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仮想通貨開発を行いたい!~開発方式は何がおすすめ?~

2018.11.07
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<この記事(ページ)は 7分で読めます>

仮想通貨やブロックチェーンは国内外ともに高い関心を集めていますが、実際に取り組みを行っている国内企業はまだまだ少ないです。取り組みがあまり進まない原因に、開発を行う際にどのように進めていけばよいのかわからないというものが挙げられると思います。そこで、一般的なシステム開発を参考に、仮想通貨開発をシステム会社に発注する場合の開発スタイルについて説明します。なお、仮想通貨開発の流れが知りたい方は前回記事をご覧ください。

開発方式の種類

仮想通貨開発に限らずですが、システム開発を行う際に開発スタイルが複数存在します。開発スタイルごとに、契約の種類が異なってきます。各々の開発スタイルごとにメリット・デメリットが存在するので、特徴を押さえておくことは重要です。すべて自社開発で行わない場合、労働力を派遣してもらうか業務を委託するかの二つに分けられます。開発方式の違いは開発契約で大きく違ってきます。

システム開発契約種類
委託する場合、俗に業務委託契約と呼ばれますが、法律には業務委託契約という種類は存在せず、準委任契約と請負契約という契約が存在します。労働力を提供してもらう場合はその名の通り労働者派遣契約になります。表に契約ごとの大まかな性質をまとめて示しおきます。ここからは準委任契約、請負契約、労働者派遣契約についてそれぞれの特徴を見ていきましょう。

請負契約 準委任契約 労働者派遣契約
契約内容 モノの完成 業務の実行 労働力の提供
報酬の支払い 納品後に一括 一定期間ごと 一定期間ごと
指揮命令権 受注会社 受注会社 依頼会社
完成責任 あり なし なし
瑕疵担保責任 あり なし なし
規定のある法律 民法 民法 労働者派遣法

請負契約

請負契約とは、受注会社にモノを完成させることを委託する契約です。民法に規定されています。古くからある契約方法で、システム開発の成果に対して発注者が受注者に報酬を支払います。つまり、受注者はシステムを開発した成果、すなわち完成したシステムを納めることで報酬を得ます。報酬の支払いはシステム引き渡し時に行われます。仮想通貨開発では、仕様書の作成、トークンの発行、ウォレットの開発、ICOのシステム開発、ホワイトペーパー・ウェブサイトの作成、取引所上場のための準備などに向いていると言えます。

請負契約

メリット

システムの完成と納期が保証されている

開発した成果に対して報酬を支払うため、発注会社にとってはシステムの完成と納期が保証された非常に安全な契約といえます。

受注会社に緊張感がある

報酬額と開発コストの差額分が利益となるので、受注会社は開発コストを抑えて質の高い成果物を完成させると大きな利益を得られます。逆に見積もり金額内で完成させることができなければ、受注会社は赤字となるので、他の方式に比べて、受注会社の士気が高くなりやすいです。

受注会社が成果物の不具合に対処してくれる

受注会社は完成させた後の成果物にも責任を負うことになる(瑕疵担保責任がある)ので、不具合があれば対応する必要があります。このことも受注会社の緊張感の高まりに繋がります。

デメリット

発注会社にある程度のシステム開発に関する知識が必要となる

受注会社は注文通りに開発を行うため、発注会社が適切な要求定義あるいは設計書を用意する必要があります。また、見積りの精査、価格の調整を繰り返すことになるため、決定までに多くの時間を費やす傾向にあります。システム開発の請負契約時には構築するシステムのイメージが発注会社と受注会社側でどうしても異なってしまうため、システム構築が進むにつれて互いのイメージの乖離に気づくことになりやすいです。発注会社のイメージ通りになるように乖離を解消するには別途費用(作業)が必要となることがあります。結果として契約当初よりもシステム構築費用が高額になったり、予算との兼ね合いで必要な機能を断念したりすることがあります。よって、発注会社にシステム構築についてある程度の知識を持っている人間がいなければ失敗プロジェクトになる可能性が高くなりやすいです。

