NEMの名前の由来はNew Economy Movement(新たな経済運動)の略称です。
ネムは「次世代ブロックチェーンプラットフォーム」であり、ビットコインが生み出したブロックチェーン技術をさらに使いやすく改良したものです。
2015年3月31日に上場され、2017年7月現在、時価総額で6位です。
NEMのブロックチェーンで使われる通貨はXEM(ゼム)と呼ばれ、発行上限は89億9999万9999と決まっています。そのため、ビットコインのマイニングにあたるものはなく、コインの新規発行はありません。
その代わり、取引の承認など、ネットワークへ貢献したユーザーには、後述する「ハーベスティング」という仕組みによって報酬が分配される仕組みが取られています。
NEMの最大の特徴、プルーフ・オブ・インポータンス(PoI)とは?
ネムの最大の特徴の1つは、「プルーフ・オブ・インポータンス(PoI)」というコンセンサスアルゴリズムを使っているという点です。
ビットコインでは、「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」というコンセンサスアルゴリズムを使って「マイニング」をしています。
プルーフ・オブ・ワークは大量の計算を一斉に行い、一番初めに正しいノンス値を当てて取引を承認したマイナーに報酬が支払われるという仕組みです。
プルーフ・オブ・ワークでは、大量の計算を行わなくてはいけないため、大量の高速コンピュータを持っているマイナーがマイニングに有利で、個人のマイナーはマイニングに参加できないという不平等な側面があります。
さらに、たくさんのコンピュータを動かすためには大量の電力を消費するため、環境的にもあまり好ましくないという状況です。
このため、プルーフ・オブ・ワークを改善したプルーフ・オブ・ステーク(PoS)という仕組みが考えられました。
プルーフ・オブ・ステークは、ユーザーが保有しているコインの量に応じて報酬が発生する仕組みです。
この仕組みでは、大量の計算をしたり多くの電力を使ったりする必要はなくなりましたが、コインを大量に保有しているだけで、コインを使わないユーザーがいるために、コインの取引が滞ってしまうという問題点があります。
また、資産の多いユーザーのみに報酬が偏るため、資産をあまりたくさん持たないユーザーは報酬を得る機会が少ないという点も問題です。
ネムでは、これらの問題点を改善すべく、マイニングではなく、プルーフ・オブ・インポータンスという技術を使った、「ハーベスティング」という仕組みでユーザーに報酬が支払われる仕組みをとりました。
プルーフ・オブ・インポータンスというのは、簡単にいうと、「ネムのコインの保有量と取引量に応じて報酬が発生する仕組み」です。
ネムのネットワークを使って取引する人は手数料を支払います。
抽選で選ばれたユーザーは取引を承認する報酬としてその手数料をもらえますが、その報酬発生の頻度が、持っているコインの保有量だけではなく、取引をした回数や金額も考慮して決められるのです。
このようなPoIの仕組みによって、PoWのように大量のコンピュータを持つマイナーがマイニングを独占したり、PoSのように多くの資産を持つユーザーだけがますます報酬を得られたりといった不平等を解決することができます。
また、PoIはPoWのようにコンピュータによる大量の計算が不要なため、年間維持コストが1/2000未満であるという点もメリットの1つです。
ネムのPoIを使ったハーベスティングの仕組みは、仮想通貨の最大の特徴の1つである「中央管理者不在で分散型の管理」や「資産の平等分配」を実現するものとして、そうした理念に共感する人たちから大きな支持を集めています。