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話題のビットコイン先物上場ってなに?

2017.12.18
話題のビットコイン先物上場ってなに

<この記事(ページ)は 6分で読めます>

今月10日(日本時間11日)、ビットコインの先物が世界大手のオプション取引所である米シカゴ・オプション取引所(CBOE)に上場しました。また、世界最大のデリバティブ取引所の米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)も今日(18日)ビットコイン先物を上場させます。加えて、米ナスダック取引所(NASDAQ)も2018年前半にビットコイン先物を開始すると発表しています。

上場への期待からビットコインが買われ、ビットコインは8日には一時20,000ドルを超えました。

以前から、日本の仮想通貨取引所でも先物取引はされていましたが、今回は石油、穀物や証券など、さまざまな先物商品を扱う歴史ある世界最大手の取引所の一つがビットコインを先物として上場させたことで、メディアでも大々的に取り上げられ、仮想通貨に投資する投資家の裾野が広がっていくこと、そしてさらなるビットコインの価格上昇が期待されています。

このニュースをきっかけに、「先物」について興味をもったビットコイナーもいるのではないでしょうか。

なぜ先物取引するの?

先物とは、デリバティブ金融商品のうちの一つです。

そのため、ごく最近の経済学者によって開発されたようなもののような気がしますが、実は古くは江戸時代の大阪、堂島米会所に起源となる取引記録が残っています。

そのきっかけは、気候などの変動要因で価格が安定しないことに不満をもっていた米商人でした。彼らは、未来に収穫される米の価格をあらかじめ決めて売り買いの約束をし、それを権利書として発行しました。1730年に幕府がこの空米権利書を承認した記録があります。

同様のことは海外でもありました。今回いち早くビットコインの先物を上場させたシカゴ・オプション取引所の起源も、未来の価格で取引することで有利に農作物を売りたいと考えた農家たちが設立した取引所が始まりです。アメリカのシカゴが1840年代からなので、日本のほうが100年も早いのですね。

先物取引所の仕組み

空米権利書のように、先物取引の起源には「引渡取引」がありました。それを成立させたのは「合意」です。そしてこの合意は「作物が市場に出回ったときに、希望価格ですべて売れる」ことを約定したものでした。

「引渡取引」とは通常2者間で結ばれる、あらかじめ決められた日付と値段に従って作物等を取引することです。しかし、この契約は両者のうちの片方が倒れるだけで不履行となることがリスクでした。それを解決するために考え出されたのが「先物取引」です。2者の間に立って、その未来の「引渡取引」を保証する役割を「取引所」が担うようになったのです。つまり先物取引とは、未来のある時点の価格を保証される取引のことなのです。

取引所が取る手数料

取引所のリスクを分散させるために、契約の履行を保証する「清算機関」という機関があります。これは取引所が抱えるリスクを肩代わりする役目を負います。たいてい取引所の子会社であることが多く、基準とする仮想通貨の交換所の価格から算出された「帳入値段」が上がれば売り手から買い手に、下がれば買い手から売り手にお金を流す役割をします。そしてこの「清算機関」は中間業者に下請けに出します。そしてその中間業者はさらにトレーダーから紹介手数料を得ます。

アメリカにおいて、取引所はCFTC(Commodities Futures Trading Commission)という団体によって規制されています。なぜ“Exchange=取引所”という単語を含むSecurities and Exchange Comission (SEC)という政府機関によってではないのか、そしてなぜかこのCFTCは先物取引所を規制しているものの、その業務は取引所によって設立された独立機関NFA(National Futures Association)に下請けに出していることが興味深い点です。

このようにして取引所はリスク分散として自己完結型で下請けに出し、売り手と買い手の両者の「先物取引」契約を“守っている”のです。

ETFも上場申請中

ETFとはExchange Traded Fundの略で「上場投資信託」と訳されるデリバティブ金融商品の一種です。ETFは通常の株式投資と同じように、証券取引所が開いている時間にいつでも売買でき、さらに少額で分散投資できる投資信託のように、少額でも本格的な分散投資することを可能にした金融商品です。

先物上場の勢いに続けと、ビットコインのETFの申請がSecurities and Exchange Comission (SEC)に複数提出されました。しかし、いずれの会社も現在(2017年12月14日)までに許可はされていません。申請されたいずれのETFも、会社が現物を購入するのではなく、先物取引をベースに他のビットコインデリバティブ商品とミックスされたものです。仮想通貨がもつリスクを負うことなく仮想通貨に投資するという、ある種のニーズを捉えた理想的な金融商品といえます。

今年の3月に、ウィンクルボス兄弟のETFの申請が却下されましたが、その理由として仮想通貨の属性である、“統制されない”ことが挙げられています。

ウィンクルボス兄弟がビットコインETFを申請

ちなみにウィンクルボス兄弟は、フェイスブックを立ち上げたザッカーバーグのライバルとして、実話ベースの映画『ソーシャル・ネットワーク』にも描かれている著名人です。

ウィンクルボスは「フェイスブックのアイデアはわれわれのもの」として2005年フェイスブック社を告訴し、6年後示談が成立し、6500万ドルの支払いを受け取ることに成功しました。さらに彼らはビットコインの価格が暴落した2013年に仮想通貨に投資することを決意し、「Gemini Trust Company」という会社を立ち上げ、ビットコイン業界に進出しました。

シカゴ・オプション取引所とはパートナー契約を結んでおり、兄弟のジェミニ取引所のビットコイン価格を先物の価格基準にしています。兄弟はETFで一度却下されたものの、まずは先物からなしくずしを図っているとも読めます。

ビットコインETFの上場承認はいつ?米SECの承認への動きが活発化か

まとめ

先物もETFもデリバティブ金融商品の一種です。投資リスクを軽減しながら投資するための商品で、いずれも仮想通貨に投資している人だけでなく、まだ仮想通貨をもっていない人にも裾野を広げる点で、ビットコイン先物進出はポジティブに受け取られています。

しかし、投資リスクは分散してもなくなるものではありません。先物取引所の構図が複雑なのもその証拠です。

ETFは1989年という、つい最近に開発されたもので“リスクのない投資”を実現する夢のような商品ではありますが、ビットコインやブロックチェーンの価値や仕組みを理解しないまま、ただバブルだからと投機する人をいたずらに増やし、サブプライムローンのように経済危機の引き金を引いてしまう…という最悪のシナリオをも連想させます。

仮想通貨は本サイトなどで勉強し、自己責任のもと投資することをお勧めいたします。

ビットコイン先物とは?FXとどう違うの?特徴や価格への影響を徹底解説!

参考サイト:

https://www.rakuten-sec.co.jp/web/foreign_futures/

https://www.coindesk.com/understanding-futures-primer-bitcoiners/

https://cointelegraph.com/news/bitcoin-etfs-seek-approval-following-launch-of-futures

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-12-13/P0VHB96JIJUZ01

http://orekabu.jp/etf/

 

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