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カイバーネットワークによる分散型取引所

2017.09.06
カイバーネットワーク(Kyber Network)

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中央管理型取引所のリスク

仮想通貨を売買したいとき、日本国内の取引所であればビットフライヤーやコインチェックを使います。海外取引所であればPoloniex(ポロニエックス)やBittrex(ビットトレックス)などを使います。これらの取引所は「中央管理型取引所」です。つまり、中央管理者がいて、利用者はその中央管理者に対して資金(仮想通貨)を預けて、取引を行っています。

一般的には、こうした中央管理型の取引所が使われています。しかし、取引所に預けているということは、自分の仮想通貨の秘密鍵の管理を取引所に委任していることですので、取引所の内部の人間が顧客の資産を不正に引き出すことが可能になってしまいます。また、顧客の秘密鍵の情報が一箇所に集まっているということで外部からの攻撃のリスクも高まります。

分散型取引所(DEX)とは?

この「内部の不正や外部からのハッキングのリスク」という中央管理型取引所のデメリットを解消した取引所が「DEX(Decentralized Exchange):分散型取引所」と呼ばれるものです。分散型取引所とは、一言でいうと自分で秘密鍵を管理できるウォレットに取引所の機能が付いたもの」ということができます。

「ウォレットに取引所の機能が付いている」とは、取引所に資産を一度預ける(秘密鍵を預ける)ことなく、個人間での直接取引(P2P取引)が可能だということです。

中央管理型の取引所に資産を預ける場合、取引所を信頼して秘密鍵の管理を委任することになります。しかし、分散型取引所の場合は、中央に介在する機関が存在しないため信頼する必要がない、つまり「トラストレス」であるという特徴があります。

中央管理型取引所にハッキングや倒産のリスクがあることを理解している人の多くは、「自分のウォレット(CopayやJaxxなどのモバイルタイプ、My Ether Walletなどのペーパータイプ、TrezorやLedger Nanoなどのハードウェアタイプなど)→取引所で取引→自分のウォレット」という手順を踏むことが多いですが、取引するたびにウォレットから取引所に移すのは時間と手間がかかりますし、送金手数料もかかってしまい、利便性は高くありません。

分散型取引所なら、自分で秘密鍵を管理できるウォレットから直接相手と取引ができるため、こうした手間を省くことができます。

分散型取引所にも実はデメリットがある

中央管理型取引所のデメリットを解消した分散型取引所(DEX)ですが、実は分散型取引所ならではのデメリットもあります。それは、注文を入れるたびに手数料がかかるということ、そして出来高が少なく板が薄いため、取引に時間がかかるということです。

カイバーネットワーク(Kyber Network)の機能と特徴

カイバーネットワークには以下の2つの機能があります。

・ブロックチェーン上の分散型取引所
・決済APIの提供

まず、カイバーネットワークは、イーサリアムのスマートコントラクトを使って、現在の分散型取引所のデメリットを解決することを目指します。

中央管理型の取引所が中央サーバーによって管理されているのとは異なり、カイバーネットワークはブロックチェーン上に存在しているため、取引完了にかかる時間はほんの数秒です。また、スマートコントラクトによって取引が自動的に執行されるため、仲介者を信頼する必要がありません。ブロックチェーン上にあるので、ハッキングや内部犯行に対して安全です。さらに、複数の仮想通貨の貯蔵庫(リザーブ)をネットワークに接続することで、流動性が担保されます。

実際の取引を図で見てみましょう。

ユーザーがカイバーネットワークに「イーサリアム(ETH)とデジバイト(DGB)を交換したい」というリクエストを送ります。カイバーネットワークは、複数のリザーブの中から一番良いレートを見つけ、そのレートで交換したDGBをユーザーに提供します。

KyberNetwork(カイバーネットワーク)

この「取引のリクエスト→一番良いレートを見つけ、ユーザーに提供→取引」は1取引として処理されます。そのため、指値の変更など注文を入れ直すたびに手数料はかかりません。カイバーネットワークを通せば、取引にかかるコストは低額になります。

下の表は、代表的な中央管理型の取引所と、他の分散型取引所、そしてカイバーネットワークを比較したものです。

表を見ればわかるように、カイバーネットワークは「低コスト・トラストレス・瞬間取引・オンチェーン・流動性・安全性」すべての条件を満たしています。

KyberNetwork(カイバーネットワーク)

カイバーネットワークは分散型取引所以外に、包括的な決済APIを提供する機能も備えています。

売り手がカイバーネットワークのAPIを使うことで、買い手は好きなトークンやコインを使って支払いをすることが可能になります。買い手が支払ったトークンはカイバーネットワークによって交換され、売り手側は支払いをイーサリアムやその他好きなトークンで受け取ることができます。

決済APIの使用例として、ICO(Initial Coin Offering)があります。現在では新興ブロックチェーンプロジェクトの多くがイーサリアムのプラットフォームを利用して開発されています。そのため、ICOでトークンを購入するときにはイーサリアムで支払いを求められることが多々あります。しかし、資産の多くをイーサリアム以外のトークンで持っている人は、それらのトークンをイーサリアムに交換してからICOに参加しなくてはいけません。

下の図を見てください。カイバーネットワークを使うと、ICOの参加者はカイバーネットワークに手持ちのトークンAを送り、カイバーネットワークはトークンAをイーサリアム(ETH)に交換します。この交換されたイーサリアムはトークンAの所有者に戻ることなく、直接ICOに送金されます。そして、参加者はイーサリアムで購入したトークンBを直接受け取ることができます。

KyberNetwork(カイバーネットワーク)

カイバーネットワークのトークンセールについて

カイバーネットワークのトークンセールは日本時間2017年9月15日午後3時に開始します。トークンの略号はKNC、イーサリアム(ETH)のみで参加可能です。

その他の詳細は以下の通りです。

ハードキャップ 200,000ETH
トークン総供給量 226,000,000KNC
トークンの分配 61.06%  トークンセール

19.47%  会社保有

19.47%  設立者・アドバイザー・初期投資家

トークンの使用目的 50%  保管

30%  開発

10%  オペレーション

10%  マーケティング・リーガル

 

まとめ

中央管理型取引所はセキュリティには万全を期していますが、それでもハッキングや内部犯行などの事件はたびたび起こっています。また、取引量の増加によって送金の遅延などが起こり、貴重なトレードの機会を失うこともあります。

これまで分散型取引所を使うのは仮想通貨に精通した人が多いという印象がありましたが、今後はより多くの一般ユーザーが分散型取引所を使うようになってくるでしょう。そうした中で、現在の分散型取引所のように出来高が少なく板が薄くて、取引が成立するまでに時間がかかる、手数料が高額、といった問題点を解消した分散型取引所が発展していくことは間違いないでしょう。カイバーネットワークはその1つですが、今後の発展と実用化に注目です。

Kyber Network (カイバーネットワーク)公式サイト:https://kyber.network/
Kyber Network (カイバーネットワーク)ホワイトペーパー(英語):https://kyber.network/assets/KyberNetworkWhitepaper.pdf

※仮想通貨(暗号通貨)の投資にかかる最終決定はご自身の判断でなさるようお願いいたします。

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