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地域来訪者の興味関心をトークンに、『YOKANE』が福岡市で実証実験

2019.12.06
YOKANE

<この記事(ページ)は 7分で読めます>

福岡県天神地域でYOKANEという仮想通貨の実証実験が行われています。

ブロックチェーンの、どのような資本でもトークン化し、信頼性を担保した上で流通させることができるという特性を大いに生かしたプロジェクトになっています。

地域活性化にどのように貢献しているのか、その他の地域通貨の例も参考にしながら見てみましょう。

YOKANEとは

ユニークな企業のコラボ

YOKANEは、現在福岡県天神地域を対象に実証実験が行われている地域の活性化を目的として開発された仮想通貨です。

IoT事業に取り組む株式会社ウフルと、様々な有名アーティストを手がけるカルチャープロダクション、アソビシステム株式会社が共同で開発しました。

株式会社ウフル
ウフルは、IoT事業を核とし、データの制御を分散化させる「エッジコンピューティング」を活用したサービスを提供しています。
ソフトバンクやキリンなどの大企業とも共同で事業を行っており、大きく成長中のIT企業です。

 

アソビシステム株式会社
アソビシステムは原宿を中心とする「アソビ」のカルチャーを創り、世界に発信することを目的として多様なビジネスを展開しています。
きゃりーぱみゅぱみゅや中田ヤスタカに代表されるアーティストのマネジメントを始め、イベント事業、メディア運営、店舗事業、クリエイティブ事業、インバウンド事業などを手がけています。
両者とも、新しくユニークな施策を積極的に取り組み、成功させている企業です。

地域の魅力を「見える化」

YOKANEの目的は、地域の魅力をトークンを通じて「見える化」すること、そしてそれを経済活性化に繋げることです。

これまでのSNSやコミュニティアプリにおいても、ブロックチェーンは活用されてきました。

しかし、その多くの目的は、交流の活性化や広告運用でした。

YOKANEでは、ブロックチェーンの本質的な価値を、どのような資本でもトークン化し、信頼性を担保したうえで、流通させることと捉えています。

「YOKANE」はこうした特性を生かして「地域の魅力」という曖昧なイメージを価値を持ったトークンに変えているのです。

なぜ福岡・天神だったのか

それでは、なぜ今回の実証実験の対象地域は福岡市・天神だったのでしょうか。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、地域に根ざした興味関心・郷土愛を示す「シビックプライド」が政令指定都市の中で最も高かったのが福岡市で、経済地域としても全国有数であるからです。

YOKANEの中で価値が付与される地域の魅力を感じられやすいという点と、YOKANEトークンを流通させる店舗も十分にあるという点で福岡市には大きな可能性があると言えます。

YOKANEの仕組み

それでは、YOKANEがどのような仕組みで機能し、地域の魅力をめぐる経済圏を作るのか見てみましょう。

YOKANEの仕組み
出典:PRTIMES「アソビシステムとウフルが共同でブロックチェーンを活用した新サービスを提供開始。地域の魅力をトークン化し、地域経済を活性化」

このサービスのターゲットは地域来訪者で、地域来訪者のコミュニティアプリとして機能します。
トークン単位としての“Yokane”は、ユーザーの興味関心や感謝の度合いを表します。

