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Facebookリブラの脅威、米中央銀行はFedCoin案に加速か

2019.10.17
Facebookリブラの脅威、米中央銀行はFedCoin案に加速か

<この記事(ページ)は 7分で読めます>

先日、リブラ(Libra)計画の始動に正式にスタートを切った形となったリブラ協会ですが、政府や金融当局への影響の大きさはこれまでの暗号通貨の上を行っているようです。

米国の政治家たちは、Facebookの計画に非常に危機感をいだいている為、FRB(米国連邦準備理事会)に競争相手を作らせようという斬新な対応を真剣に検討しています。

FRB内外で、かつては風変りと思われていた案ですが、物理的な現金にとって代わる仮想通貨を米国政府が運営する、という案がますます注目を集めています。

米ドルの優位性に脅威を感じて

この進展は、世界中の議員や規制当局が金融システムの秩序に対する脅威とみなす、グローバル決済ネットワーク、つまり、Facebookが計画している暗号通貨Libra(リブラ)のおかげと言われる状況です。

「Libraのおかげでこの方法がオープンになりました。」と、連邦財務分析のマネージングパートナーであり今後の政策転換について経営陣に助言する立場である、Kren Petrouはこう述べました。

しかし、これは、Facebookだけでなく、他にも国家で独自のデジタル通貨を検討している時代のなかで、議論は緊急性を帯びています。これは、米ドルの優位性に対する課題となりうる話でもあるのです。

また、今年の夏にはイングランド銀行の総長Mark Carneyは、中央銀行がデジタル通貨のネットワークを構築して、米ドルの世界準備通貨の地位を置き換えようという考えを浮かび上がらせました。

一民間企業でよいのだろうか、いや、FRBがすべきなのでは?

リブラがこれほどまでにFRBや世界の中央銀行にデジタル通貨構築を検討を余儀なくさせている理由は、ひとえに、民間企業が独自通貨を確立してグローバル決済システムをコントロールしうるのでは、という懸念からです。

今回、政治家や規制当局からの激しい抵抗で協会メンバーの4分の一を失ったFacebookが計画実行に失敗したとしても、中央銀行の心配は払拭されません。

何故なら、大企業がその産業に介入してくる可能性があるからです。
もし、FRBがデジタル通貨を確立しなければ、だれがやるのだろうかと、彼らは懸念を抱えています。

Facebook側とFRBの国際的な金融当局側による最近の相次ぐ動きは、上下院の両方からの議員を刺激して、米国中央銀行にある「選択肢」を提示するように促しました。

FRB議長の Jerome Powellに対して、French Hill 議員は、
「デジタル世界がどのように進化するのかを正確に知る人は誰もいません。しかし、大事なのは、この種の準備と分析を行う事なのです。」と、FRBに何が出来るのかを報告するように要請しました。

FRBにフィンテック開発の期待が高まる

FRBに高まる圧力は、テクノロジーの急速な発展が如何に金融システムの基盤を揺さぶり始めているのかを示す証拠です。

それは、政治家に心構えがあるのかが問われています。なかには、FRBがフィンテック開発において、より積極的な役割を果たすことを望んでいる政治家もいます。

「消費者決済システムは自然な独占で、MicrosoftのWordが自然に独占しているのと同じです。誰も、互換性のないワープロを使いたい人はいません。そこで疑問が湧きます。それ(自然な独占)は、どの民間企業でもなく、米国の納税者と米国政府が成すべきではないのかと。」
と、Hill議員と一緒にFRBにデジタル通貨を作る選択肢を説明するように求めたBill Foster議員は述べました。

FRB開発の可能性のデジタル通貨の詳細は、まだはっきりとしていません。
ビットコインなどの他の暗号通貨を支えるテクノロジーからインスピレーションを得る可能性があります。

フィラデルフィア連邦準備銀行のPatric Harkerは、デジタル通貨構想に着手した方がよいし、それは避けられない、と最近の会議で述べました。

正直、今年の6月までは緊急性を感じていなかった・・・

しかし、過去数年、FRBの指導者たちはそれに対して全く熱心ではありませんでした。
ワシントンに本拠地を置く理事会メンバーは、中央銀行が独自のデジタル通貨を作成すべきだという考えを却下しました。
しかし、それは、Facebookがその計画を公表する以前の話です。
ソーシャルメディア大手が6月に発表した、新しいデジタル通貨の先駆けとなる計画はFRBや世界中の規制当局を震撼させました。

そのFacebookのビジョンについて、トランプ大統領はじめ、下院金融サービス委員会議長のMaxine Waters議員ら一連の権力者は、決済ネットワークの混乱を危惧して、即座に懸念を表明しました。

彼らはFacebookの持つ巨大なユーザー基盤を非常に脅威にとらえたのです。
トランプ大統領は、米ドルは世界で最も、どこでも、支配的な通貨だとし、常に変わることはない、と強調して、ドルを脅かす存在というその懸念を即座に退けた程です。

IMF/世界銀行の会議でも議論の可能性

このような新しい通貨をとりまく議論は、今週、国際通貨基金(IMF)と世界銀行の会議の為に、ワシントンに集まっている世界のトップの金融政策立案者の間でもホットな議論となると見られています。

最近までIMF専務理事を務め、欧州中央銀行を率いた、クリスティン・ラガルド氏(Chirstine Lagarde)は、以前から政府がデジタル通貨を発行すべきだと主張をしていました。

「それは、空想科学小説ではありません。実際にカナダ、中国、スウェーデン、ウルグアイなど世界中の様々な中央銀行がこれらのアイデアを真剣に検討しており、変化と新しい考え方を受けれているのです。デジタル通貨を発行する可能性を検討すべきだと思います。」と、彼女は述べていました。

一方で、ビットコイン、イーサリアム、リップルなどの暗号通貨が、世界経済に悪影響を及ぼしかねない、規制が急務だと警鐘を鳴らしていました。

しかし彼女は、暗号通貨のことを、より迅速な決済とより安定した価値を提供することを目的として、絶えず自らを改革している、と評価していました。

まさに今、議論が沸騰している中央政府発行のデジタル通貨について先駆的な意見を持っていたリーダーだったのではないでしょうか。

国家がデジタル経済にお金を供給する役割があるのでは

ラガルド氏はこう提案していましたが、世界の中央銀行を代表する国際決済銀行(BIS)でも、今年の始めに、ほとんどの銀行が中央銀行のデジタル通貨の研究を行っており、その多くが概念研究から実験および概念実証に進んでいると、述べました。

現在の状況は、世界がどのようにハイテクノロジーを取り込んでいくのか、私たちは諸刃の剣を使いこなせるのか、さまざまな意見や見方を盛り込んでいます。今後もキャッチアップしてきましょう。

参考サイト:
“https://beincrypto.com/threatened-by-libra-us-central-bankers-reconsider-a-fedcoin/”
“https://www.politico.com/news/2019/10/15/facebook-federal-reserve-digital-currency-047477”
“https://www.finextra.com/newsarticle/34312/carney-digital-currencies-could-counter-the-destabilising-influence-of-the-us-dollar”
“https://www.telegraph.co.uk/technology/2018/11/14/central-banks-should-look-issuing-digital-currency-says-imfs/”
“https://www.coindesk.com/top-fed-official-says-us-central-bank-actively-debating-digital-dollar”

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