ブロックチェーンビジネス、2030年までに2兆ドルに達する可能性
<この記事(ページ)は 4分で読めます>
市場調査の専門家IHS Markitによると、ブロックチェーンを企業のビジネス戦略に組み込むことで実現可能なコスト削減と効率化に寄与し、ブロックチェーンのビジネス価値は、2017年の25億ドルから2030年には2兆3000億ドルまで増加すると見込まれています。
ブロックチェーン技術は全業界に波及
IHS Markitの上級ブロックチェーンアナリストのDon Taitによると、ブロックチェーンを早期から採用している者は、主に支払い関連ソリューションを使用する金融サービス業界の企業でしたが、ブロックチェーン技術はほぼ全ての業界にまで波及し、今後数年間にほとんど全ての組織に影響を与えるだろうとのことです。
まだまだ新興の技術ではありますが、ブロックチェーンには変革の可能性があると言われ、特に垂直的な業界市場とアプリケーション分野で大きな可能性を示しています。
各業界におけるブロックチェーン技術
金融市場では
金融サービス、保険、フィンテックを含む金融垂直市場では、国境を超えた支払い、株式取引、有価証券、債権管理、デリバティブ、公的市場と民間市場の資産保管、通貨、担保管理およびコーポレート・アクション処理が含まれます。
世界の株式市場の時価総額は、73兆ドルにも達しているため、小規模のコスト削減と効率化でさえ、ブロックチェーン技術を導入しようとしている企業や業界に大きなビジネス価値をもたらします。
このことからも、金融市場はブロックチェーンを利用する最大の市場となるだろうと、Tait氏も分析しています。
サプライチェーン・物流市場では
サプライチェーンおよび物流業界も、ブロックチェーン技術の導入により大幅に改善されると予測されています。
実際、世界貿易機関(WTO)は、サプライチェーン全体での障壁の削減は、世界の国内総生産(GDP)を5%、総貿易量を15%増加させる可能性があると見積もっています。
Tait氏も、現在のサプライチェーンの複雑さと透明性の欠如のため、ブロックチェーンが同業界にどのような変化をもたらすか、関心を持って見ているようです。
個人情報管理では
個人情報管理は垂直市場ではありませんが、多くの垂直市場で使用されているアプリケーション領域です。
そのため、予想されるブロックチェーンプロジェクトの数が増加し商業的に展開されるにつれて、個人情報管理関連のビジネス価値は、2030年に2000億ドルに達すると予測されています。
小売および電子商取引では
商業的に展開されるブロックチェーンプロジェクトの数が増えるにつれて、小売や電子商取引のビジネス価値は2030年には1660億ドルに達すると予測されています。
小売や電子商取引部門でブロックチェーンを使用することで、顧客との直接的な関係の機会を得ることができ、企業はニーズや行動をより深く理解することができる、とTait氏は述べています。
また同氏は、ブロックチェーンとスマートコントラクトは、中央集権的仲介の存在なしに、様々なビジネスルールに従って、需給双方が信頼できる取引に従事することができる、新世代の市場を生み出すためのツールとフレームワークを提供することもできるだろう、との見方を示しています。
ヘルスケア市場では
アメリカでは、製薬会社が被る偽造医薬品による損益は、年間2000億ドル以上と言われています。
ブロックチェーンは、これらの損失を減らすのに役立つ可能性があります。
同部門におけるブロックチェーンの事業価値は、2030年には1340億ドルに達すると予測されています。
電子医療システム全般にわたる健康情報の共通データベースの作成、より高いセキュリティとプライバシーの発揮、医師の管理時間短縮、新薬や研究結果の共有の迅速化などの、今日医療業界を悩ませている多くの問題の解決に使用できると見込まれています。
まとめ
以上のように、様々な業界に画期的な影響を及ぼすとみられているブロックチェーン技術。
近い将来、ブロックチェーンのビジネス価値はさらに上がっていきそうですね。
参考サイト