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エニグマ・カタリスト(ENG)とは?
エニグマ・カタリスト(Enigma Catalyst・ENG)は、2015年に開始したプロジェクト「エニグマ」のチームメンバーが、ブロックチェーン技術をより実用的なアプリケーションに適用する目的で開始したプロジェクトです。
「エニグマ」のチームメンバーは全員がマサチューセッツ工科大学(MIT)の卒業生です。「エニグマ」にはデジタル・カレンシー・グループをはじめ有力な組織が出資していることもあり、大きな注目を集めました。
「エニグマ」は、ビットコインから構想を得た分散型クラウドコンピューティング技術で、高度な暗号技術によってプライバシーを完全に保つことを目指しています。この「高度な暗号化技術」を使うことで入出力したデータを暗号化したまま計算(加法・乗法)することができるため、実際のデータをデータの入力元以外に知られることなく処理することができます。
この暗号化技術が可能になれば、現在インターネットで問題になっているプライバシーの問題をすべて解決できる画期的なものになります。残念ながら、まだ実現には至っていませんが、ブロックチェーン技術がビットコインによって実現した現在、この暗号化技術が実現可能になるかもしれないということで、「エニグマ」は大きく注目されました。
その「エニグマ」プロジェクトが今回開始した「エニグマ・カタリスト」(以下「カタリスト」)を一言で表すと、「暗号通貨のデータベースをブロックチェーン上に作り、そのデータを基にクオンツが暗号通貨のヘッジファンドを作ることができるプラットフォーム」ということになります。
新興分野である暗号通貨は、情報が散在していて、ある基準に沿って標準化されたまとまりのあるデータが存在しません。そのため、クオンツなどが投資対象の暗号通貨を決めるために必要なデータを集めるのに時間がかかるという問題があります。
「カタリスト」は、クオンツがヘッジファンドを作るのに必要なデータを分散的に管理・利用できるようにします。
「カタリスト」はイーサリアムのERC20を使って設計されており、プラットフォームで使われるトークンはENG(※)という名称で呼ばれます。
※ 当初は「Enigma Catalyst」からとったECATというトークン名が使われる予定でしたが、トークンは「カタリスト」にとどまらず「エニグマ」ネットワーク全体に広く使われることになるため、2017年8月15日の発表で「ENG」という名称へ変更されました。
ENGトークンには2つの使い道があります。
- データを利用するユーザーがデータの提供者(データキュレーター)へ報酬を支払う際にENGトークンで支払う。
ネットワークに提供されるデータの価値は、そのデータを購読する人の数によってランクづけられ、報酬額も決まります。
- ネットワーク上でヘッジファンドを作成したクオンツに対して、一般の投資家たちはENGトークンを使って投資する。
「カタリスト」はすでにα版がリリースされていて使うことができます。
EnigmaCatalyst α版:https://www.enigma.co/catalyst#/login
α版では、ポロニエックスの11の通貨ペア(USDT_BTC、USDT_DASH、USDT_ETC、USDT_ETH、USDT_LTC、USDT_NXT、USDT_REP、USDT_STR、USDT_XMR、USDT_XRP、USDT_ZAC)のデータを使って、ヘッジファンドを作成したり、テストをしたりすることができます。
エニグマ・カタリストのチームメンバー紹介
Guy Zyskind
エニグマの設立者であり、ブロックチェーンおよびマルチパーティ・コンピュテーションの研究者。ソフトウェア業界で10年以上のキャリアをもち、MITのスピンオフであるEndor(元Athena Wisdom)ではCTOを務める。MITメディアラボでのMAS(Media Arts and Sciences)学位保持者。
Conner Fromknecht
暗号法と配信システムの専門家。MIT CSAIL(MITコンピュータ科学・人工知能研究所)で3年間研究し、BoxやeBayで勤務。MIT EECS(MIT Electrical Engineering and Computer Science)では工学修士とコンピュータサイエンスの学位を取得。
Can Kisagun
ブロックチェーンの世界で起業した元コンサルタント。McKinsey & Companyで3年勤務した経験がある。金融と財務に注力し、MIT Sloan School of BusinessでMBAを取得。
Tor Bair
MITスローン経営学大学院でMBAを取得。スナップチャットでオプショントレード・データの経歴がある。
Victor Grau Serrat
MIT D-Lab出身。ソフトウェア開発で15年の経験がある。
エニグマ・カタリストのICOの注目度は?
