<この記事(ページ)は 4分で読めます>
GMOがマイニング事業に参入
日本企業のマイニング事業への参入が、9月7日にGMOより、翌日8日にDMM.comより相次いで発表されました。
インターネット事業複合企業でありビットコイン取引を行う日本のリーディングカンパニーGMOグループは、ビットコインのマイニングおよびチップ製造業に参入を開始し、7ナノ半導体チップの製造販売と北欧スカンジナビアにてマイニングセンターの運営計画を発表しました(発表記事リンク)。
同社によると、最先端の7ナノメーター(nm)半導体チップと北欧の再生可能エネルギーを活用した次世代のマイニングセンターを運営し、半導体設計技術をもつアライアンスパートナーと協働して研究開発と製造を行っていくとのことです。
再生可能エネルギー開発の進んだ北欧では、クリーンな電力を低コストで調達できるので設備運営においてコスト抑制が可能で、各マイニングハードウェア単体では最大500Wの消費電力だけで毎秒10テラハッシュ(TH/s)のパフォーマンスがあると述べています。予定では5万枚のチップでマイニングを始め、トータルで毎秒500ペタハッシュ(PH/s)のハッシュパワーを生み出すとのことです。このパワー量は現在のビットコインマイニングプールのトップ10にランクされる規模になります。
GMOは東京に本社を構え、世界中にインターネットサービスを包括的に提供する企業。そのインターネット・インフラビジネスは847万社の顧客を有し、日本では業界1位を誇る東京証券取引所の上場企業です。GMOグループには今年7月末時点で129の事業体があり、子会社のひとつには5月31日に設立した仮想通貨FXトレーディングを提供するGMOコイン(8月に社名をZ.comコインから変更)があります。
競合他社をしのぐ7ナノチップ
競合相手となるマイニング最大手Bitmain社のAntminerS9は、現在世界で最も使われているマイニング用のASIC(マイニング用に開発されたIC)であり、16ナノチップが採用されています。1,372Wの消費電力で毎秒14テラハッシュ(TH/s)のパフォーマンスです。内蔵チップは0.098 J/GHsのエネルギー効率で、市場で最も高性能なビットコインマイニングチップであるとうたっています。次に規模の大きなBitfury社でも16ナノASICチップを製造しています。
一方、ロシアでは、インターネット行政監察官であるDmitry Marinichev氏が先月発表したところによると、もともとソビエト時代の衛星用マイクロチップを作っていたチップ製造を再稼働させてマイニングチップの製造競争に参入するとのことです。最初の国家運営ICOで発行されるトークンの名前はRussian Miner Coin(ロシアンマイナーコイン)になるようで、マイニングハードウェアの製造会社にするために1億万ドルの資金が集まる見込があると、Marinichev氏は期待を寄せています。
GMOのマイニング事業は、マイニングセンターの運営だけでなく、次世代型マイニングボードの販売に加えてクラウドマイニングも提供する予定です。また、7ナノチップのみならず5ナノ、3.5ナノチップの開発もしていく予定で、投資額はトータルで100億円(およそ9000万ドル)になる見込みだということです。すでに7ナノチップのロジック設計は完成しており、テストバージョンは2018年には完成が見込まれており、7ナノチップの大量生産は来年の5月に始まる予定だということです。
また、同社はコンシューマ向けのPC搭載型ASICチップの製造も発表しています。スタンダードなコンピュータで使用可能な、特許取得のマイニングチップを搭載したPCLeボードを一般向けに販売する予定で、このカード1枚で、わずか300ワットの電力で毎秒8テラハッシュ以上を採掘可能になるとのことです。
ほぼ同時に発表されたDMMのマイニング事業参入
DMM.comのマイニング事業についての詳細は、GMOのように7ナノチップの製造は明示していませんが、仮想通貨部門を開設し10月にマイニング事業を開始し、年内に「DMM Pool」なるクラウドマイニングを展開していく模様で、国内で最大手のマイニング企業に、将来的には世界トップ3のマイニング企業になるという意気込みです。
ますます激化してきたマイニング企業やマイニングプールの勢力図の中で、日本の技術でマイニング勝負をしようという、日本企業の来年以降の動向に期待したいところです。
※仮想通貨(暗号通貨)の投資にかかる最終決定はご自身の判断でなさるようお願いいたします。