フィリピン、マレーシアにおける仮想通貨の法規制
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日本は、仮想通貨フレンドリーな国といわれています。それまで野放し状態だった仮想通貨マーケットですが、世界でもいち早く仮想通貨の法規制が成立、2017年4月1日に施行され、9月には、国内大小の仮想通貨取引所に対して金融庁の審査による登録制が義務付けられました。
過去にあったハッキング事件などが再発しないようにする、こうした日本の投資家保護の取り組み姿勢は、各国から注目を浴びています。
外に目を向けると、アジア圏では、中国、韓国、シンガポールなど、各国でも仮想通貨の法規制が着々と進んでいるなか、ここではフィリピンとマレーシアの法規制の動きをクローズアップします。
フィリピンの仮想通貨の法規制について
フィリピンでは、法定通貨と仮想通貨の変換をする取引の法規制について、2017年11月21日に中央銀行および証券取引委員会の代表により、コメントが出されたことで、フィリピンの仮想通貨取引所とトークンによるクラウドファンディングが国内で注目を浴びました。
フィリピン証券取引委員会(SEC: Philippine Securities and Exchange Commission)とフィリピン中央銀行(BSP: Bangko Sentral ng Pilipinas)は、資金調達の財政ツールとして仮想通貨の利用を共同で探求しています。
SECはクラウドファンディングに利用されている特定のトークン、つまりICOを証券に分類することを検討しており、BSPは取引所に対して登録制による許可を与え、BSPの監督下で、法規制とのコンプライアンスを容易にすることを考えているようです。
記者会見でSECのコミッショナー、エミリオ・アキノ氏は、いわゆる仮想通貨の売り出しを実行可能な証券とみなしたい意向で、その場合は、証券規制法を適用することを示唆しました。また、当該機関は米国SECおよびマレーシア、香港、タイに拠点を置く法規制機関から最近発行されたガイドラインに影響を受けたものだということです。
同日、BSP総裁ネスター・エスペニーラ・ジュニア氏はSecurity Bank Economic Forum 2017での経済討論のなかで、BSPは2つの取引所を登録したところで、さらに複数の取引所を審査中であると述べました。
2017年2月にBSPは、フィリピン国内の仮想通貨取引所およびそれと同様の金融機関団体に対して、法規制の骨組みを整備しています。それは、フィリピン大統領から直接任命される7人の役員から構成され、実質BSPの実権を持つ金融庁(MB)に認可されたものです。その目的は、フィリピンにおいてマネーロンダリングやテロリストの財政援助になるようなことを防ぐことです。
現状、BSPは仮想通貨を是認しているわけではなく、送金や支払い、AML(アンチ・マネーロンダリング)標準の施行、およびテロリストへの資金となるリスクを軽減する法規制に焦点を当てたものだとしています。加えて、フィンテックに対しては寛容な立場をとっており、その政策によってイノベーションのチャンスをもたらすための非常に積極的な役割を担っていると評価しました。
マレーシアの仮想通貨の法規制について
マレーシアでも仮想通貨の規制体制を導入するという報道がありました。
マレーシア中央銀行総裁のムハンマド・イブライム氏がテロ対策金融サミットで述べたところによると、新しい規制体制のもとで仮想通貨を法定通貨に交換は、来年から報告義務が生じるとしています。つまり、金融機関は仮想通貨から法定通貨への取引ごとに適切な監査をすることが要求されます。それによりマネーロンダリングやテロリズムの財政活動のパイプになることを防止します。
マレーシアでは昨年クアラルンプールのバーで起こったテロ事件があり、過去数年で武装勢力と関わりのある逮捕者は数百人を超えています。テログループが銀行送金を通して不法な活動に財源を与えることになってしまったという苦い経験から、マレーシアの規制当局は、仮想通貨が金融のテロリズム関連グループとその運営に使われる可能性を恐れています。
フィリピン、マレーシアの法規制についてのまとめ
数カ月前、中国の当局が仮想通貨の活動に関して禁止や法規制をかけたというニュースがありました。禁止は主にICOに焦点を合わせたものでした。その理由は、投資家の一部が詐欺にあった可能性を危惧したからです。当局は、トークンセールの運営者に対し、投資家に全額を返金することを求め、次の通達が出るまで即刻活動を停止するよう求めました。
中国当局がICOを禁止してすぐに、韓国の金融庁がすべてのICOとトークンセールを韓国内で禁止すると宣言しました。規制当局にとってICOマーケットとそのメカニズムをよりよく理解するために禁止することが適切であったという専門家もいます。中国政府の規制当局はまた、特定のビットコインおよび仮想通貨の取引所にも警告して適切な法規制の仕組みが正しく設置されるまで、すべてのオペレーションを停止させました。規制当局は利用者を守りたいとういうだけでなく、KYC(身元確認)とAML(アンチ・マネーロンダリング)手続きを適応して、資金洗浄(マネーロンダリング)とテロリストの資金供給を止めたかったのです。
ビットコインに始まり数多くの仮想通貨に多額のお金が集まっている現状が、各国それぞれのお国事情で無視できない存在になってきているのは事実です。取り締まりの結果、適切な法規制を敷いて詐欺やマネーロンダリングの危険性を排除して、人々のために役に立つ仮想通貨の世界が築かれていくことを願っています。