破産したマウントゴックスに民事再生法適用は可能か？

2017.12.21

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マウントゴックス（Mt.GOX）は、ビットコインに悪いイメージを植え付けてしまったある意味とても有名な仮想通貨取引所ですが、2014年2月に経営破綻しました。ビットコインの不正流出事件が明らかになり、マウントゴックスはビットコインの払い戻しを停止、その後民事再生法の適用を申請しました。しかし、東京地裁は再生手続きが難しいと認め、申し立てを棄却。4月24日に破産手続きの開始を決定しました。

CEOであるマルク・カルプレス氏は当初、85万BTCの消失について「ビットコインが盗まれた可能性が高い」と発言し自身の関与を否定していましたが、2015年8月1日、自身の口座のデータを改ざんし残高を水増しした疑いで警視庁に私電磁的記録不正作出・同供用容疑により逮捕され、同月21日、顧客からの預金を着服したとして業務上横領の容疑で再逮捕、起訴されました。その後、2016年7月14日に東京拘置所から保釈されました。

破産法と民事再生法で何が違う？

現在は、東京地裁により破産処理が進んでいるところですが、3万人以上にも上る被害者とは、３年以上たっても和解することなく、いまだに破産処理が続いています。

その間にビットコインは、世界の投資マーケットの表舞台に出ようとするまでに成長し、指数関数的に値を上げ続けています。ここが法定通貨での金融事件とは大きく異なるところなのです。ビットコイン価格の急上昇を受け、約20万ビットコイン（約3800億円）を保有する同社の資産価値は高騰して負債額を上回る見通しとなりました。

2014FebBTC

この事件の犠牲者であり債権者となったビットコインの投資家たちは、値上がりし続けるビットコインの価格を考慮すると、被害額の100％が返還可能になったとして現行の破産手続きの措置に反発し、民事再生法に変更することを求めています。

というのは、現状の破産法による手続きでは、東京地裁とマウントゴックス管財人による取り決めにより、原告である投資家たちは、2014年破産当時の1BTCあたり450ドルの持ち分しか受け取れません。さらに、残された資産を売却して株主や債権者間で分配しても、カルプレス氏に大金が残ることになり、とうてい納得ができないと抗議をしているのです。

「私たちのお金はどこに？」とプラカードでデモへの参加をアピールしている映像を報道でも見かけたことがあるかもしれません。この被害を被った投資家たちが作る原告グループによって、民事再生法を適用すべきだと嘆願書が出されました。彼らは、こうしている間にも、2014年倒産当時よりすでに20倍、30倍以上にもなっているビットコインの価格を受け取る権利があると主張しています。