毎日更新!ビットコインはもちろん、暗号資産のことがよくわかる情報サイト

テザー問題とは? テザー は裏で何が起こっている?

2019.08.13
テザー問題とは? テザー は裏で何が起こっている?

<この記事(ページ)は 7分で読めます>

皆さん、テザー 問題をご存知でしょうか?

テザーが何かと問題を起こしていることは知っているけど、具体的に何が起きているかわからないという人が多いのではないでしょうか?

米ドルに裏付けられているはずのテザーが実は担保が無い?なんて噂もあります。

今回はテザーとテザーを取り巻く問題を時系列ごとにわかりやすく説明したいと思います。

米ドルに裏付けられたペッグ通貨、テザーとは?

まずはテザーがどのような昨日を持つ仮想通貨なのか確認したいと思います。

テザーとは?

テザー(USDT)とは2015年にTether社によって発行された暗号資産です。
テザーは米ドルとペッグした通貨という特徴をもっています。
(1USDT=1USD)

※ペッグ通貨(=ステーブルコイン)・・・他の通貨と価値を連動させることで一定の価値を保つ通貨。

米ドルとペッグした通貨はテザーの他にも存在しますが、どれも流通量が減り普及に至っていません。
そのため、テザーが暗号資産の中でも代表的なペッグ通貨と言えます。

テザーは発行額と同額の米ドルを準備金としてTether社が蓄え、必要に応じて利用者の引き出しに応じられるようにしておくというカレンシーボード制を採用しています。
これが信頼につながり時価総額ランキング7位まで上り詰めています。(2019年7月30日現在)

アイフィネックス 、ビットフィネックス、テザー、クリプトキャピタルの関係

これから触れるテザー問題には4つの会社が大きく関わってきます。

テザー問題に触れる前に、各企業の関係を確認していきたいと思います。

iFinex(アイフィネックス ) Tether社、Bitfinex社の親会社。クリプトキャピタルに出資を行う。
Bitfinex(ビットフィネックス) 仮想通貨取引所。CEOはTether社のCEOも務める
Tether(テザー) 仮想通貨Tetherの運営を行う。CEOはBitfinexのCEOも務める。
Crypto Capital(クリプトキャピタル) ペイメントサービスを行う会社。iFinexから出資を受ける。

4つの会社はiFinex社を中心に密接な関係にあります。

この関係がテザー問題を拗らせていると言っても過言ではありません。

裏では一体何が起きている?テザー問題とは?

テザーは米ドルにうらづけられていることで担保されています。

しかし、巷ではこんな噂が流れています。

「テザーは発行量分の米ドルを準備金として本当に保有しているのか?」

この噂が広まったきっかけについては後述しますが、テザー問題とは「テザーの準備金が保証されていない」という問題です。

それではどのようにテザー問題は発展していったのでしょうか?

クリプトキャピタルが9億ドルの損失を出す

事の発端はペイメントサービス業を行うクリプトキャピタルが多大な損失を出したことから始まります。
クリプトキャピタルは盗難などを理由におよそ9億ドルもの損失を出してしまいました。
出資しているアイフィネックスにとっても、この損失は痛手となります。

ここでアイフィネックスの子会社であるビットフィネックスが動きます。

ビットフィネックスがテザーの準備金でクリプトキャピタルの損失補填

クリプトキャピタルの損失を補うために、ビットフィネックスが損失補填を行います。

ビットフィネックスは、損失補填にテザーの準備金を使用しました。

顧客からの引き出しリクエストに応えられなくなる

2018年10月にビットフィネックスが顧客からの引き出しリクエストに対応できなくなるという問題が生じました。

引き出しリクエストに応えられなかった原因はテザーの準備金を使用したことにあると考えられています。
この問題がきっかけで投資家たちを中心に「テザーが十分に準備金を保有していないのではないか?」という噂が流れ始めました。

NY州司法長官がビットフィネックスとアイフィネックスを訴訟

2019年4月、テザーの準備金不足問題を追及するためにアメリカニューヨーク州のレティーナ・ジェームズ司法長官がビットフィネックスとアイフィネックスを訴訟しました。

