ビットコインのフォークとは?予定時期や付与される取引所について解説
<この記事(ページ)は 7分で読めます>
ビットコインのフォークコインとは?
フォークコインとは、ビットコインの既存のブロックチェーンからハードフォークして新たに誕生した仮想通貨のことです。フォークとはブロックチェーンの分岐のことで、ソフトフォークとハードフォークに分類されます。「ビットコインの分裂」と表現されることもありますが、「ビットコインのブロックチェーンの分岐」というのが正確な表現になります。
ソフトフォークとは、前のブロックに新仕様を追加することによって発生するブロックチェーンの分岐を指します。ルールの厳格化であるため、新しいルールは従来のルールに取り込まれ、従来のルールが適用されているブロックからみても新しいブロックチェーンは有効となります。そのため2つのチェーンが併存することが可能です。
ハードフォークとは、前のブロックまで適用されていた従来のルールをなかったことにして新しいルールを適用することによって発生するブロックチェーンの分岐を指します。ルールの緩和であるため、従来のルールに従うブロックからみると新しいブロックチェーンは無効となります。そのため新旧のブロックチェーンは別々のコインとして扱われることになります。この新しいブロックチェーンがフォークコインです。
ハードフォークについては以下の記事に詳しく解説していますので、参照してください。
ビットコインがフォークしてできた主なコイン
具体的にフォークコインにはどのようなものがあるのでしょうか。すでにリリースされているものから今後分裂予定のものまで、いくつか紹介します。
すでに存在するもの
ビットコインキャッシュ
ビットコインキャッシュとは2017年8月1日に、スケーラビリティの問題に対する解決策としてのSegWitやSegWit2Xの導入をめぐってコアデベロッパー側と大手マイニングプール側が対立し、マイナー側の主導でハードフォークしたものです。
ビットコインキャッシュの主な特徴
・スケーラビリティ問題へのアプローチとして、SegWitを導入せずブロックサイズの上限を従来の1MBから8MBに引き上げた
・マイニングの難易度に関するルールとして、難易度調整アルゴリズム(EDA/DAA)を導入した
12月4日現在でおよそビットコインの10~15%程度の価値を持ち、時価総額3位です。
ビットコインゴールド
ビットコインゴールドとは、ビットコインキャッシュに続き、2017年10月末にビットコインからハードフォークして誕生し、11月12日にリリースされたものです。分散型の通貨を目指しており、おおむねビットコインの仕様を踏襲しています。
ビットコインゴールドの主な特徴
・ビットコインのマイニングに使われている専用ICチップのASICが使用できない。代わりにGPUマイニングに最適化している
・マイニングの難易度調整をより頻繁に行える
12月4日現在でおおよそビットコインの3%程度の価値を持ち、時価総額7位です。
ビットコインダイヤモンド
ビットコインダイヤモンドとは、2017年11月24日にビットコインからハードフォークして誕生した、匿名性と利便性を重視した通貨です。
12月4日現在でおおよそビットコインの4%程度の価値を持っています。
ビットコインダイヤモンドの主な特徴
・ビットコインに比べプライバシー保護を強化している
・ブロックサイズの上限を8MBに引き上げ、トランザクション(取引)の高速化を図っている
・発行総量をビットコインの10倍に設定することで手数料を安価に抑え、新規参入のハードルを低くしている
これからハードフォーク予定のビットコインのフォークコイン
ビットコインプラチナ
ビットコインプラチナは12月4日現在はビットコインのブロックチェーンが498533 blocksに達した時点でハードフォークする予定で、12月中旬頃になるとされていますが、この数字は度々変動しています。ビットコイン本来の分散型取引の実現を掲げています。
※追記:このコインは10代の韓国人男性によるイタズラと判明しました。
ビットコインプラチナの主な特徴
・プレマイニングがない
・マイニングの分散化を実現するため、Equihashアルゴリズムを採用している
・ASICが使えない
・SegWit2Xを採用している
ビットコインシルバー
ビットコインシルバーは、12月にフォークするといわれていますが詳細な日時は分かっていません。日本時間で11月30日の10時までICOを行っていました。
ビットコインシルバーの主な特徴
