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2018年4月10日に、金融庁に登録された仮想通貨交換業者16社が参加する、「一般社団法人日本仮想通貨交換業協会」から、「仮想通貨取引についての現状報告」がPDF文書として公開されました。
この文書は金融庁のウェブサイトから閲覧することができます。
https://www.fsa.go.jp/news/30/singi/20180410-3.pdf
概要
この文書では、大きく分けて3つの内容が報告されています。
グローバルでの取引状況、国内での取引状況、取引所の業務実態の3つです。
この文書を公開した「一般社団法人日本仮想通貨交換業協会」は、金融庁の認可を受けた仮想通貨取引所、つまりbitFlyerやGMOコイン、DMMビットコインなど、影響力の強い大手取引所が参加している協会であるため、特に国内での取引状況に関しては、文書中の金額などの数字は精度が高く信頼できるものであると推測されます。
皆さんの関心が特に強いのは取引状況でしょうから、グローバル・国内の取引状況の報告内容を見てみましょう。
グローバルでの取引状況
現在取引されている仮想通貨は1500種類以上にも上り、取引量順に見た主要通貨5種類は、ビットコイン、イーサリアム、リップル、ライトコイン、ビットコインキャッシュとなっているようです。
4月17日時点での時価総額順位で見ると、ビットコイン、イーサリアム、リップル、ビットコインキャッシュ、ライトコインとなっていますので、時価総額と取引量はおおむね比例していると言えます。
(引用元:https://www.fsa.go.jp/news/30/singi/20180410-3.pdf)
ビットコインについては、平成30年3月31日時点と平成26年3月31日時点の一日の取引量を比較すると4年で約167倍まで増大しており、主要5通貨のうち67%をビットコインが占めると報告されています。
依然として、仮想通貨市場におけるビットコインの相場の影響力は大きいようです。
そして、ビットコインのボラティリティを見ると、全期間平均で一日あたり約2.6%、最大で約25.3%となっており、やはりビットコインのボラティリティは大きく、価格が安定していないと言えます。
流通している仮想通貨全体の時価総額は、3月31日時点で、27兆4,339億円と報告されています。
これはインドルピーの時価総額とほぼ同等であり、世界各国の法定通貨と比較すると、日本円の93兆円に次ぐ第5位に位置する額です。
ビットコインのみで見ると12兆4,110億円となっており、これはロシアルーブルの時価総額とほぼ同等です。
(参考:https://bittimes.net/news/4161.html )
しかし、ビットコインの取引の約6割は日本の投資家によって行われていることも報告されていることから、日本以外の投資家による資金流入の余地は大きく、仮想通貨の時価総額の伸びしろはまだまだ大きく残されています。
国内での取引状況
平成29年度における国内での仮想通貨の取引量は、現物取引が12兆7,140億円、証拠金・信用・先物取引が56兆4325億円となっています。
平成26年度における各取引量と比較すると、現物取引は5298倍、証拠金・信用・先物取引は281,262倍もの増加です。
また、国内での利用状況を取引量ベースでみると、現物取引が18.39%、証拠金・信用・先物取引が81.61%と報告されています。
利用者を年代別で見ると、現物取引、証拠金・信用・先物取引ともに30代が一番多く、現物取引は20代、40代と続き、証拠金・信用・先物取引は40代、20代と続いています。
証拠金・信用・先物取引は年代が高い方が利用者が多い傾向にあるようです。
余裕資金の大きさやトレードの経験などが影響しているものと考えられます。
(引用元:https://www.fsa.go.jp/news/30/singi/20180410-3.pdf)
また、気になる入出金の状況ですが、2018年に入ってから仮想通貨市場全体に価格の下落傾向がみられるものの、入出金はほぼ均衡しており、顕著な出金傾向はみられないと報告されています。
下落傾向の中にあっても、仮想通貨から法定通貨へと戻す動きが強いわけではないというのが重要なポイントです。
まとめ
今回の報告は、日本国内における大手取引所各社の提供するデータを基にしたものであるため、非常に信頼性が高いことが推測されます。
仮想通貨市場全体の価格が下落傾向にある中、資金も流出しているように思われがちですが、少なくとも国内においては入出金はほぼ均衡しているというのはポジティブな情報と言えるのではないでしょうか。
レポートの詳しい内容は公開されたPDFをご覧ください。