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仮想通貨で投資を行う人にとってはすっかり定番となったICO(Initial Coin Offering)。
2014年の頃は、例えばイーサリアムのICOで、1ETH=31セントでトークンが販売されていました。そのイーサリアムは、現在1ETH=340ドル(2017年8月28日現在)にもなり、驚くべき値上がりをみせています。
ICOを行うプロジェクトの数が少なかった頃は注目が集まるプロジェクトの数が限られていたため、プロジェクト内容をあまり知らなくても、情報を頼りに参加するICOを決めることはあまり難しくありませんでした。
しかし、ICOを行うプロジェクトの数が爆発的に増えている現在では、どのICOに投資するべきか判断が難しくなっているのではないでしょうか。
そこで、良質なICOを見極めるための10個のポイントを紹介します。
1. チーム構成・アドバイザリーボードに誰がいるか
チームメンバーがどのようなバックグラウンドを持ち、どの程度の経験があるのかがプロジェクトの成功・失敗に大きく関わってきます。公式ページで公開されているメンバーのプロフィールによく目を通しましょう。
さらに、名前をグーグルで検索する、LinkedInなどでプロフィールをチェックするとより多くの情報が集まります。各メンバーが関わったプロジェクトが社会的にインパクトのあるものだったか、発想として斬新だったか、または以前いた会社がそういったプロダクトやサービスを提供していたかどうかなどを調べることも、メンバーがどの程度のレベルにいるのか知る手がかりになります。
特に注目するのは、開発メンバーとアドバイザーです。開発者については、ブロックチェーンに関するプロジェクトでの経験はあるか、今までどういったプロジェクトを手がけたことがあるのかが重要になります。
アドバイザーの知名度もプロジェクトメンバーと同じくらい重要です。著名な人物がいるかどうかチェックしてみましょう。過去にICOを行ったプロジェクトの例ではOmiseGo(オミセゴー)でイーサリアムの開発者であるビタリック・ブテリン氏がアドバイザーになっていました。彼の知名度とイーサリアムの開発者として技術力の見極めに間違いはないだろうという期待が高まり、このプロジェクトは大きな注目を集め、資金調達に成功しました。
↓OmiseGo(オミセゴー)のアドバイザー(https://omg.omise.co/ja/より)
2. Redditのスレッドをチェック
Reddit(レディット)はアメリカ最大の掲示板サイトです。
ICOを行うプロジェクトは、Redditのスレッドで公式アナウンスを出すことが多く、公式サイトからはレディットでの公式アナウンス一覧を見ることができます。
掲示板なので情報を見るだけでなく、プロジェクトメンバーに対して自由に質問することもできます。それらの質問にどの程度答えているかをチェックしてみましょう。例えば、特定の質問には答えずに無視している、返答率が低い場合は注意したほうがいいかもしれません。
また、ICOが詐欺(スキャム)やネズミ講などのマルチ商法の疑いがないか調べることもできます。
①右上の検索窓で「〇〇(プロジェクト・仮想通貨名)+’scam’ ‘MLM’ ‘con’」などのキーワードを打ち込みます。 ②キーワードが含まれたスレッド一覧が表示されます。スキャミングに対する警告や注意喚起がないか確かめましょう。 |
3. プロジェクトの進行具合と出資企業の知名度
プロジェクトがどの開発段階にあるのかは、ICO後のプロジェクトの実現可能性やローンチ時期などに大きく関わってくる重要な情報です。
β版がリリースされている、すでに一部利用可能な機能があるなどはプラスポイントになります。
実際にコードが書かれているかどうかも判断のポイントになります。
GitHubでソースが公開されているかも調べてみましょう。
コードが公開されている場合、コーディングの経験がある人であればコードの良し悪しでチームの技術力を判断することができるかもしれません。
コーディングの経験がない人であっても、コードがどの程度の長さまで書かれているかは判断することができます。ほとんどコードが書かれていなければ、開発の姿勢に問題があると考えられます。それ以外にも、統一性をもって整理されて書かれているか、コメントが書かれているかなどから判断できる部分もあるでしょう。
出資企業の顔ぶれも見てみましょう。
例えば、ブロックチェーン専門ベンチャーキャピタルの先駆者であるBlockchain Capital(ブロックチェーン・キャピタル)や中国のブロックチェーン専門のベンチャーキャピタル大手であるFenbushi(フンブシ)などが出資先となっていれば、かなり信用性とポテンシャルが高いプロジェクトだと判断できます。
4. SNS等で情報を積極的に開示しているかどうか
公式サイトでSlack(スラック)、Medium(ミディアム)、Reddit(レディット)、Twitter、Facebookなどで情報開示をしているか見てみましょう。
情報の開示に積極的であるほどプロジェクトがしっかりしている傾向にあります。また、アカウントがあるだけではなくアップデートがまめであることも良い兆候です。
Slack(スラック)は、ビジネス向けのチャットツールです。TwitterやFacebookと比べると、一般ユーザーにはなじみが薄いかもしれませんが、ブロックチェーンプロジェクトの情報発信と投資家・ユーザーとのコミュニケーションツールとして欠かせないものになっています。興味があるプロジェクトの情報をより深く知りたい場合は、Slackにあるグループに参加すれば、最新のアップデートを受け取る、他の人の質問を見る、自分で質問することができます。
Medium(ミディアム)は、ブログのプラットフォームサービスです。プロジェクトチームの公式アナウンスや、アップデートのお知らせ、ホワイトペーパーでわかりづらい部分の解説などの有益な情報を得ることができます。英語のアナウンスを別のユーザーが日本語に翻訳してくれていることもあるので、調べてみる価値はあるでしょう。
5. 本当にブロックチェーンが必要なプロジェクトか。トークンの使い道は?
