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【dApps特集①】ダップス(分散型アプリケーション)って何?

dApps(ダップス)とは?

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「dApps」「ダップス」という言葉を聞いたことはありますか?

三部構成でお送りします!!

仮想通貨の専門的な記事のなかで「dAppsをブロックチェーン上に構築する」「dApps構築のためのプラットフォーム」などと、よく目にすることが多くなってきていますが、 今ではさまざまなdApps(ダップス)が開発されていて、「dApps」という言葉が指すものがわかりにくくなっています。

そこで、この記事ではdApps(ダップス)とは一体なんなのかという解説と、現在のdApps(ダップス)にはどのようなものがあるかという紹介をします。

dApps(ダップス)とは

dApps(ダップス)とは、decentralized Application(分散型アプリケーション)の略称のdAppの複数形です。スマートフォンやパソコンなどで使用されるいわゆる「アプリ」に対して、dApps(ダップス)にはサーバーや管理者がいないため「非中央集権化している」ことからこのように名付けられています。

例えば、dApps(ダップス)でないアプリケーションは一つの中央サーバーで情報を管理しているのに対して、dApps(ダップス)ではブロックチェーンを利用することでユーザーがみな同じ情報を共有することができます。これにより中央サーバーがハッキングを受けることにより情報が漏洩することやシステムが機能しなくなることの心配もなくなりますし、また中央サーバーを管理する人に情報を抜き取られることの懸念も消えます。

これを支えるのが、ブロックチェーンとオープンソースです。

中央サーバーがなくなった場合、アプリケーションのすべてのユーザーで同じ正しい情報を共有する必要があります。ユーザーのうちの誰かが情報を改ざんした場合にそれを検知することや、過去のすべての記録が改ざんされていない正しいものだと知る必要があります。これらを保証しているのがブロックチェーンです。

また、中央サーバーがなくなることで特定の管理者に対する信頼は不要になります(トラストレスになる)が、システム自体の機能に不備があった場合に管理する人がいないためシステム自体が健全なのか知る必要があります。dApps(ダップス)ではアプリケーションのソースコードがすべて公開されていて、プログラム上に異常な箇所があれば誰でも指摘できるようにすることで透明性を確保しています。

 

dApps(ダップス)のわかりやすい例

身近な例を出して説明しましょう。

例えば、最初のdApps(ダップス)と言われているのがビットコインです。ビットコインは仮想通貨の一つであり、決済手段としての特徴のみが注目されますが、パソコンやスマホなどの電子機器に導入するアプリケーションであるという見方もできます。これに従うと、ビットコインはオープンソースでありブロックチェーンでその記録が保存されるため、ビットコインはアプリケーションの中でもdApps(ダップス)であるということができます。

この見方に従うと、当然ですが多くの仮想通貨自体がdApps(ダップス)であるということができます。一方で、dApps(ダップス)ではない仮想通貨というものもあります。例えば、その最も有名な例がRipple(リップル)で、Ripple(リップル)も一つのアプリケーションとみなすことはできますが、ブロックチェーンを利用した非中央集権的なシステムではなく、特定の管理主体がいる中央集権的なシステムのため、dApps(ダップス)とみなすことはできません。

イーサリアムのようなプラットフォーム型の仮想通貨で、「ブロックチェーン上にdAppsを構築する」などという表現をした場合、まずは「(元の仮想通貨の)ブロックチェーンの仕組みを利用して新しい非中央集権的なシステムの仮想通貨を作る」と思っていいでしょう。

dApps(ダップス)の仕組みースマートコントラクトとの関係ー

それでは、ある仮想通貨のブロックチェーンの上で、別の仮想通貨を作り出すというのはどのようなものなのでしょうか。

イーサリアムのdApps(ダップス)の一つで、絶大な注目を浴びたクリプトキティ(Cryptokitties)を例にして、イーサリアムのブロックチェーンとの関係を解説します。

クリプトキティは、イーサリアムをベースに開発されたdApps(ダップス)の一つです。オンラインで猫を育て、猫どうしを交配することで希少度の高い猫を産ませると、ETH(イーサ)建てで販売することができます。猫の希少度により販売するときの価格が変わるため、珍しければ珍しいほど高い価格で取引されます。

クリプトキティはdApps(ダップス)の一つであり、ERC721という独自のトークンを持っています。実はこのトークンがユーザーの保有している猫に対応しています。これが他のトークンと大きく異なるところで、一般的なトークンはすべて均質で、例えばどの1万円札も同じ1万円の価値を持つようにどのユーザーの保有しているトークンも同じ量で同じ価値を持ちます。

