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仮想通貨のネオ(NEO)とは?
ネオ(NEO)は、中国初のパブリックブロックチェーンとして、2015年10月にICOが開始された仮想通貨です。
パブリックブロックチェーンとは、ビットコインのように、不特定多数の参加者によって維持・管理されるブロックチェーンを指します。
元々はアントシェアーズ(ANS)という名前だったのですが、2017年6月22日からネオ(NEO)に改名されました。
時価総額では7位につけており、仮想通貨界全体でも強い存在感を放っている仮想通貨です。
仮想通貨ネオ(NEO)の特徴
ネオの一番の特徴は、イーサリアムと同じくスマートコントラクト機能を有することです。
このことから、中国版イーサリアムと呼ばれることもあります。
しかし、イーサリアムと似ているのはむしろスマートコントラクト機能を有するプラットフォームという一点のみで、発行枚数やアルゴリズム、開発言語などは全く異なっており、独自の道を進んでいる仮想通貨です。
また、ネオというのはプロジェクトの名前であり、ネオのトークンとしては、スマートコントラクト機能を有するNEO(略号:NEO)と、スマートコントラクトを実行するための燃料として使われるGas(略号:GAS)の2種類が存在していることも特徴的です。
仮想通貨ネオとイーサリアムとの違いを比較
ネオ(NEO)の発行枚数
NEOの発行上限は1億枚となっており、発行上限が定められていないイーサリアムと異なります。
最初から全てが発行されたわけではなく、2015年10月のICO時点で発行上限の半数の5000万枚が発行されました。
残り半数の5000万枚は最初のうちはロックされていましたが、2017年10月16日に発行され、ネオ運営チームの資金や、非常事態に備えるための予算として配分されました。
そのため、NEOの半数は市場には公開されず、運営チームが保有しているということになります。
後述しますが、これはNEOのブロックチェーンを健全に保つための措置でもあり、NEOの承認アルゴリズムに関係しています。
ネオ(NEO)の承認アルゴリズム
NEOの承認アルゴリズムは、Delegated Byzantine Fault Tolerant(DBFT)と呼ばれるものです。
ホワイトペーパーでは、ビザンティン耐障害性コンセンサスメカニズムと訳されています。
具体的な仕組みとしては、まずネオのブロックチェーンに参加する人々が投票を行うことで、参加者の中からブックキーパーと呼ばれるブロックの監視者候補を数人選出します。
候補者からランダムに選ばれたブックキーパーの1人はネオのブロックを生成する権利を持ちますが、ブックキーパーに選ばれなかったほかの候補者からの66%以上の信任投票が得られなかった場合、そのブックキーパーはブロック生成の権利を剥奪されます。
そして、代わりに他の候補者に対して信任投票を行い、66%以上の信任投票が得られればその候補者がブックキーパーとして確定し、信任投票が得られなければまた他の候補者に対して投票を行います。
これが、実際にブロックを生成できるブックキーパーが決定されるまで繰り返し続けられます。
ブックキーパーがブロックを監視するとともに、ネオのネットワークの参加者がブックキーパーを監視する仕組みによって、ブロックチェーンの信頼性を保つ仕組みです。
新しいブロックを生成するブックキーパーは1人しかいないのでブロックチェーンの分裂(ハードフォーク)が起こることはほぼなく、かつブックキーパーでなくてもNEOホルダー全員が報酬を受け取れるため、プルーフ・オブ・ワークやプルーフ・オブ・ステークのように寡占が起きにくく民主的な性質が強いアルゴリズムです。
このように、ブックキーパーと他のユーザーが相互に監視しあう形をとっているとはいえ、投票により選出されたブックキーパーが悪意を持ってネオのブロックチェーンを支配しようとする可能性は否定できません。
そうなってしまえば、ネオ全体の信頼性が失われることにも繋がるため、そうした自体を防ぐため、ネオ運営チームがNEOの発行上限の半数を保有することで、悪意ある何者かにネオが支配されてしまうことを防いでいるのです。
一方イーサリアムは、ビットコインやライトコイン、モナコインと同じ、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用しており、将来的にはプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行することを予定しています。
ネオ(NEO)の開発言語
ネオとイーサリアムの違いには、開発言語の違いもあります。
イーサリアムの開発は、Solidityというイーサリアム専用の開発言語を使用する必要があり、イーサリアムの開発に関わる全てのエンジニアはまずこのSolidityを習得しなければなりません。
この開発のハードルの高さがイーサリアムの欠点であると言われています。
ネオの場合は、イーサリアムと異なり、専用の開発言語を習得する必要はありません。
それどころか、ネオのサポートにより、ほとんどあらゆる開発人口の多い開発言語でネオの開発を行うことができるのです。
具体的には、現在、C#、VB.Net、F#、Java、Kotlinがサポートされています。
さらに、将来的には、C、C++、GO、Python、JavaScriptもサポートされる予定です。
ホワイトペーパーでは、これらの言語をサポートすることによって、世界の開発者の90%がネオのプラットフォーム上でスマートコントラクトアプリケーションを開発できるとしています。
ネオの開発に関わるエンジニアは自分の得意な開発言語を使用することができるため、参加のハードルが非常に低くなります。
そのため、ネオプラットフォーム上で動作するアプリケーションの開発が容易で、ネオのネットワークが活発化する助けになります。
いくら便利で高度な技術といえども、それを使える人がいなければ役に立ちません。
高度な専用言語を習得する必要がなければ開発コストが低く済むため、大企業が参入しやすくなるかもしれません。
数多くの企業・ユーザーを獲得できればスマートコントラクトプラットフォームのデファクトスタンダードにもなりえるため、ネオの開発ハードルの低さは大きな利点と言えるでしょう。
仮想通貨ネオ(NEO)とガス(GAS)の違いって?
