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ビットコイン9カ月ぶりに価格上昇、理由を徹底解説

2019.05.20
【2019年5月最新】仮想通貨上昇相場の理由は?

<この記事(ページ)は 6分で読めます>

2019年5月11日頃から突如始まった9カ月ぶりの仮想通貨相場の高騰。
なぜビットコインを始めとする仮想通貨の価格が突然上がったのか、著名ストラテジストのトム・リー氏の意見も交えながら解説します。

理由1: 米中貿易摩擦と株式市場のリスクオフ

1つ目の理由は、深刻化を極める米中貿易摩擦の影響です。

2019年5月5日、トランプ大統領が関税を25%にまで引き上げると表明したことによって、人民元は対ドルで2%下落しました。米主力企業のアップルも、製品の組み立てのほぼ全てが中国で行われているため、大幅なコスト増加に伴う価格上昇または利益の縮小が起こるのではないかと予測されています。

大国同士の関税の引き上げ戦争は世界的な株式市場にも負の影響を与え、不安感が広がることとなりました。

そこで、株式に資金を充てていた投資家たちがリスクオフのために、株式と相関性を持たない仮想通貨に資金移動を行ったと考えられています。CNBCのインタビューで、トム・リー氏も同様のことを指摘しています。(“https://www.cnbc.com/2019/05/14/heres-what-could-take-bitcoin-to-its-all-time-high-tom-lee.html”)。

理由2: ビットコイン1万ドル(100万円)ラインへの接近

2つ目の理由は、ビットコイン価格が1万ドル(100万円)ラインに接近したことにより、市場への新規参入者を呼び込んだということです。

以下は、2019年4月中旬からのビットコインの価格チャートです。赤いラインが1万ドル(100万円)を表しています。
1万ドルに接近するビットコイン価格
2019年に入ってから少しずつ1万ドル(100万円)ラインに近づいていることが分かります。

更に、2017年末から2018年初めの仮想通貨大暴落をきっかけに仮想通貨を持ってはいるがトレードはしない、という層も価格上昇への期待から市場へ復活する動きがあるようです。

市場に参入する人が増えると流入する資金も増えるので、更なる価格上昇に繋がるということです。こちらも、CNBCのインタビューでトム・リー氏が強調していた観点です。

理由3: テザー(USDT)の乖離減少

3つ目の理由は、 不正発覚により拡大したテザー(USDT)の米ドルとの価格乖離が減少したことです。

2019年4月26日、 米ドルのステーブルコインであるテザー(USDT)に、裏付け資産約950億円の不正利用が発覚しました。ステーブルコインで裏付け資産が不正利用されていたという衝撃的なニュースは、仮想通貨相場全体に打撃を与えました。

テザー(USDT)は、肝心な米ドルとの価格の連動性が失われて、一時はマイナス4%強もの価格乖離(1USDT=0.9550USD)が起こっていました。

しかし、ビットコインが高騰し始めたことによって、テザー(USDT)に資金の流入が起こり、価格の乖離が軽減されました。

以下は4月下旬からのテザー(USDT)の価格チャートです。
価格乖離が回復するテザー
4月26日に大幅な下落が見られますが、現在は1USDT=1USDの状態に近くなっています。

一時は相場全体を賑わす事態を呼んだテザー(USDT)の価格が安定し始めたことで、全体の投資家心理にプラスの影響を与えたと考えられます。

理由4: 現物とFXの乖離率から分かるロング優勢

ビットコインの価格を、現物とFXで比較することでロング優勢(上昇相場)かショート優勢(下落相場)かを判断することができます。一般に、FXの価格が現物価格と比較してマイナス乖離になっていながらも、価格上昇の動きが見られる時はロング優勢(上昇相場)と判断できます。

FXで先行して売りに出されているにも関わらず、価格の動きが逆行して上がっているからです。

逆に、FXの価格が現物価格と比較してプラス乖離になっていながらも、価格下落の動きが見られる時はショート優勢(下落相場)と判断できます。

今回はbitFlyerの現物価格とFX(bitFlyer Lightning)価格を比較して見てみましょう。
bitFlyerの現物価格とFX(bitFlyer Lightning)価格比較
引用元:Trading View (https://jp.tradingview.com/chart/gDN3BtGo/)
5月6日から11日のチャートです。下段が現物に対するFXの価格乖離率を表しています。上段の現物価格チャートは上向きに推移していますが、下段の価格乖離率チャートは下向きに推移しています。FXでは先行して売りに出されていながらも価格が上昇している状況なので、強いロング優勢の相場だと判断できます。

このように、FXと現物の需給を比較することも価格変動を考える際に役立ちます。

ちなみに、5月20日現在の最新価格乖離率チャートを見てみると以下のようになっています。
5月20日現在の最新価格乖離率チャート
引用元:Trading View (https://jp.tradingview.com/chart/gDN3BtGo/)
このチャートを見る限りでは価格は上昇しているものの、マイナス乖離の現象は起きていないので、今後もしばらく強いロング優勢が続くと断言はできないでしょう。

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まとめ

以上の様々な原因をまとめると、仮想通貨にまつわる複数の上昇要因が複合的に投資家心理にプラスの影響を与え、継続的な上昇相場を作ったと言えます。トム・リー氏は「仮想通貨への新たな需要や興味は確かに集まってきており、このような現象がビットコインの最高値更新に繋がるのだ」と述べています。

今回の価格上昇が仮想通貨市場への新規参入者を呼び、次の更なる価格上昇へのステップとなったはずです。

参考サイト:
“https://kasobu.com/bitcoin-rise/#2019512_BTCBitcoin_80”
“https://forbesjapan.com/articles/detail/27250”
“https://www.cnbc.com/2019/05/14/heres-what-could-take-bitcoin-to-its-all-time-high-tom-lee.html”
“https://coinpost.jp/?p=83738”
“https://note.mu/flex3rd/n/nc5570c8048”

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