転を行ったようです。
この機能が実用化されれば、2019年のイーサリアム価格上昇の好材料になるかもしれません。
専門家の価格予想
2019年3月末に24ドルに下落、2020年に52ドルの微回復を経て2021年に128ドルに回復
Wallet Investorというサイトのシビアな価格予想です。
イーサリアム(Ethereum/ETH)がメジャーになってから100ドルを下回ったことが無いので、この予想では2019年のイーサリアム(Ethereum/ETH)をかなり厳しく見ているようですね。
また、この予想では2019年3月に大きく価格が下落した後はそのまま20ドル台で2019年が終わることになっています。
これが現実に起こる可能性もゼロではないという危機感を持っておくべきかもしれません。
ただ、このサイトの価格予想は大きく変動することも度々見受けられます。
2019年末までに48ドルまでに下落、2022年に130ドルに回復
The Economy Forecast Agencyというサイトも、2019年の価格に対して、Wallet Investorほどではありませんが概ね厳しい見方をしています。
2019年2月下旬現在から半分以下にまで下がり、3年はかけて回復するという見立てです。
The Economy Forecast Agencyは、法人向けに金融市場の長期予測を行うことを専門とする会社です。
やはり、2018年の全体的な下落トレンドからの完全な打開というのは厳しいのでしょうか。
2019年3月に115ドルまで下落、2019年末までに285.09ドルに上昇
こちらの予想は上の2つよりも、2019年Q1での価格の状態を踏まえると、イメージしやすいですね。
年末に285.099ドルということは、今年中に大きな価格上昇が起きる可能性もあるということになります。
2019年のイーサリアムの価格予想は、かなり厳しいものからポジティブなものまでありました。
どのシナリオが1番現実に近いのか、今後のイーサリアム(Ethereum/ETH)の最新情報をチェックし続ける必要がありますね。
イーサリアムの将来性
ここまで、2019年のイーサリアム(Ethereum/ETH)に注目して見てきましたが、長期的に見てイーサリアム(Ethereum/ETH)に将来性はあるのでしょうか。
これからのイーサリアム(Ethereum/ETH)には、主にICO、dAppsで活用されてきた価値をブレイクスルーしていくことが求められています。
2018年はICO詐欺の横行によってICOの勢いは失速し、結果としてイーサリアムの価格の大幅な下落が起こってしまいました。
イーサリアムベースで開発が行われているdAppsも、利用者の拡大が進んでいないことから大きな価格上昇のトリガーとしては機能していません。
しかし、そんな最中、イーサリアムはイーサリアム2.0に向かって着々と動いています。
大幅アップデートを控え、それに伴って提携や実用化のニュースも増えています。
将来的には全く新しい価値の創出に期待できるのではないでしょうか。
今後もイーサリアム(Ethereum/ETH)には注目ですね。