日本仮想通貨交換業協会、自主規制ルール案を公表
<この記事(ページ)は 4分で読めます>
仮想通貨取引所の業界団体、日本仮想通貨交換業協会が、12日、自主規制ルールの概要を明らかにしました。
匿名性の高い仮想通貨は禁止
新たな仮想通貨の取り扱いについては、発行状況、管理者、保有者などについて協会が審査するとのことです。
交換業者が新たな仮想通貨の取り扱いを始める際には事前の協会により審査を経て金融庁の審査へと進みます。
協会が意義を述べた場合は、取り扱いを許可しないとのことです。
また、取引履歴の追跡ができないよう設計されている仮想通貨や、追跡が難しい匿名通貨の取り扱いは禁止するとしています。
コインチェックは、流出事件前に多くの仮想通貨を扱っていましたが、事件後の2018年5月に、匿名性の高さなどが指摘されていたMonero(モネロ)、Zcash(ジーキャッシュ)、Dash(ダッシュ)、Augue(オーガー)の取り扱いを廃止しています。
相場操縦の対策や情報管理の徹底
日本国内で仮想通貨取引が始まってから約5年間、明確なルールが存在しませんでした。
そのため、取引所関係者が事前に得た情報を元に特定の仮想通貨を買い、取引所での扱いを始めることなどで、価格の上昇を狙う不正行為があったと言われています。
2017年に、資金決済法が施行されてからも、取引所側のこのような不正行為への疑いが度々ネット上で指摘されるケースが起きています。
これらの問題へ対処するため、交換業者内部の重要情報や売買判断に影響し得る情報の取り扱いについての、明確なルールを定めるとしています。
また、不正な取引が疑がわれる場合は、協会への報告も義務付けられます。
レバレッジ取引は4倍まで。ロスカットの導入も。
レバレッジ取引とは、証拠金を取引所に預けることで少ない資金で多額の取引ができる方法です。手元に10万円の資金があった場合に、10倍のレバレッジをかければ100万円の取引ができることになります。
値上がりすれば多くの利益を得ることができますが、値下がりした場合は損失も大きくなり、ユーザーが大きな借金を抱えることになってしまいます。
仮想通貨価格の変動が激しいことから、レバレッジは4倍までという「協会指定水準」が設けられました。
また、ユーザーが多額の負債を抱える事態を避けるために、一定の損失が出た時には自動的に決済をさせる「ロスカット」が導入されています。
ICOは協会の審査が必要
仮想通貨で資金を集めるICO(Initial Coin Offering)は、2017年以降、各地で実施されており、今や数千億円規模の資金を調達するICOもあります。
一方で、プロジェクトの実現性が不明確なものや、資金を集めたまま、立ち消えになるプロジェクトも多数指摘されてきました。
これに対処するため、協会がICOプロジェクトの実現性と技術的な安全性を、事前に審査することになりました。
ただ、国内ではICOの法的な位置付けが決まっていないため、事実上、現在はICOを実施できない状況です。
協会による審査方針決定に加えて、金融庁の方針が定まってからの実施になる見込みです。
金融庁によると、現在、160社を超える企業が仮想通貨交換業げの参入の意向を表明しているといいます。
自主規制ルールの策定は、仮想通貨市場の環境整備を進めることで市場の活性化にもつながるとして、期待されています。
参考サイト:
“https://www.businessinsider.jp/post-175099”
“https://www.ccn.com/japans-regulator-adds-personnel-to-review-crypto-exchange-license-applications/”