BRICS、共同で仮想通貨発行を構想
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2019年11月13日、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで構成される新興5カ国(BRICS)首脳会議が開幕しました。
会議で提案された、共同で仮想通貨を発行するという構想について詳しくご紹介します。
BRICS各国が経済取引拡大を目指す
今回、共同で仮想通貨を発行という提案がなされた理由は、各国の経済取引に関する見解が「BRICS内の経済取引拡大」という点で一致していたからだと言えます。
ここでは、国別の見解と状況を見てみましょう。
ブラジル「より多くの取引を」
ブラジルのボルソナロ大統領は「我々はBRICSの国々とより多くの取引をしたい」という見解を述べました。
14日に発表されたブラジルの経済活動指数は、第3四半期で1年ぶりの大幅上昇を記録し、このまま経済活動を促進させていきたい方針と考えられます。
ロシア「保護主義や関税に圧倒されないように」
ロシアのプーチン大統領は「BRICSの国々は保護主義や関税に圧倒されないように働くべきだ」と主張しました。
アメリカから厳しい経済制裁を受ける中、反保護主義を主張する中国と同じ方向性をとっています。
インド:中国との連携
インドのモディ首相のコメントは現時点で公開されていませんが、現地で行われた中国との会談で、互いに投資や経済取引を拡大させていくことについて話し合ったようです。
中国「輸入と輸出を増やす」
中国の習近平国家主席は、アメリカを始めとする保護主義の台頭は世界経済の脅威であるとした上で「我々は輸入と輸出を増やす」と主張しました。
各国見解を確認した上でBRICSについて言えることは、アメリカを中心にグローバルに広がる保護主義を阻止する方向性にあるということです。
その手段として、共同仮想通貨の発行という構想に繋がったようです。
南アフリカ:自国の経済成長率が鈍化
南アフリカのラマポーザ大統領のコメントも、現時点では公開されていませんが、今年10月末に2019年の経済成長率を当初の1.5%から0.5%に下方修正したこともり、経済成長に向けた施策は必要不可欠だと言えます。
共同仮想通貨発行のメリット
それでは、BRICS共同で仮想通貨を発行することに具体的にどのようなメリットがあるか見てみましょう。
加盟国間の貿易促進
先ほども強調したように、BRICS諸国は加盟国間での経済取引を促進させることを目指しています。
よって、スムーズなお金の流れを作るために、外貨両替のいらない・速い送金スピードを誇る共同仮想通貨の活用が検討されたと考えられます。
投資の安定性
BRICSで共通の仮想通貨が発行されれば、BRICS経済の活発化を期待する世界中の人が、国籍や自国の通貨に関係なくBRICS仮想通貨に投資することができます。
よって、BRICSへの投資の安定性も保つことができるのです。
マネロン対策
仮想通貨で共通の決済システムを作ることは、マネーロンダリングやテロ資金供与といった犯罪抑止にも繋がります。
通常マネーロンダリングとは、外貨両替を繰り返してお金の出所を分かりにくくする行為を指しますが、BRICS内で流通する通貨が単一のものになればマネーロンダリングもやりにくくなります。
今後の方向性
プーチン大統領はBRICS諸国に対して、ロシアのデジタル技術を提供したいという見解を示しています。
ロシアは「高度な情報セキュリティ要件」を満たす電子文書管理技術、検索エンジン、およびウイルス対策プログラムを共有できるとしています。
さらに、仮想通貨の開発も盛んであるため、今後ロシアを中心に開発が進むと見られます。
また、最近中国での仮想通貨活用のニュースも多いため、両国が共同で技術開発を行った場合、BRICS仮想通貨が仮想通貨業界を牽引していくかもしれません。
官製仮想通貨の流れ
国発行の仮想通貨、官製仮想通貨を世に出そうとする流れは世界で広がっています。
BRICS以外に11カ国もの国々が検討しており、その意義は広く認識されています。
以下の記事をご覧ください。
まとめ
経済取引拡大を目指すBRICSにとって共同仮想通貨の発行はかなり意味のあるプロジェクトです。
さらに、仮想通貨先進国である中国とロシアが共同で開発を進めるという点から実現度も高いと言えます。
仮想通貨がBRICSの経済成長を加速させる存在になり得るか、今後も注目したいですね。