エニグマのSlackの登録者数は2017年8月17日現在1000人を超えており、公式ツイッターアカウントのフォロワー数は3000人以上となっています。
ICOの評価サイトであるICO Ratingでは、宣伝レベル:中、リスクレベル:中、投資ポテンシャル:高、となっています。また、別のICO評価サイトCrypto Potatoでは、技術:8.5、ホワイトペーパー:9、ICO総額:7.5、トークンの有用性:8.5、コミュニティやメディアでの影響力:8、プロジェクトのポテンシャル:8、プロジェクトの段階:9、チーム・アドバイザー:9となっていて、総合で8.32という高い評価になっています。
MIT出身でソフトウェア開発、マッキンゼー、スナップチャットを前職とする高い技術力を持つチームメンバーや、デジタル・カレンシー・グループやMITなど知名度の高い出資者を見ても、期待してよいプロジェクトといえるのではないでしょうか?
エニグマ・カタリストのクラウドセールについて
エニグマのハッキング事件
8月21日、エニグマの公式ウェブサイト、スラック、メールマガジンのシステムがハッキングされました。メールマガジンやスラックのメッセージで、「ICOが始まりました。以下のアドレスにイーサリアムを送ってください」と偽のイーサリアムアドレスに送金を促したり、「以下のURLからICOに参加できます」と偽のICOサイトに誘導したりという手口が使われています。送金先として指定されたイーサリアムアドレスはハッキングに使われているものとしてすでに使用不可能になっていますが、送金してしまった被害者が出ており、被害額は500,000ドルに上るということです。エニグマの公式アカウントは、「絶対に送金しないでください」と警告を出しています。
これまでのICOでも、Status、OmiseGo、Bancorをはじめとした注目度の大きなものはほぼ例外なくスキャムが起こっています。今回のエニグマのハッキング、スキャミングがプロジェクトの信用や評判にマイナスの影響を及ぼすことは避けられませんが、裏を返せばそれだけ注目度が高いICOということなのです。もちろん、ICOに参加する際はよく情報を集め、十分に気をつけてから送金するようにしてください。
参考サイト:Enigma Hacked: Website, Slack & Newsletter Services Compromised
https://www.cryptocurrencyfreak.com/2017/08/21/enigma-hacked-website-slack-newsletter-services-compromised/
クラウドセール詳細
エニグマ・カタリストのクラウドセールは2017年9月11日から開始され、同月21日に終了します。当初は2017年の8月21日に開始予定でしたが、8月16日の発表で延期されることがアナウンスされました。
ENGトークンの配布は、クラウドセール終了後の2017年10月に予定されています。
エニグマ・カタリストはイーサリアムのプラットフォームを利用していますが、ENGトークンの購入はイーサリアム、ビットコインのどちらでも可能です。
プレセールの上限額は2,000万ドル、クラウドセールの上限額は3,000万ドル、トークンの発行上限数は100,000,000ENGです。
8月15日現在、すでにプレセールが行われています。初期分のディスカウント枠はすべて埋まっており、現在申し込み可能なディスカウント枠では、1年間トークンの50%をロックすることで10%のディスカウントを受けることができます。また、1年間のロックをしない場合にも、プレセールで購入すれば5%のディスカウントを受けることができます。
プレセールには個人での申し込みが必要です。can@enigma.dot.coへメールを送って申し込みます。
ICOの最低購入額は60ドル(100ENG)と決められています。
トークン分配の割合は以下の通りです。
トークンセールでの販売:50%
コミュニティへの分配:25% エニグマが保有:25% |
なお、調達した資金は開発(60%)、リサーチ(15%)、マーケティング(10%)、オペレーション(10%)、法律関係(10%)に使われる計画となっています。
ICOページ:https://token.enigma.co/
こちらのICOページからは、「エニグマ」「カタリスト」「分散化のプライバシー」に関するホワイトペーパーをダウンロードしたり、「カタリスト」のα版を使用したりすることができます。
※仮想通貨(暗号通貨)の投資にかかる最終決定はご自身の判断でなさるようお願いいたします。