訴訟内容は

  • ・ビットフィネックスが顧客の資金と自社の資金を混同させて保管していた。
  • ・提携先をクリプトキャピタル関連の損失補填のために7億ドルのテザーを使った。

の2点です。

ニューヨーク州の司法当局はアイフィネックスに対して、テザーの準備金からビットフィネックスの銀行口座への資金移動や患部の利益配当を止め、関連文書とともに情報を提供するように求める裁判所の令状を得ました。

そして、通常の業務以外でテザーが準備金を使ってビットフィネックスやその他の関係機関に融資や資金提供をすることが禁止されました。

テザーの弁護士がテザーの4分の3しか米ドルで裏付けられていないことを認める

2019年5月、テザー社の弁護士がテザーは4分の3しか米ドルで裏付けられていないことを認めました。

テザーの弁護士によると、
「テザーは実際、現金や現金に相当するもの以外にも投資し、その投資先にはビットコインも含まれる。」
と供述しました。

テザーの準備金を投資家に開示することなく、様々な場面で使っていたようです。

この準備金の使用によって、テザーの4分の3しか担保されていない状態になったと思われます。

ビットフィネックスがテザーに1億ドル返済

2019年7月2日、ビットフィネックスは損失補填に使用した1億円分のテザーを返済しました。

NY州司法長官VSビットフィネックス

2019年7月29日にニューヨーク州司法長官がビットフィネックスがテザーを損失補填に使用したことについて訴訟し、その裁判が行われました。

争点はビットフィネックスがニューヨークで営業していたかどうかです。
ニューヨークで営業を行ったかどうかによって、ニューヨーク州の法令が適用されるかが決まります。

今回の裁判では決着が着かず、90日間延長することが決まりました。

NY州司法長官側の見解は?

ニューヨーク州の司法長官は4月25日にビットフィネックスが8億5000万ドルの損失を補填するためにテザーを使っていたとして訴訟を起こしました。

ニューヨーク州司法長官はビットフィネックスに対して、テザーの発行量、償還量、顧客の口座、納税書、出勤リストなどといった情報は「責任ある取引所なら簡単に開示できるはず」と、関連文書の提出を要求しています。

テザー側の見解は?

準備金の74%しかカバーされていないと認めたテザーは、どのような見解を示しているのでしょうか?

テザーは100%カバーされていなくても、不足分はクレジット(与信枠)でカバーされると主張しています。
米ドルでなくても、BTCなどの他の通貨資産(テザー社のアセット)で補完しているため問題はないという見解です。

そのため、テザー社はUSDTと1:1の米ドルを保有する必要がないと述べています。

テザーの弁護士は
「司法長官によると、テザーが償還に使用する準備金を不適切に損なっていたため、与信枠を凍結する必要があると述べる。司法長官は、テザーが1USDTにつき1ドルを保持しなければならないと信じているようだ。この主張は間違っている。」
と主張しています。

テザーの将来性は?

テザーはペッグ通貨であるという信頼の元で時価総額を伸ばしてきました。

しかし、今そのペッグ通貨としての機能が崩れようとしています。
今後の裁判の結果次第で、ペッグ通貨としての機能を問われると思います。

また、ビットフィネックスの取引所としての機能にも支障が生じる可能性があります。

今後もテザー動向に目を離せません。

【関連記事】
参考サイト:
“https://jp.cointelegraph.com/news/nyag-argues-against-continued-stay-of-demands-for-bitfinex”
“https://jp.cointelegraph.com/news/bitfinex-have-already-spent-a-half-million-dollars-for-just-finding-documents”
“https://jp.cointelegraph.com/news/judge-rules-to-extend-bitfinex-and-ifinex-case-in-new-york”
“https://jp.cointelegraph.com/news/tethers-trial-is-due-tomorrow”
“https://jp.cointelegraph.com/news/they-are-misleading-bitfinex-strikes-back-at-nyag”
“https://cointyo.jp/article/10006904”

関連記事

この記事のタグ