準委任契約

準委任契約とは、受注会社の知恵や技術を借りる契約です。民法に規定されています。余談ですが、法律行為の業務を委託する際の契約を委任契約といいます。委任契約の典型例は弁護士を雇うといったものであり、法律行為以外のその他すべての業務の委託は準委任契約になります。ここでは主にラボ型の契約について説明します。ラボ型と常駐型の違いは、曖昧な部分がありますが、主な違いは、受注会社のSEが発注会社内で業務を行うか受注会社内で業務を行うかです。ラボ型はSEが発注会社内で業務を行うか否かです。業務を行う場所の違いはありますが、ある一定期間において一定の要員を常に確保する契約であり、発注会社専属の開発チームを用意します。ここでは主にラボ型について説明していき、常駐型(SES)については労働者派遣契約との対比で説明します。ラボ型は近年のスピーディなソフトウェア開発に適していると言われています。特に、国内に比べて費用の安い海外で開発を行う、オフショア開発が人気です。仮想通貨開発においては、ブロックチェーン開発、アプリケーション開発、エコシステムの開発、エアドロップの対応などに向いていると言えます。主なメリット・デメリットについて説明していきます。

準委任契約

メリット

発注会社が開発チームに自由に発注して開発を行うことができる

要件定義あるいは設計書を用意する必要がなく、発注会社が開発チームにいつでも自由に発注して開発を行う事ができるため、要件定義あるいは設計書を用意する必要がありません。また仕様や設計を途中で変更することも可能です。また、開発管理手法なども自由に行う事が可能で、アジャイル開発の導入等にも対応が可能です。

優秀な人材を確保し続けることができる

通常の契約形態では、継続的に取引を行わない限り、確保した優秀な人材を次回も確保できる保証がありません。優秀なエンジニア(特にプロジェクトマネージャやプロジェクトリーダーといったリーダー)はすぐに次のプロジェクトにアサインされがちですが、優秀な人材を専属で確保し続けることができます。

発注会社の手法の導入が可能

専用チームを用意するため、発注会社らしい体制を作り上げることができます。
一定期間固定でチームメンバーを確保するので、開発手法や対象のシステムに対しての知識が蓄積され、より品質と生産性の高い開発へとチームをビルドしていく事が可能です。

デメリット

仕事の有無にかかわらず、コストが発生し続ける

常にメンバーを確保している為、依頼する仕事が無い場合でもコストが発生してしまいます。

受注者の緊張感が請負型に比べて緩みやすい

準委任契約では、ある一定量の受注が保証されているため、どうしても受注会社の緊張感が落ちてしまう可能性があります。

労働者派遣契約

労働者派遣契約とは一言でいうと、受注会社が労働力を提供する契約です。労働者派遣法に規定されています。準委任契約や請負契約との違いは発注会社に指揮命令権があることです。受注会社は準委任型契約の常駐型(SES)の場合、クライアント会社内に常駐しているSEは「このようなシステム開発を行ってほしい」という希望に沿う必要はありますが、クライアントである発注会社は「今日の何時に来て仕事をしてくれ」というように、指示や命令は行うことはできません。労働者派遣契約ではこのような指示や命令を行うことができます。準委任契約の常駐型(SES)と労働派遣者契約の違いは、SEに対して発注会社が指揮命令を行えるか否かです。準委任契約にも関わらず、実際はSEが発注会社に拘束されてしまっている場合は、偽装請負と呼ばれ、違法となります。仮想通貨開発の場合も、自社で開発を行うが、人手が不足しているため労働力を補いたいといった場合に採用するとよいでしょう。

労働者派遣契約

メリット

発注会社がSEに自由に指揮命令を行うことができる

自社の社員と同じように指揮命令を行うことができるので、自社内のルールや体制で開発を行うことができます。指揮命令を行うことができるようになることで、準委任契約以上に発注会社の自由度が広くなります。

デメリット

発注会社に管理監督責任がある

発注会社に指揮命令権があることに伴い、発注会社に管理監督責任が生じます。始業、終業、休息、休暇、職場環境等すべて発注会社が整える必要があります。

まとめ

一般的なシステム開発における契約の種類とそれぞれの特徴を見てきました。簡単にまとめると、開発するシステムが明確に定まっていてそのシステムを完成させてほしい場合は請負契約、知恵や技術を借りたい場合は準委任契約、人材が不足している場合は労働者派遣契約が適切ということになります。仮想通貨開発を行う際にも目的にあった契約を結んで、開発を行うことが大切です。

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