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イーサリアムの共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏が9日、フランスのパリで開催されたイーサリアム・コミュニティ・カンファレンスで、「Plasma Cash(プラズマキャッシュ)」という新技術を発表しました。
この新技術で取引所のハッキングによる資金の流出を防げる可能性があるといいます。
ユーザーは資金の損失を補償されるという画期的なシステムです。
スケーラビリティ問題の解決に挑んだ2017年
2017年8月、イーサリアムでスケーラビリティ(ブロックサイズ)の問題を解決しようとしたシステム「プラズマ」が発表されました。
このプラズマには、メインのブロックチェーンと、それに相互作用するベイビーチェーンと呼ばれるサイドチェーンがあります。
そのベイビーチェーンに、スマートコントラクトのレイヤーを作成することによってメインのブロックチェーンに送られるデータを最適化し、スケーラビリティ問題を解決しようとしたシステムです。
ビットコインでブロックサイズ問題の解決策となったSegwitをイメージすると分かりやすいでしょう。
2017年8月といえば、ビットコインのブロックチェーンのスケーリング問題(ブロックサイズ問題)が出て来て、ビットコインがハードフォークした頃です。
当時の仮想通貨の2トップが揃ってブロックサイズ問題に取り組んでいたのですね。
ただ、このプラズマでは、各ユーザーが処理しなければならないデータ量が大きかったり、全員がプラズマのブロックをダウンロードし検証しなければならなかったりといった問題がありました。
そこで今回の「プラズマキャッシュ」では、
自分に関係のないブロックを無視します。
それによってユーザーが処理しなければならないデータ量が大幅に削減されます。
イーサリアムを預けると同等の価値を持つプラズマコインとIDが発行されるのです。
スマートコントラクトの仕組みにより、ユーザーはプラズマ上の全取引を承認・検証する必要はなく、自分がかかわっているコインのプラズマチェーンのみを容易に追跡することができるのです。
ブリテン氏はまた、仮想通貨取引所がこのプラズマキャッシュ技術を導入すれば、たとえハッキングが発生したとしても、ユーザーが資金を失うことはないと主張しています。
プラズマコインを別の所有者が盗もうとすると、所有者に警告が行く仕組みになっています。
また、プラズマキャッシュのシステムではユーザーの資金を直接扱うのではなく、取引所を通じたスマートコントラクトを利用するので、コインの所有者はコインの取引履歴の証明データを示すことができます。
このようにして損失を保証することができるのです。
プラズマキャッシュはまだ実践段階には入っていないようですが、実現すれば非常に画期的なシステムです。
実用化が楽しみですね。
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