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FacebookPay リブラの夢へ向け、プランBに変更か

2019.11.15
FacebookPay リブラの夢へ向け、プランBに変更か

<この記事(ページ)は 6分で読めます>

11月12日、Facebookは新決済プラットフォームFacebookPayを発表しました。

リブラにまつわるネガティブなニュースが続いていたFacebookですが、遂にデジタル通貨の論争の世界から動き始めているようです。

それとも、Facebookはもうリブラを諦めて、他の決済プロジェクトに乗り換えたのでしょうか。

FacebookPayとは

11月12日に発表があった新決済プラットフォームは、すべてのFacebookサービスを網羅して利用できます。
例えば、フェイスブックメッセンジャー、ワッツアップ、インスタグラムなどダイレクトメッセージングサービスを提供している全てが利用可能になります。

「FacebookPayを利用すると、あなたの決済情報を安全に守りながら取引を簡単に行えます。」と、投稿には記載されています。

このプラットフォームは、フェイスブックとメッセンジャー上で、限られた用途だけですが、今週にも開始されます。最初は米国での先行稼働となるようです。

FacebookPay リブラの夢へ向け、プランBに変更か

(出典 https://pay.facebook.com/)

基本的には、募金活動、ゲーム内の買い物(課金サービス)、イベントチケット購入、およびFacebook Marketplaceでの個人間の支払いが最初にスタートし、続いてインスタグラムとワッツアップで開始されるようです。

Facebookとつながりのある決済パートナーの存在

FacebookPayプロジェクトの決済パートナーは、リブラプロジェクトとの繋がりがあるかないかを考慮すると、ちょっと変わっています。

MasterCardやVisaは、リブラを管理することになっているリブラ協会から脱退することを選びました。
FacebookPayの2つの決済アプリであるPayPalとStripeも、eBay、Bookings.comやMercado Libreに加えて協会を脱退しています。

オランダの決済会社であるPayUは、リブラ協会に残った唯一の決済会社ですが、FacebookPayのパートナー名の中にはその存在がみつけられません。

これについて、Facebookの社内決済プラットフォームであるFacebookPayとLibraの間に区切りを作ろうとしている、との見方もあります。

発表のなかでは、リブラにも触れて、二つのプロジェクトは全く別物であることを非常に明確にしており、
「FacebookPayは既存の金融インフラとパートナーシップの上に構築されており、リブラネットワーク上で実行されるCalibraウォレットとは関係ありません。」と、述べています。

リブラの轍を踏まない

リブラは「お金のインターネット」として、携帯電話やンターネット接続を通して、銀行口座を持たない人でも皆にお金を送金できる資本手段、「銀行をもたない銀行」を提供することを目指しました。

しかし、今回の攻撃要素として挙げられるのが以下のような点です。
リブラのトークン取引には、Facebookアカウント(彼らのどのプラットフォームかを問わず)は必要なく、唯一の前提条件はCalibraウォレットです。
このCalibraウォレットは、Facebookの管理下にありますが、デジタル通貨リブラは、リブラ協会が管理することになっています。
Facebookの覇権範囲が問題視されました。

リブラは、安定性を維持するために、法定通貨と短期政府預金によって支えられることになっており、リブラ協会メンバーの意向による「変動準備金」です。
この手法が、リブラが問題視されている主要な点です。

以上のことから、いち民間企業が法定通貨の需要を管理するというのは、「金融政策を操作する」結果となるのではと主張する中央銀行と規制当局と対立してうまく解決しませんでした。

そこで、代替策の(?)FacebookPayは、法定通貨を銀行口座からFacebookの通信プラットフォームを経由してただ電子的に転送するだけにして、中央銀行と金融当局へ権力を返上して法定通貨操作の問題に取り組んでいる、という見方があります。
さしずめ、江戸時代の「大政奉還」というところでしょうか。

しかし、Facebookには決済機能を果たしてきた経験が2005年から蓄積されているので、さらなる改良を重ねて来た結果、この度の発表となったのでしょう。

Facebookの夢

リブラは、もう終わった、などと囁かれている一方、Facebook側はそのように言われている状態で維持しようとしているのでは、と言われています。

しかし色んな憶測よりも明らかなのは、Facebookは決済業界で何かを救済しようとしていることです。
ソーシャルメディアの大企業であるFacebookの次の開拓は、ソーシャルでインタラクティブな決済の世界だと明らかにしました。

リブラ開発を公表する2か月前の4月に、サン・ノゼで開かれた年次F8カンファレンスでCEOのMark Suckerberg氏は、
「人々がプライベートでやり取りする様々な方法を全て考えると、決済には我々がもっと改善できるチャンスがある分野の一つだと思います。」と、述べています。

過去数年にわたってFacebookがもたらした人材もまた、決済エコシステムに関心があることを示しています。
Calibraの代表であり、リブラ協会の役員であるDavid Marcus氏は、PayPalからFacebookに移ってきました。
他にも、決済にフォーカスしてFacebookに移ってきた従業員は、CalibraのVPやFacebookのブロックチェーン製品部長、Calibraのプロダクトチームなどにいます。

今回の新プロジェクトはFacebookのすべてのタイプに展開して、全世界での提供を順次進めていくようです。
その使用用途はリブラが展開しようとしていることとさほどの変わりはないように見えます。

そして、リブラが規制当局による猛攻撃から苦労して回復に努めている、このタイミングでの発表です。
FacebookはFacebookPayで必死に、その決済エコシステムの夢に固執しているように見える、などという余計な憶測も聞こえてきます。

しかし好意的に見れば、違ったアプローチを取ることで、最終的にはその夢を実現できるかもしれませんね。

参考サイト:
“https://eng.ambcrypto.com/facebook-mightve-just-put-the-final-nail-in-libras-coffin/”
“https://about.fb.com/news/2019/11/simplifying-payments-with-facebook-pay/”

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