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大量のビットコインが永遠に失われた?

2017.12.20
大量のビットコインが永遠に失われた

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大量のビットコインが永遠に失われているとするショッキングな報道がありました。しかし、内容を確認すると、実際はそうでもないことがわかりました。一体どういうことなのか、解説します。

ビットコインは10分ごとに採掘され、2140年までに全部で2100万BTCが発行されることになっています。現在1675万BTCまで発行されていますが、そのうち、多くて379万、少なくとも278万のビットコインが永遠に失われているとした報道でした。

278万BTCともなれば、現在までの総発行量の6分の1にもなります。現在の価格から計算すると、その消失額は日本円で約5兆5600億円です。

そんな大量のビットコインがさまざまな理由により、インターネット上から消えてなくなっていると、ビットコイン調査会社Chainalysisが報告したのです。

調査結果を検証する

調査結果によると、インターネット上から永遠に消失したと予測されているビットコインの内訳は下記の通りです。

長期保有者による保有分 256万BTC
サトシ・ナカモト保有分 104万BTC
トランザクションによる消失 12万BTC
短期的な取引による消失 7万BTC

長期保有者とは、2〜7年前に採掘されたビットコインを長期間保有している人を指し、2009〜2010年に生成されたビットコインアドレスが大部分を占めているそうです。しかしこれは、流通していないだけであって、安全なウォレットに保管されているとも考えられます。

つまり、256万BTCのどこまでが本当に失われているのかは明確になっていません。流通していないだけで消失していないBTCは確実にあるはずなので、この調査結果をうのみにすることはできません。

次に、サトシ・ナカモト保有分の104万BTCですが、これは2010年までに採掘されたビットコインです。当時のビットコインは、ごく一部の人たちにしか知られておらず、マイニングは長いことサトシ・ナカモトが一人で行っていました。そのため、その間に発行されたビットコインはサトシ・ナカモトに与えられ、そのまま保有しているとみられています。

このサトシ・ナカモト保有分も、流通していないだけで失われたわけではありません。ただし、サトシ・ナカモトが保有分を手放さないかぎり、永遠に失われたことと状態は変わりありません。

ちなみに、ビットコイン保有分が2兆円にまでなったサトシ・ナカモトは、フォーブズのビリオネアランキングの世界第44位に相当するとのことです。

次に、トランザクションと短期的な取引による消失分計19万BTCについては、これは十分ありうる話だといえます。送金アドレスの間違いで失われたり、秘密鍵がわからなくなって失うことは珍しい話ではありません。この部分は信ぴょう性があるでしょう。

多くのビットコインが消失したことは事実

実は、長期保有者による保有分の256万BTCのなかには、それがどれだけの額になるのかは定かではありませんが、確実に「失われたビットコイン」が存在します。秘密鍵をなくしたり捨てたりした人たちがいるからです。

2011年から2012年にかけて、ようやくビットコインが通貨として使われるようになったのは、違法薬物などを扱う闇マーケットサイト「シルクロード」での利用のためでした。利用者は当局からの追跡を免れるため、匿名通貨のビットコインをこぞって求め、そのビットコインでドラッグなどを購入していたのです。

しかし、シルクロードはほどなくして閉鎖されます。それは、ビットコインの使い道がなくなったことを意味しました。つまり、闇マーケットの利用者たちがビットコインを紙くずにもならないものとして捨ててしまったとしても、何ら不思議なことではないということです。

彼らはビットコインが欲しくてビットコインを手に入れたわけではないので、ドラッグなどと交換できないビットコインは無価値なものでしかありませんでした。こうして破棄されたビットコインは相当な額になると推測できます。

また、長期保有者のなかには、ビットコインの秘密鍵をなくしたり、取引所が倒産して預けていたビットコインがなくなったりした経験がある人が少なくありません。

サトシ・ナカモトの次に多くのビットコインを保有しているとされるロジャー・ヴァー氏は、ごく初期のころからビットコインの普及に努めてきた功労者です。マウントゴックスが唯一の取引所だった時代に、同社マルク・カルプレス氏に協力して渋谷のオフィスで奮闘していた話はよく知られています(参考文献)。

そんなロジャー・ヴァー氏も、ビットコインの秘密鍵をなくしたり、取引所が倒産してビットコインが消失したりする憂き目を何度も見てきたそうです。

このように、その総額がいくらになるのかは不明ですが、永遠に失われたビットコインはあります。そこもまた、ビットコインの稀少性を高めることにつながります。

大切な財産であるはずのビットコインは形を持ちません。形がないからこそ保管には十分な注意が必要です。秘密鍵をなくしたら二度とビットコインを取り戻すことができませんので、十分に気をつけたいものです。

そのために気をつけたい点をまとめましたので、こちらの記事をぜひご覧ください。

 

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