ユーザーは自らの投稿にトークンを付与することで興味関心の度合いを表現し、より多くのトークンを付与することで投稿を目立たせることが出来ます。

また、他のユーザーに対してその活動に共感・感謝しているという意味でトークンを付与することも出来ます。

トークンは実際の店舗に設置されているQRコードを読み取るか、他のユーザーから贈られることで獲得することが出来ます。

YOKANEは体験の経済圏を作ります。

YOKANEの課題解決

YOKANEは以下の2つの課題を解決できます。

①地域の魅力的な「体験」はSNSに埋もれている

SNSの普及によって多様な情報が流通し、Instagramでの写真映えスポットの共有など、徐々にオンライン世界とオフライン世界の境目がなくなりつつあります。

その中に、地域の魅力的な「体験」に関する情報は埋もれがちです。

これらの情報には共感や友情、信頼、感謝といった社会関係資本と呼ばれるものが含まれます

YOKANEでは、この見過ごされている社会資本をトークン化して流通可能にすることで、リアル世界の人間関係や地域の本当の魅力を「見える化」させることができます。

②地方の活気の減少

日本において、人口減少により地方の過疎化と人材の流出が深刻化しています。

それに伴って、地方の活気が失われています。

そういった問題解決にも、地方の魅力が発信されるYOKANEは効果的です。

YOKANEの今後


写真提供:福岡市

現在は福岡県天神地域の900店舗と提携していますが、さらに企業・団体を募り、福岡市に限らず多くの地域団体との連携やエンタメイベント等での活用も視野に入れ、様々な取り組みでさらなる地域活性化に貢献していくようです。

地域通貨の様々な例

地方の活性化に仮想通貨を活用する流れは既にできており、地域通貨の他の例として以下のようなものがあります。

その地域ならではの価値を発信・定着できるところと、地域のキャッシュレス化を推進できる点が大きなメリットです。

神奈川県鎌倉市「まちのコイン」


出典:まちのコイン

「まちのコイン」は株式会社QWANが開発した、地域のつながりづくりを目的としたコミュニティ通貨です。

利用ターゲットは、地域に住んでいる人、仕事で来る人、あまり来れないけれど地域が好きな人という地域に関わる全ての人です。

神奈川県鎌倉市・小田原市、福岡県八女市、北海道下川町での導入が決定しています。

現在実証実験が行われている鎌倉市では、地域の清掃活動(ビーチクリーンなど)に参加、地域店舗に来店といったSDGsと地域の活性化にまつわるアクションを行うとコインを受け取ることができ、地域の店で使うこともできます。

鎌倉市がこのプロジェクトを通して目指しているのは、使う人がサステナブルな社会作りと地域コミュニティ作りを自分ごと化してもらうことです。

岐阜県・白川村「さるぼぼコイン」


出典:飛騨信用組合「さるぼぼコイン」

地域の加盟店での支払いをスマホアプリで行うことができる地域限定の通貨で、飛騨信用組合が開発しました。

飛騨信用組合の通帳からチャージできる点、チャージ時にポイントが貯まる点、市の納税で使える点などが特色です。

飛騨信用組合の担当者は、さるぼぼコインを導入してもらうことによって、オペレーションが共通しているAlipayの導入も進みキャッシュレス化を促進していると語っています。

さらに、今後は「円では買えない、さるぼぼコインでしか買えない商品」を提供していくほか

MaaS(Mobility as a Service)の実証実験を行う構想もあるようです。

東京都・下北沢「シモキタコイン」

出典:シモキタコイン

このコインは、株式会社シモキタコインによってリリースされた「下北沢を愛している人と一緒に下北沢独自の経済圏を作り、さらに楽しい街にするための電子地域通貨」です。

下北沢の加盟店で利用できるほか、ユーザー間の送金もできるため、飲食店などでの割り勘が簡単にできます。

さらに、下北沢のイベントでの決済に利用することでポイントが貯まるサービスもあります。

まとめ

地域来訪者の興味関心という見えない社会関係資産をトークン化して価値を付与する地域通貨、YOKANEを中心に地域通貨のご紹介でした。

YOKANEでは、今ログインすると1000Yokaneもらえるキャンペーンを実施しているようなので、これから天神に行く方や福岡にお住まいの方はぜひ登録を検討してみてはいかがでしょうか。(https://yokane-t.net/

地域を活性化させるための通貨づくりは全国で行われているため、仮想通貨普及の第一歩としてこれからも発展するといいですね。

参考サイト:
“https://yokane-t.net/”
“https://coin.machino.co/”
“https://shimokitacoin.co.jp/”
“https://crypto.watch.impress.co.jp/docs/news/1209405.html”
“https://note.mu/machino_coin/n/ne565d01851d6”
“https://www.hidashin.co.jp/coin/”
“https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000053.000017258.html”
“https://uhuru.co.jp/news/”
“https://amp.review/2019/11/15/yokane/”
“https://asobisystem.com/”

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