・Equihashアルゴリズムを採用している
・リプレイアタックに対する耐性を備えている
・取引の透明性の向上を図っている
ハードフォークが予想されているもの
スーパービットコイン
スーパービットコインとはビットコインのブロックチェーンが498888blcksに達した時点でハードフォークする予定の仮想通貨で、12月17日頃(追記:12日に早まりました)になるとされています。約1年かけて下記の機能をすべて実装するとしています。
スーパービットコインの主な特徴
・スマートコントラクトを実装する
・ライトニングネットワークを採用する
・ゼロ知識証明を導入することで匿名性を向上させる
・ブロックサイズの上限を8MBに引き上げる
ビットコインキャッシュプラス
ビットコインキャッシュプラスとは、2018年1月2日にフォーク予定の仮想通貨です。
ビットコインキャッシュプラスの主な特徴
・Equihashアルゴリズムを採用している
・ブロックサイズの上限を8MBに引き上げる
・EDAを導入している
・リプレイアタックへの耐性を備えている
ビットコインウラン
ビットコインウランは2017年12月31日にフォーク予定とされていますが、公式サイトや詳細が公表されていません。
ビットコインウランの主な特徴
・Equihashアルゴリズムを採用している
・プレマイニングがない
ビットコインのフォークコインの入手方法
それでは、ビットコインがハードフォークした際にどのようにすればこれらのフォークコインを入手することができるのでしょうか。
ビットコインのフォークコインを受け取る方法は、すべてのフォークコインについて共通で、2つあります。1つはハードウェアウォレット等のウォレットに直接付与してもらう方法。そしてもう1つが、取引所を通して付与してもらう方法です。
1つ目の方法がとられるのは、Trezorなどのハードウェアウォレットで自分で秘密鍵を管理している場合です。この場合、理論上は基本的にすべてのフォークコインが付与されます。また、マウントゴックス事件のように取引所がハッキングされて破綻する等のリスクも負わずにすみます。
ただし、理論上ウォレットにフォークコインが付与されても、ウォレットがその分離や送金に対応するかどうかは別の話で、ウォレットが対応するまでは取り出しが不可能です。自分で分離させることもできますが非常に困難です。Trezorがビットコインゴールドに対応したのはリリースから9日後の11月21日でした。この間の機会損失がデメリットであるといえるでしょう。
2つ目の方法がとられるのは、取引所に自分のビットコインを秘密鍵ごと預けている場合です。この場合、コインが付与されて取引所が対応してくれれば、すぐにフォークコインの取引を行うことができます。
ただし、取引所が特定のフォークコインを付与しないことを発表した場合、自分で秘密鍵を管理していた場合にはもらえていたはずのコインを受け取れなくなります。また、秘密鍵を第三者に預けることによって発生しうる先述した取引所の破綻や情報流出等のリスクも、デメリットといえるでしょう。
ビットコインのハードフォーク後、フォークコインを受け取る取引所はどこがいい?
フォークコインが付与されるかどうかや取り扱われるかどうかは、ウォレットや取引所の対応次第なので、フォークコインが誕生したからといって必ずそれが付与されるわけではありません。また、それが付与されたからといって必ず使えるようになるわけではないことに注意しましょう。
ただし、数多くの仮想通貨を扱う大手取引所、例えばバイナンスやビットフィネクスといった海外取引所にビットコインを預けておくことは、比較的確実にフォークコインを入手できる方法といえるでしょう。バイナンスは、ビットコインゴールドやビットコインダイヤモンドの配布をいち早く実行して話題になりました。
日本の取引所の場合は、投資家保護を最優先にしているため、安全性などを十分に確かめてから取り扱いを開始するところが多くなっています。そのため取扱開始が遅くなったり、そもそも取り扱わないことになる(つまり付与もされない)可能性があります。これからの国内取引所の動向に注目ですが、日本の場合は”横並び”になりやすい傾向にあるでしょう。
この先数カ月でいくつものハードフォークが次々に起こることが予定されており、その後もフォークコインの数は増えていくと考えられます。それぞれのフォークコインの特性や入手方法を把握しておくことで、今後の仮想通貨市場の不透明な行く先を少しでもよく見通しておきたいものです。