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イギリスでブロックチェーンを使ったチケット転売防止策が登場

2017.08.15
ブロックチェーンを使ったチケット転売防止策が登場

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人気コンサートチケットのダフ屋問題

人気アーティストのコンサートチケットを大量に買い占め、定価の数倍という高額でネットオークションなどで販売する「チケット転売」「ダフ屋行為」問題。

チケットが大量に買い占められることでチケットが高額になって経済的負担が大きくなったり、本来のファンがコンサートに行けなくなったり、コンサートに行ってグッズを買う機会が失われたりして、転売の弊害が多くの音楽ファンに及んでいます。

こうした状況を受けて、日本では2017年5月にチケットを適正価格で取引するためのサービス「チケトレ」が開始しましたが、チケットの転売問題は日本だけではなく多くの国々で大きな問題となっています。

チケット転売からアーティストやファンの利益を守るために設立された団体、FanFair Alliance(http://fanfairalliance.org/)によると、イギリスのチケット転売市場は10億ポンド(1423億600万円)に上ります。

アーティストたちもこの事態を重大に受け止めています。最近のケースでは、人気歌手エド・シーランが世界最大のチケット転売サイトViagogoで、自身のチケットが1枚最高1000ポンド(14万2298円)で販売されるという事態に際し、1万枚のチケットをリコールしたことで賞賛の声を集めました。

チケットの高額転売を違法行為と位置付けている国もあります。例えば、オーストラリアのクイーンズランドでは、原価の10%増しの価格で転売することは違法とされています。しかし、このような法規制もチケットの転売を完全に取り締まることができていないというのが現状です。

 

ブロックチェーンを使ったダフ屋行為防止策

このようなチケット転売を防止す

る策として、ロンドン発のAventus(アヴェンタス)、ダブリンのTicketChain(チケットチェーン)といったスタートアップがブロックチェーン技術を使ったプロジェクトを進めています。

既存の仕組みでは、電子チケットをスマートフォンで表示することで、チケットの持ち主であることを証明しています。しかし、この仕組みだと、例えば2万ポンドのチケットを買うために50ポンドのスマートフォンを買う、といったことができてしまいます。

Aventusがブロックチェーンを使うことで法外な価格でチケットが転売されることを防ぐ仕組みはこうです。個人情報がハッシュ化され、イーサリアムのブロックチェーンを使ったAventusのブロックチェーンプロトコルに加えられます。チケットの情報はブロックチェーン上にあり、個人情報と結び付けられています。チケットの持ち主がAventusのプロトコルを通じて、他のユーザーに転売すると、チケットをもらった人はチケットに結び付けられた個人情報を自分のものに変更します。

この仕組みで用いられる個人情報とは、顔や声、クレジットカードなどになるため、他の人の証明書で偽装することができないようになっています。

コンサートなどのイベント主催者は、そのチケットを転売可能にするか、禁止の対象とするかを決めることもできます。さらに、転売の利益を受け取ることができるように、転売の最低価格や最高価格を決めることができます。

TicketChainもAventusと同様、イーサリアムのスマートコントラクトを使用しています。TicketChainは紙のチケットを廃止し、チケットをすべてブロックチェーン上で発行しようと試みています。

チケットの管理をブロックチェーン上で行えば、チケットの持ち主をすべて辿ることができますし、高額で転売することを不可能にすることもできます。

しかし、チケット販売分野ではチケットマスターのような大手やイベントブライトといった新規参入者がチケット販売分野で覇権を握っているため、スタートアップが参入して行くことが難しいと予想されます。

Aventusは新規参入したイベント主催会社ブルーホライズンエンターテイメントとプロトコルを実行する契約を結びました。

ブルーホライズンは2017年後半にロンドンで1万〜1万5千人の集客が見込まれるイベントでAventusのプロトコルの試験運用を行うことを計画しています。

一方、TicketChainの設立者たちは、ダブリンのトリニティカレッジの学生たちと協力して、学内イベントや地元のボクシング学校のチケット販売で試験的に運用を行う計画をしています。

9月から3月までの試験運用期間に6500の取引を扱うことになり、試験運用終了後はより有名なアーティストのチケット販売に運用していくつもりだということです。

 

 

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