前述の通り、ネオというのはプロジェクトの名前です。
そのプロジェクト内のトークンとして、NEO(略号:NEO)とGas(略号:GAS)の2つが存在します。
NEOは、ネオの根幹をなす、スマートコントラクトプラットフォームとして機能する通貨です。イーサリアムのトークンであるEther(ETH)と同じですね。
NeoGas(GAS)は、NEOでスマートコントラクトを実行する際に、燃料として消費されるトークンです。
イーサリアムも同じように、スマートコントラクトを実行する際には燃料としてガスを消費します。
ただし、こちらはガスというトークンがあるわけではなく、小額のETHを燃料として消費する仕組みになっています。
Gasは、イーサリアムのガスとは違い、Gasというトークンとして存在しており、これを燃料として消費します。
NEOはICOとして販売されましたが、Gasは販売されていません。
入手方法としては、保有するNEOをNEON Walletという専用ウォレットに預けておくことで、ブックキーパーがブロックを生成するたびに、NEOの保有量に応じて配当としてGasが配布される仕組みとなっています。
Gasの発行上限はNEOと同じく1億枚で、22年かけてすべて発行される予定です。
これを燃料として支払うことで、NEOのスマートコントラクトを利用することができるのです。
中国の規制とアリババとの提携を受けたネオ(NEO)の今後・将来性
ネオは、中国で生まれた仮想通貨です。そのため、中国による仮想通貨の規制の影響を大きく受ける可能性があります。
事実、2017年9月に中国がICOの規制を発表したとき、ICOプラットフォームとしての活躍も期待されていたネオの価格は大きく下がりました。
そのときのチャートをご覧ください。
発表後わずか8時間ほどで30ドルから20ドルへの下落です。
このように、仮想通貨の普及に否定気味の中国の舵取りひとつで大きく影響を受けてしまう可能性があることには注意が必要でしょう。
しかし、中国の仮想通貨であることは悪い点ばかりではありません。
時価総額5200億ドルを誇り、中国のアマゾンと呼ばれる超巨大企業「アリババ(Alibaba)」が、ネオの開発元であるOnchainとの提携を発表しているのです。
ネオの技術を利用し、アリババが持つデータのセキュリティを向上させることが狙いのようです。
アリババほどの影響力を持つ超巨大企業が実際にネオを使うようになれば、ネオを利用するユーザーやネオでアプリケーションを開発する開発者も増えることが予想されますし、ネオにとってはかなり心強い追い風となることでしょう。
加えて、イーサリアムにはない、「開発言語の豊富さ」「分裂の危険性の低さ」という利点があるため、ネオの将来性は非常に高いと考えられます。
仮想通貨ネオ(NEO)を購入できる取引所
ネオを購入するなら、同じく中国の取引所で、取引高世界1位になったこともあるバイナンスがおすすめです。
NEOだけでなく、NeoGasも取引が可能です。
バイナンスへの登録方法・使い方についてはこちらの記事を参考にしてみてください▼
仮想通貨ネオ(NEO)の特徴・今後・Gasの違いについて、まとめ
スマートコントラクトプラットフォームとして、中国版イーサリアムと呼ばれているネオですが、実際はイーサリアムとは全く違う特徴や利点を多数備えており、将来性も高い仮想通貨です。
実際にICOプラットフォームとして利用された事例も多く、今後の成長が期待できるでしょう。
長所である開発のしやすさを武器にプラットフォームを拡大してイーサリアムと並ぶ通貨に成長できるのか、今後の動向に注目です。
ネオをプラットフォームにしたICOやプロジェクトについては、こちらをご覧ください▼