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シビック:ブロックチェーンによる本人認証サービス

2017.09.19
仮想通貨モバイルアプリCivicとは

<この記事(ページ)は 6分で読めます>

ブロックチェーン技術を活用するプロジェクトが続々と誕生しています。ここで紹介するシビック(Civic)は、ブロックチェーンによって安全な個人情報の管理を実現し、個人情報を提供する側のユーザビリティを向上させ、顧客の個人情報を扱う機関のコスト削減を可能にするプラットフォームを提供します。

個人情報管理の需要は非常に大きい

2016年1月時点で、世界で15億人の人々が法定身分証明書を持っていません。さらに、途上国では新しく生まれた子どもが身分証明書を持たないことがよくあります。これは、身分証明書を発行してもらうための書類の記入や公的機関での手続きが難しいことが理由です。

銀行などの金融機関で、例えば新しく口座を開く場合、身元確認(KYC:Know Your Customer)が必須です。個人情報を記入した書類や運転免許証・写真・住民票などの提出が求められます。銀行口座を複数持ったり、別の銀行口座に乗り換えたりする人は多いですが、新しく口座を開く場合にも同じように身分証明の手続きを経なければいけません。

これは顧客にとっても手間であるだけでなく、銀行側にとっても確認する手間・コストがかかります。銀行口座でKYCを行う場合、顧客1人につきおよそ15〜20ドルかかるとされています。また、KYCの確認には時間がかかるため、銀行口座の申し込みをしてから実際に使い始めるまでに期間を要するということもユーザーにとってデメリットです。

さらに、個人情報管理最大の焦点となるのが、プライバシーの問題です。2014年にはソニー・ピクチャーズへのハッキングにより、従業員やその家族の個人情報、メールアドレス、その他の情報が流出した事件が起こりました。企業や金融機関はこうしたサイバー攻撃への対策やセキュリティ向上のために多額の費用を費やしています。例えば、米国におけるサイバー犯罪対策費用は、2010年に380万ドルでしたが、2015年には1100万ドルにまで上昇しています。

ブロックチェーンが個人情報管理に適している理由

シビックは、個人情報の管理・認証を1つのシステムで行います。金融機関など個人情報が必要な機関はシビックのシステムに手数料を払うことで、自分たちで確認する手間・コスト・時間を省いてKYCを行うことができます。

ブロックチェーンの仕組みでは、記録を中央集権的にではなく、ネットワーク参加者が分散的に監視・管理します。このため、監視にかかるコストは少なくなり、透明性が担保されます。また、ブロックチェーンの性質上、データの改ざんは不可能です。

シビックの特徴と機能

・概要

・トークン名:CVC

・トークン総供給量:1,000,000,000 CVC

・ERC20トークン

・トークンセール:2017年6月21日(3300万ドルを調達)

・取引所:Poloniex、Bittrex、Liquiなど

・公式サイト:https://www.civic.com/

・ホワイトペーパー:https://tokensale.civic.com/CivicTokenSaleWhitePaper.pdf


・シビックのモバイルアプリ

シビックは、各ユーザーが自分の個人情報を提供したり、情報を見る権限を管理したりするためのモバイルアプリを提供します。シビックのブロックチェーンに送られた名前・クレジット番号・パスポート・運転免許証などの個人情報は、過去の詐欺に関する情報と照らし合わせられ、正当なものであるか確かめられます。こうして正しいと認証された情報だけがシビックのブロックチェーン上に記録されます。

モバイルアプリ内で個人情報は暗号化されています。金融機関などが個人情報を確認する際には、ユーザーはモバイルアプリから指紋認証によって、金融機関などが情報にアクセスする権限を与えます。ユーザーがモバイルアプリにログインする際には、ユーザーID・パスワードを使わないため、ユーザビリティが高く、ハッキングによる不正アクセスのリスクも低減されます。

Civicの仕組み

・ユーザーのメリット

モバイルアプリや指紋認証で身分証明ができるため、書類の記入や紙媒体の身分証の提出など煩雑な手続きが不要になります。また、個人情報にアクセスできる権限や開示する情報のレベルを自分でコントロールすることができます。

・KYCが必要な機関のメリット

提供された個人情報が正しいものかの確認作業をシビックのプラットフォームに委託できるので、コストと時間の削減になります。

・個人情報管理のセキュリティという点でのメリット

ブロックチェーン技術によって改ざんが不可能になり、高度な暗号化技術で情報の漏洩のリスクが低減します。

具体的な活用例

シビックの個人情報提供サービスの活用例としては、銀行などの金融機関以外に以下のようなものが想定されています。

・仮想通貨

取引所のアカウント開設の際にKYCをシビックアプリで行うことができます。

・Eコマース

顧客のクレジットカードの情報を保管する必要がなくなるため、情報漏洩のリスクが減ります。

・SNS

アカウント作成の際に、シビックから個人情報を提供したり、情報開示のレベルをシビックアプリからコントロールすることができます。

・医療サービス

名前などの個人情報以外にも、医療記録をシビックに登録しておくことで治療を受ける際に必要な情報を提供することができます。

シビックのベータ版アプリの内容

シビックはすでにベータ版のアプリをリリースしています。

アプリのダウンロードはこちらから(Civic公式サイト)

https://www.civic.com/app

現在、無料版と有料版があります。それぞれのプランの内容は以下の通りです。

無料版 有料版(月額2.95ドル)
・ID盗難の際の保険(100万ドルまで)

・ブラックマーケットでのID使用の監視(予定)

・認証アプリ(予定)

・個人情報を使って新しいアカウントが作られそうになったときにメールとアプリでリアルタイムのアラートを発令

・ID盗難の際の保険(100万ドルまで)

・24時間365日で個人情報復旧のサポート

・ブラックマーケットでのID使用の監視(予定)

・認証アプリ(予定)

・資産の盗難被害の際の補償(予定) 

まとめ

分散型管理のため運用コストが低額である点、透明性の担保、改ざんが不可能である点、暗号化技術による高度なセキュリティといったブロックチェーンの特長は、個人情報の管理と非常に相性が良いです。シビックはすでにベータ版をリリースしており、さらなる機能の実装もそう遠くはないでしょう。

個人情報を扱う機関へより効率的でセキュアなプラットフォームを提供するだけではなく、個人情報を提供する人にとっても、個人情報の流出による損害に対する100万ドルまで補償や、盗まれて不正使用された個人情報の復旧サポートなど、ユーザーの立場に立った非常に質の高いサービスを提供しており、将来的にもかなり成長が期待されるプロジェクトです。今後のサービスのさらなる拡大と普及に注目していきたいですね。

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