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4月5日に、匿名性の高さを強みとする仮想通貨のモネロ(Monero, XMR)のハードフォークが行われました。
この記事は4月13日の記事のアップデート版となります。
仮想通貨モネロ(XMR)のハードフォークはASIC耐性を持たせるため
モネロのハードフォークは、元はと言えば、Bitmain社などが販売するASICによってマイニングに寡占が起こることを危惧して行われたものでした。
ASICとは、特定用途向け集積回路のことで、モネロの場合は、モネロが採用するプルーフ・オブ・ワークのアルゴリズムであるCryptoNightに最適化されて作られた演算チップのことです。
また、Bitmain社は中国で巨大マイニングプールを運営しており、ASICの販売による売り上げとともに、自社でASICを利用してビジネスとしてマイニングを行うことで収益を上げている企業です。
CryptoNightに最適化されて作られたモネロ用ASICは、CryptoNight以外のアルゴリズムを採用している仮想通貨のマイニングには利用できません。マイニング以外の用途に使うことももちろん不可能です。
しかし、その汎用性の低さと引き換えに、CPUやGPUとは比較にならないほどの効率でマイニングを行うことができてしまいます。
そのため、ASICによるマイニングが行われると、51%攻撃が発生するリスクが高まるのです。
そこで、51%攻撃が発生することを危惧したモネロ開発チームが、モネロにASIC耐性を持たせるべく、モネロのマイニングアルゴリズムを、従来のCryptoNightから、ASICに耐性を持つCryptoNightV7にアップデート(ハードフォーク)しました。
今回のモネロ(XMR)のアップデートに反発した勢力が旧モネロを利用しハードフォーク
しかし、モネロにASIC耐性を持たせる今回のアップデートは、モネロの関係者すべてから同意を得られたわけではありませんでした。
今までASICを利用したモネロのマイニングで収益を上げてきたマイニングプールなど一部の勢力が、ASIC耐性を持つ前の旧モネロのブロックチェーンを今後も継続利用していくと発表したのです。
開発チームが行ったハードフォークに反発した勢力が、従来の旧チェーンを継続利用すると発表したこの構図は、イーサリアムとイーサリアム・クラシックが分裂したときに似ていますが、今回のモネロのハードフォークは、モネロ開発チームがアップデートしたASIC耐性を持つモネロ(XMR)と別に、なんと4つものモネロに分裂しました。
合計で5つものモネロが生まれたことになります。
1.モネロオリジナル(Monero Original, XMO)
1つ目は、モネロオリジナル(XMO)と呼ばれる仮想通貨です。
開発者は不明ですが、中国の大手取引所であるHitBTCがXMOをサポートすることを表明しています。
また、大手プールマイニングサービスのマイナーゲート(MinerGate)もXMOをサポートしており、モネロのハードフォーク時にマイナーゲートのウォレットにXMRを保有していた人は同額のXMOが付与されました。
マイナーゲートのソフトを使うことでXMOとXMRの両方をマイニングすることが可能です。
マイナーゲートについてはこちら↓
2.モネロクラシック(Monero Classic, XMC)
2つ目は、モネロクラシック(XMC)と呼ばれる仮想通貨です。
シンガポールのエンジニアグループによって主導されており、このグループは今回のASICによるマイニングを「健全な市場主導プロセス」と位置付けているようです。
他のモネロプロジェクトとの関連はなく、この仮想通貨をサポートする企業もありません。
3.モネロクラシック(Monero Classic, XMC)
3つ目は、これまたモネロクラシック(XMC)と呼ばれる仮想通貨です。
上述のモネロクラシックと全く同じ名前ですが、開発元は異なり、こちらはBitmain社が運営するマイニングプールのAntpoolによって主導されています。
ただし、Bitmain社は関与を否定しているようです。
4.モネロゼロ(Monero Zero, XMZ)
4つ目は、モネロゼロ(XMZ)と呼ばれる仮想通貨です。
開発者は不明ですが、サトシナカモトが提唱する分散型ネットワークをあるべき姿としており、イーサリアム・クラシックの開発チームと似た信念を持っているようです。
また、Bitmain社に対して「モネロを破壊しようとしている」と批判しており、XMZをサポートする企業はありません。
このように、ASIC耐性を持たない旧モネロが同時に4つも誕生してしまったのが今回のモネロのハードフォークです。
5つに分裂したように見える仮想通貨のモネロ(Monero, XMR)は実際には2つだけ
ここまで、ハードフォークによって新たに生まれた4つのモネロについて解説してきましたが、実はこのとき新たに生まれたモネロは1つしかありません。
このとき新しく生まれたモネロは、ASIC耐性を持ったモネロ(XMR)のみです。
モネロオリジナル(XMO)、モネロクラシック(XMC)、モネロクラシック(XMC)、モネロゼロ(XMZ)の4つは、全てASIC耐性を持たないXMRの旧チェーンを指す名前です。
つまり、1つのブロックチェーンに対し、4つの勢力が、それぞれ自分で決めた名前とロゴをつけて呼んでいるに過ぎません。
結果としては、ASIC耐性を持つモネロ(XMR)と、ASIC耐性を持たないモネロ(XMO、XMC、XMZ)の2つに分裂しただけなのです。
仮想通貨モネロ(Monero, XMR)のハードフォークによる価格への影響
モネロのハードフォーク後の価格への影響ですが、ハードフォークが行われた4月5日前後は、ハードフォークによってモネロが分裂することへの懸念からか、170ドル前後で停滞していました。
しかし、ハードフォーク後から4月末にかけては、ハードフォーク後もXMRチェーンが維持されたことへの安心感からか価格は回復傾向を見せ、その後少し落ち着いたものの200ドル前後を推移しています。
ハードフォークによる価格への影響はすっかり落ち着いたとみていいでしょう。
仮想通貨モネロ(Monero, XMR)のハードフォークについてまとめ
一見5つに分裂したように見える今回のハードフォークも、蓋を開けて見れば2つに分裂しただけだったということがわかりました。
ASIC耐性を持たない4つのモネロは、名前とロゴは異なるもののすべて同一のチェーンから成る仮想通貨であり、HitBTCのサポートを受けているモネロオリジナル(XMO)を除いて他の名前のモネロは大手取引所のサポートも受けていないので、いずれ統合されていくか、このうちのいくつかは消滅してしまう可能性もあると考えられます。
XMR以外のモネロに投資を行う際は、そういったリスクを考えて納得した上で行うのがよいでしょう。
以前はcoincheck(コインチェック)でモネロ(XMR)を購入することができましたが、2018年1月末のネムのハッキング事件以降は取り扱いが中止されています。
他の国内取引所でもXMRの取り扱いはありませんので、XMRを購入したい場合は海外取引所を使うことになります。
海外の取引所にはBinance(バイナンス)、Bittrex(ビットトレックス)、Poloniex(ポロニエックス)などがありますが、その中でも、Binance(バイナンス)がおすすめです。
Bittrexでは手数料が一律0.25%、Poloniexでは0.05~0.25%なのに対して、Binanceなら手数料は0.1%(BNBコインを使えば0.05%)と非常に安価です。
取引を何度もすると取引手数料もなかなかかかりますから、手数料の安さは取引所を使う上でかなり重要なポイントになりますよね。
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参考サイト:https://bitcoinmagazine.com/articles/monero-just-hard-forked-and-it-resulted-four-new-projects/