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現金によるウィルス感染懸念でデジタル通貨決済の普及が加速する

2020.04.07
現金によるウィルス感染懸念でデジタル通貨決済の普及が加速する ー 国際決済銀行レポート

<この記事(ページ)は 4分で読めます>

国際決済銀行(BIS)は、新型コロナウィルスの影響でデジタル決済の普及が加速するという考えを明らかにしました。

4月3日に国際決済銀行により公表された広報「Cash and the Future of payment」 によると、前例のない新型コロナウィルス拡大の懸念によって、現金を介したウィルス感染の懸念拡大が予想されるとしています。

中央銀行には多くのメディアから現金を使うことの安全性を問う問い合わせが殺到しているとのことです。

インターネットの検索件数でも、「現金」「ウィルス」といったワードの検索が記録的に上昇しているとのことです。

また、これらのワードの検索件数の増加は、特に東アジアやヨーロッパの国で多く見られるようです。

科学者らの見解

微生物学的な研究により、ウィルスやバクテリア、菌類、寄生虫などは紙幣やコインの表面で生存が可能とのことです。

インフルエンザは紙幣の表面に数時間から数日間付着する可能性があると言われています。

また、表面に浸透性のないものは、さらにウイルスやバクテリアの感染を広げやすいとのことです。

新型コロナウイルスも紙幣の表面上での生存は可能としていますが、調査結果では、空気中で3時間、厚みのあるダンボールや、硬度の高いものの表面上ではさらに長い時間生存が可能とのことです。

科学者らの見解としては、紙幣を介した感染の可能性はありますが、より接触頻度の高いものに比べると感染リスクは低いとのことです。

しかし、現在までに新型コロナウィルスの紙幣やコインを介した感染ケースは明らかにされておらず、さらに紙幣などの物質を介した感染リスクと人から人への直接感染のリスクの違いなども明らかになっていません。

各国中央銀行の対応

ドイツの厚生省の機関は、紙幣などを介した感染よりも、人から人への空気中の飛沫感染が主な感染の原因となっているとしています。

さらに現金を触った後に手洗いをすれば、感染リスクを減らすことができるとのことです。

イングランド銀行も、紙幣を素手で触ることよりもその他の公共施設の物質の表面に触れることの方がはるかに感染リスクは高いという見解を示しています。

ドイツ銀行は紙幣を介した感染リスクは極めて小さいとし紙幣の十分な供給を保証するとしています。

カナダ銀行は、現金決済の拒否を止めるよう小売業者へ要請しています。

一方で、中国の人民銀行は、使用済みの紙幣の殺菌・洗浄を実施しており、韓国、ハンガリー、クエートなども紙幣の殺菌を実施するとしています。

また、インドやジョージアなどの政府は、キャッシュレス決済を奨励しています。

科学者らと一部の国の中央銀行などは、紙幣による感染リスクは小さいとする見解を示していますが、中国など一部の国々では、紙幣の殺菌・洗浄が実施されており対応は政府によってまちまちという状況です。

高まるCBDCのニーズ

国際決済銀行は、こうした状況を踏まえデジタル化のニーズがある程度高まり中央銀行発行のデジタル通貨CBDCのニーズが高まるだろうと予想しています。

一方で、現金の役割は完全になくなることは考えにくく、一定の役割は保持され続けるだろうとしています。

また、デジタル決済を利用していない高齢者や、発展途上国の銀行口座を持たない人々が取り残される懸念を指摘しています。

デジタル決済を利用出来る層とできない層の格差が広がる可能性が高いとの懸念を示しています。

国際決済銀行は、各国の中央銀行がCBDCの発行を進める際に、全国民がアクセス可能で全人口に適したかたちが求められると指摘しています。

BISのアグスティン・カルステンス氏は昨年末に、企業や一般消費者が利用できる「リテールCBDC」を導入することで、金融分野に新たな可能性がもたらされ大きな変化を起こすだろうと強調しています。

参考サイト:
"https://www.bis.org/publ/bisbull03.pdf"
"https://jp.cointelegraph.com/news/bis-the-pandemic-calls-for-central-bank-digital-currencies"[
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