ICOとよく似たものに、未上場企業が新規に株式を証券取引所に公開するIPO(Initial Public Offering)があります。しかし、証券取引所の取引に関しては各国で法規制が敷かれているのに対して、ICOは現在、ほとんど法規制がない状態です。法規制が厳しくないことによって、誰でも等しくトークンを購入するチャンスがある、画期的なアイディアをもつスタートアップが巨額の資金を集めることができるなどのメリットが生まれます。
その一方で、短時間で多額の資金を調達できるICOの特徴を利用して、目的意識をもたない、時代のニーズに応えていないプロジェクトが資金調達だけを目的にICOを行うことができてしまうというリスクがあります。
そのような悪質なICOを避けるためには、プロジェクトの概要・目的やトークンの利用方法について理解し、「本当にブロックチェーンを利用することに意味があるのかどうか」「トークンの利用方法が理にかなっているか」といった点で判断を下すようにしましょう。
6. トークンの配布数・資金調達金額の上限があるか
ICOで販売されるトークンの数や資金調達額に上限がない場合は注意が必要です。販売されるトークンの数が多ければ多いほど、取引所で売り手はつきづらくなり価格は下がります。また、資金調達額が大きすぎる場合はトークンあたりの価格が初めから高くなり、その後の値上がりがあまり期待できません。
一方で、トークンの配布数や資金調達額が少なすぎるプロジェクトも、市場が広がらず、流動性が低くなってしまうリスクがあります。
トークンの配布量・調達金額の上限があるのか、ある場合はどのくらいなのかという情報はホワイトペーパーに必ず記載されていますから、確認するようにしましょう。
7. トークンの配布方法といつ配布されるのか
トークンがどのくらいの割合で分配されるのか、そしてICO終了後どのくらいの期間で配布されるのは知っておきましょう。例えば、β版をリリースしてからトークンを配布する場合は、ICO終了後すぐにトークンが欲しいという人には不向きです。
また、ICOに資金を預けて、一定期間ロックすることを条件にボーナスがつくこともあります。例えば、オーガー(Augur)という予測市場プラットフォームのICOでは、1年間のロックで1500%のボーナス、8カ月のロックで350%のボーナスがつきました。
トークンの配布の分配率も確認しましょう。プロジェクト内メンバーへの分配が50%以上などの場合は怪しいといえます。ICOで調達した資金の使い道はホワイトペーパーに明瞭に記されていなければなりません。具体的な使い道がロードマップに記されているプロジェクトは良いプロジェクトといえるでしょう。
8. プロジェクトの概要・長所や短所について理解する
プロジェクトの内容を理解するのに一番良い方法は、ホワイトペーパーをよく読むことです。しかし、海外のプロジェクトのホワイトペーパーは日本語訳がないことが多々あります。英語に堪能であればホワイトペーパーを読んだり、海外のメディアにあたってみたりすればより早く、多くの情報を得られることは間違いありません。
しかし、コンピュータや経済学の専門用語が頻出するホワイトペーパーは英語に堪能な人であっても理解が難しいことがあります。そのような場合は、仮想通貨に詳しいユーザーのツイッターアカウントや有名な仮想通貨ブロガーのブログなどのICO情報を参考にするといいでしょう。その中でも特に、英語に堪能でブロックチェーンの技術について知識がある人は、英語で書かれた海外ソースやGitHubのコードなどを参考にしたうえで情報発信をしていることが多いので、かなり正確で深い情報が得られるでしょう。
9. 同業種のライバルプロジェクトと比較して強みはあるか
ブロックチェーンの新規プロジェクトでは、同様の目的やビジネスモデルのプロジェクトが他にも存在することがあります。類似のプロジェクトがすでにICOを終えてローンチしていたり、β版をリリースしたりしている場合があるかもしれません。なぜ新たにプロジェクトを始める必要があるのか、他のプロジェクトと比べて強みはあるのかといった点が、プロジェクトのポテンシャルを判断する基準になります。
10. GitHubでコードを見てみる
コーディングの経験がある人ならば、GitHubに公開されているコードを見れば、そのプロジェクトの技術力を判断できるでしょう。コーディングの知識や経験がない人でも、コメントがきちんと書かれているか、整理されて書かれているかなどは判断することができます。
まとめ
ICOは、法規制なしに誰でも開催することができるため、ICOを行うプロジェクトは玉石混交です。
プロジェクトの良し悪しに関わらず、ICOでトークンを購入すれば上場後にほぼ確実に利益を得られる時期もありました。しかし、プロジェクトの数が増えるにつれて、本当に良いプロジェクトを見極めることの必要性が大きくなってきています。
大切な資金を投資するわけですから、ぜひ情報収集の手間を惜しまず、プロジェクトの内容についてよく理解して納得したうえでICOに参加するようにしたいですね。
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参考サイト:
10 keys for evaluating Initial Coin Offering (ICO) investments
(http://cryptopotato.com/10-keys-evaluating-initial-coin-offering-ico-investments/)