ウィンクルボス兄弟運営のGemini 保険会社「Nakamoto」を設立
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ウィンクルボス兄弟が運営する米国仮想通貨取引所Geminiは、コールストレージなどのオフラインで保管されている仮想通貨が盗難、紛失した際にクライアントを保護するための新たなキャプティブ保険会社「Nakamoto」を立ち上げると発表しました。
キャプティブとは?
キャプティブとは、自社グループ内のリスクを専門に引き受けるための保険子会社を指します。
「ナカモト」は、Geminiやグループ会社のリスクを専属的に引き受けるキャプティブ(保険子会社)として設立されました。
ビットコインの発明者である素性不明の「サトシナカモト」にちなんで「Nakamoto」と命名されています。
最大2億ドルの補償
Geminiのカストディーサービスを最大2億ドル(約220億円)まで補償するとのことで、仮想通貨カストディサービスの保険提供額としては世界最大とのことです。
コールドストレージでは、物理的にネットワーク接続から遮断されているため、ハッキングや盗難被害に遭う場合のほとんどが内部犯や共謀が原因とのことです。
また、台風や地震などの自然災害により秘密鍵が物理的に喪失することも想定されます。
Geminiのユスフ・フセイン氏は次のように述べています。
「Gemini新たなキャプティブは他の仮想通貨カストディアンが提供するコールドストレージにおける保険よりも、最も高い補償額を誇る」
Geminiのキャプティブが提供するコールドストレージでの補償額は最大2億ドルとされており、これは過去最高の補償額となります。
現在、海外仮想通貨取引所の多くは、ハッキング被害の補償を行うためにカバーファンドを用意していることが多く、Geminiのようにキャプティブを設立して対応することはより伝統的で正式な方法となります。
キャプティブを設立することにより、信頼性が向上すると共に、保険の保険とされる再保険の市場にも参入できることから、リスクの分散や補償額の拡大などのアドバンテージを利用することが可能になります。
フセイン氏は、次のように述べています。
「Geminiの補償範囲は、多くの機関投資家の要望に応えるものです。
一貫したセキュリティ・ファースト、コンプライアンス・ファーストのポリシーを貫き、規制に準拠した取引所とカストディーサービスを提供します。」
今回の保険は、Geminiのコールドストレージの顧客資産のみに適用されます。
一方で、米国仮想通貨最大手のコインベースの保険では、ホットストレージの顧客資産が対象となっており最大2億5500万ドル(約280億円)とのことです。
米保険ブローカー大手マーシュ、エーオンと協力
「Nakamoto」は、米国大手保険ブローカーであるエーオンとマーシュの協力により立ち上げられ、バミューダの金融当局のライセンスを取得したと言います。
マーシュのリスク部門の責任者であるサラ・ダウニー氏は次のように述べています。
「キャプティブ保険によりGeminiは以前には参入できなかった再保険市場にアクセスできるようになりました。これによりGeminiの保険サービスの幅は格段に広がりました。」
エーオンは、Geminiのキャプティブマネージャーとしての機能を果たし、マーシュはデジタル資産リスクチームを通じて、超過保険の仲介を行うとのことです。
超過保険とは「Nakamoto」が提供する保険の実際の価格を超える損失を補償するものです。
ウィンクルボス兄弟は、保険サービスの提供は仮想通貨普及への最大のハードルの一つである強調し、次のように述べています。
「Nakamotoの設立により、保険の規模を拡大することが可能になりる。仮想通貨業界の前進にも貢献するだろう。」