しかし、ERC721トークンは、同じ1万円札でもそれぞれの紙幣に記載された番号が異なるように、どのトークンも互いに区別することができます。これによりクリプトキティの猫のそれぞれが区別できるようになっていて、それぞれの猫がいろいろな価値を持てるようになっています。また、猫の交配や販売などが行われるときにはERC721トークンの形で他のアカウントに送信され、それがパソコンやスマホの画面上に表示される段階でさまざまな猫の形をとります。

猫どうしの交配や販売などのクリプトキティに関連したすべてのデータのやりとりはイーサリアムのネットワーク上でやりとりされ、イーサリアムのブロックチェーン上に書き込まれます。これにより、過去のクリプトキティのアクティビティはすべて改ざん不可能な形で記録され、だれでもそれを確認することができます。

次に、トランザクションのレベルまでこれらの活動を分解して説明します。

実はイーサリアムはビットコインと異なり、二種類のアカウントがあります。一つ目がEOAアカウントで、これがビットコインのアカウントのような各ユーザーがその資産を持てるアカウントです。二つめがコントラクトアカウントで、これがスマートコントラクトを実行するためのアカウントです。

ユーザーがスマートコントラクトを実行したいときには、まずEOAからコントラクトアカウントを作成するようなトランザクションを発行します。このときコントラクトアカウントに、行いたいスマートコントラクトの内容を記述することができます。次に、そのコントラクトアカウントを実行するようなトランザクションを発行することで、スマートコントラクトの内容を実行することができます。

例えばAさんがイーサリアム上であるスマートコントラクトXを行いたいときには、スマートコントラクトXの内容が書かれているコントラクトアカウントY向けに、下のようなトランザクションを作成します。

トランザクション

from: Aさんのアカウント
to: コントラクトアカウントY
内容: スマートコントラクトXを実行

このトランザクションがイーサリアムのブロックチェーンに取り込まれると、トランザクションの中に記述された「スマートコントラクトXを実行」という内容が確認され、イーサリアムのdApps(ダップス)のためのスマートコントラクトを実行する環境の仮想空間(EVM)でスマートコントラクトXが実行されます。これを図示すると下のようになります。

 

このようにして、クリプトキティは独自のトークンであるERC721トークンがイーサリアムのブロックチェーン上で処理されることにより、一つのアプリケーションとして機能するとともに非中央集権性を獲得しています。

dAppsを構築するためのプラットフォーム

dAppsを構築するためのプラットフォームとしてさまざまなものが開発されていますが、その中でも特に注目を浴びているプラットフォームとその特徴を紹介します。

イーサリアム(Ethereum):すでに普及しているdAppsの多さにより実用性が保証されている

ネオ(NEO):開発言語の多様性によりさまざまな言語の開発者の参入を可能にする

リスク(Lisk):子チェーン上でトークンが扱えるためメインチェーンの混雑が起こりにくい

クアンタム(Qtum):改ざんが一番行いにくいビットコイン(Bitcoin)のブロックチェーンとイーサリアム(Ethereum)のアプリケーションの実行環境のハイブリッド

ウェイブズ(Waves):分散型取引所とdApp(ダップス)の融合

注目dAppsを種類ごとに紹介

最近注目を集めているdApps(ダップス)には次のようなものがあります。

・ゲーム、ポーカー、くじなど当選確率が一定であることが信頼性の上で大事なもの

1.ファーストブラッド(First Blood)

2.vDice

・個人情報のアクセス権の管理をブロックチェーンで安全かつ透明に行うーuPort

・フリーランスの人に向けた仕事の掲示板ーEthlance

・ブロックチェーンを用いて市場調査のコストを低下させるーRed Pulse

dApps(ダップス)の今後

仮想通貨のほとんどをdApps(ダップス)とみなすことができますが、今の段階ではさまざまなプラットフォームが提供されています。今後もそれぞれの長所を生かしたdApps(ダップス)がそれぞれのプラットフォームで作成されていくでしょう。

2017年には新しいコインの開発コストを下げるためにビットコインなどの既成のコインからハードフォークを起こして新しいコインを作り出すことが流行りでしたが、実際にハードフォークを起こさない通貨やハードフォークを起こしても取引所で扱われない通貨が増えてきたため、ハードフォークコインは下火になってきているといえるでしょう。

ICOブームが再来している一方で、ネオ(NEO)やクアンタム(Qtum)などイーサリアム(Ethereum)以外のプラットフォームをベースにしたdAppsの開発も盛んになってきています。今後しばらくはプラットフォームを提供している仮想通貨は注目を浴び続けるのではないでしょうか。

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