金融庁、仮想通貨規制の草案を公開
<この記事(ページ)は 4分で読めます>
金融庁は、仮想通貨とICOのための新たな規制枠組みの関する草案を発表しました。
報告書における主な内容のひとつは、今年1月に発生したコインチェックのNEM流出事件と、9月のZaifハッキング事件に関する防止と対処に関するものであるとのことです。
セキュリティ対策について
金融庁はセキュリティ対策として、秘密鍵を可能な限りコールドウォレットで管理することなど「顧客財産の管理・維持」の強化を仮想通貨取引所に要求しています。
また、消費者保護のため、仮想通貨交換業者がハッキングを受けた際には、純資産を「通貨及び返済資金に等しい金額以上にする」ことが必要とされています。
さらに、仮想通貨交換業者が倒産した場合の対策、顧客資産の保全、取引価格の透明性確保、仮想通貨の不公正な現物取引(仕手取引)への対応などが盛り込まれています。
仕手取引への対応について
仕手取引とは、多額の資金を持った集団が、SNSなどで特定の仮想通貨について時間・特定の取引の場を指定のうえ、特定の仮想通貨に大量の買いを入れたり売りを入れたりして、不正に一般投資家を誘い込み、価格の急騰や急落を誘発させる取引のことです。
このような仕手取引は、金融庁も問題視していますが、報告書では、「仮想通貨と有価証券の取引では重要性や経済活動上の意義が異なる」とされ、「一定の対応は必要」と記載するにとどまっています。
匿名通貨の扱いについて
「マネーロンダリング等に利用される恐れが高い、追跡困難なものや、移転記録の維持・更新に脆弱性を有するものの存在も知られてきている」としたうえで、「利用者保護や、業務の適正かつ確実な遂行の観点から、問題がある仮想通貨を取り扱わないための措置を講じる必要がある」と記載しています。
このことから、今後国内での匿名通貨の取引に厳しい制限がかけられることが予想されます。
ICOへの対応について
ICOについては問題が多いとしつつも、将来の可能性を含めた一定の評価もあるとし、「現時点で禁止すべきものと判断しない」としており、一部の意義を評価した上で、適正な自己責任と規制内容の明確化を求めていく方針のようです。
名称を「暗号資産」へ変更
金融庁は、ビットコインなどインターネット上で取引される「仮想通貨」の名称を「暗号資産」へ改めるとしています。
日本円やドルなどの法定通貨と誤解される恐れがある他、20カ国・地域(G20)会議などの国際会議で暗号資産(クリプトアセット)との表現が主流であるため、日本でも統一するとのことです。
仮想通貨の呼称については、送金や支払いなど決済手段として使う場合には「通貨」との呼び名がわかりやすいが、荒い値動きにだけ注目した投機的な売買も多いため、法定通貨のような決済手段と区別すべきとの指摘がされていました。
改称の時期については、未定とのことです。
この他、仮装通貨カストディーサービスへの規制、仮想通貨デリバティブ取引の規制についての草案がまとめられているとのことです。
仮想通貨の新たな規制枠組みが明らかにされました。
今後、さらに明確化されていく規制の内容が、今後の日本国内での仮想通貨の成長に大きく影響することは確かです。
参考サイト:
”https://crypto.watch.impress.co.jp/docs/event/1158887.html”
”http://nextmoney.jp/?p=13274”
”https://www.ccn.com/japanese-regulators-publish-new-cryptocurrency-regulation-draft/”
”https://www.fsa.go.jp/news/30/singi/20181214-1.pdf”