暗号資産の税制に変更なし- 麻生財務大臣
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麻生太郎財務大臣は20日、参院予算委委員会の中で暗号資産税制に関する質問に対して、「税制の変更を行う必要はない」と回答しました。
金商法でも税制変更必要なし
今月15日に政府は仮想通貨に関する規制強化を目指して、資金決済および金融商品取引法の改正案を閣議決定し、仮想通貨の呼称を暗号資産に変更する改正案などが閣議決定しました。
暗号資産が金融商品取引上の規制対象となることを受けて、質疑応答が行われました。
現在日本では、暗号資産の損益に対しては雑所得を適用しており、最大で55%もの税が課せられる状態となっています。
これに関して、参議院議員の藤巻健史氏は、「仮想通貨が金融商品として位置づけられるのであれば、他の金融所得同様に20%の源泉分離を考慮しても良いのではないか」と主張しました。
これに対して、麻生大臣は次のように述べました。
「暗号資産の交換という業務は引き続き資金決済法の対象であり、法令上の呼称は変更してもその定義自体を変更するということではない。外国通貨同様に売却益等は資産の値上がりによる譲渡所得とは性質が異なり、一般的に雑所得に該当するという現行の取り扱いを変更する必要はない。」
麻生大臣の主張によると、今回の改正はあくまでも業者の業務に関しての規制強化であり暗号資産そのものの定義が改正されるわけではないとのことです。
雑所得か一時所得か
これに対して藤巻氏は、「雑所得と主張するのならば、暗号資産が譲渡所得や一時所得でない理由を示す必要がある」と主張しました。
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を持たない一時の所得のことです。
租税法の大家である金子宏教授の最新の学説では、「譲渡所得における資産とは譲渡制のある財産権を全て含むという概念で、ビットコイン等の仮想通貨などがそれに含まれる」と主張されています。
これに対して国税局は、「国税局として租税に関する個々の学説に対する見解を述べることは差し控える」と回答したとのことです。