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8/9開催『Ethereum Japan ミートアップ』@麹町 イベント参加レポート

2018.08.20
8/9開催『Ethereum Japan ミートアップ』@麹町 イベント参加レポート

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8月9日、住友不動産麹町ファーストビルで『Ethereum Japan ミートアップ』が開催されました。

Ethereum Japanは、『日本におけるイーサリアム・エコシステムの伝播』に貢献することを目的とした団体で、定期的にミートアップを開催しています。

今回は日本にも進出する注目プロジェクトや、有名企業の担当者が多数登壇しました。

MetaX

Metax

最初に、広告業界に革新をもたらすプラットフォーム「MetaX」のCEOであるKen Brook氏が登壇してプロジェクト概要を語りました。

デジタル広告業界とアドフラウド

Brook氏は、現状のデジタル広告業界の不透明さとアドフラウド(広告詐欺)の存在を指摘しました。

デジタル広告の広告主は、広告を掲載してもらったウェブサイトに広告代理店を介して報酬を支払う仕組みになっています。

支払い報酬は、掲載されたサイトでの広告閲覧数やクリック回数などのインプレッションに基づいていることが多いです。

しかし、広告閲覧などの人間のアクティビティは、botなどの自動プログラムによって簡単に模倣することができてしまいます。

現在問題になっているのは、ウェブサイト側がこのような自動プログラムを悪用して、実際より広告効果が高かったかのように広告主側に報告し、広告料を搾取しているという現状です。

さらに、優良なウェブサイトかどうかを明確な分析に基づいて判断するシステムも整っていないために広告主側の被害は拡大しています。

MetaXのホワイトペーパーによると、このような被害額は年間16 億ドル以上にのぼるとされています。

ソリューションとしてのMetaX

そこで、Brook氏らが提案するのがMetaXのプラットフォーム、そしてadChainパブリッシャーレジストリです。

レジストリとは、システムプログラムなどが格納されているデータベースのことを指します。

ここには、広告主が信頼できるようなウェブサイトのドメインのホワイトリストが格納されます。

このレジストリは、イーサリアムブロックチェーンスマートコントラクトに基づいており、独自トークンADT保有者が投票することによって、レジストリに格納される優良ドメインが決定されます。

また、アドフラウドが疑われるドメインの発見のために、200以上のデータポイントの採用、既存のセキュリティー会社との連携体制も整えられています。

さらに、このプラットフォームでは、広告を掲載するための優良ドメインの判別、投票だけではなく、広告代理店を介さずにATDトークンでの決済が可能となっています。

Brook氏は一貫して、デジタル広告業界「分散型」という新しいコンセプトをもたらしたという点を強調していました。

このプロジェクトは日本上陸することも発表されており、今後の動きにも注目です。

Kyber Network

Kyber Network

次に、仮想通貨の流動性を高めるプロジェクト「Kyber Network」からエバンジェリストのTaisuke Hory氏が登壇しました。

「トークン世界」の課題

Hory氏は、「我々は様々な仮想通貨が広がるトークン世界に生きているようなものだが、それぞれの仮想通貨プロジェクトは独立している。」「トークンの種類は多いものの、互換性が低いため、独立した島国で構成された世界のようだ。」と述べ、異なるトークン間での取引のしづらさを指摘しました。

現状、ICOに参加するためにはイーサリアムを保有していないとトークンが購入できなかったり、eコマースを利用して仮想通貨で買い物をしようとしても対応トークンが限られたりするという問題があります。

用途によって保有トークンを他のトークンに換えるのはとても不便です。

それぞれのプロジェクト運営側にとっても、多くのトークンに対応できるようにシステムを整備するのは簡単なことではありません。

「トークン世界」を繋げる

そこでKyber Networkでは、このような用途ごとに独立しているトークン世界を、通貨流動性を高めて統合することを目指しています。

Kyber Networkのメインの機能を簡単に言うと、トークン間の両替です。

主に、個人向けで提供されているサービスはKyber Swapで、分散型取引所の機能を持っています。

分散型取引所とは、取引所の機能が直接ウォレットについているようなツールです。

取引所での管理者が運営会社ではなくトークン保持者であり、秘密鍵を自己管理することができる点や、トークンを取引所からウォレットに移行する作業が不要であることが特色です。

自分のウォレットで、数回のクリックだけで所有トークンを他のトークンに替えることができます。

トークンを両替するプロセスの中で、それぞれの通貨の複数の取引所での価格を比較、精査し、Kyberで採用される価格が決定されます。

取引所にリスティングされていないトークンについて質問が出た際、Hory氏は専用のプールに申請されることで受け付けられると説明していました。

一方、個人というよりはプロジェクトのデベロッパー向けに展開されているのがKyber Developerです。

異なるトークン間の両替をプラットフォームやアプリケーションのバックグラウンドで行うことができます。

例えばこの機能をeコマース決済に活用すると、決済手続きの裏で、購入者の様々な種類のトークンを、運営側にとって扱いやすいトークンに変換することができます。

購入者と運営側の双方に負担をかけることなく仮想通貨決済を行うことができるのです。

Kyber Developerは、他のプラットフォームやアプリケーションに、速く簡単に統合できるようになっています。

カイバーネットワークによる分散型取引所

Ledger

Ledger

続いて、Ledgerから創設者でありエバンジェリストのThomas France氏らがフランスからオンライン中継で登壇しました。

Ledger  はフランスの大手コールドウォレットメーカーです。

インターネットに繋がれていないことからハッキング被害の心配がなく、安全性が高いことから多くの仮想通貨投資家に支持されています。Ledger  はフランスの大手コールドウォレットメーカー

Ledgerからは、プロジェクト概要だけではなく、具体的な今後の事業展開の話が出てきました。

カストディサービスを展開

日本の野村ホールディングス株式会社と提携していることに触れ、仮想通貨のカストディサービスの展開を視野に入れていると話しました。

カストディサービスとは、資産の保管や売買に伴う決済を、機関投資家などの顧客の委任に基づいて行うサービスのことです。

現段階ではLedgerは個人投資家中心に利用されているため、より高額な仮想通貨を安全に扱うことができるように新たな取り組みがなされているようです。

コインベースが仮想通貨のカストディサービスを開始。野村HDなども提供に向けて始動

12月にスマートフォン版のソリューション発表か

プレゼンテーションの終盤、現状ではパソコンでしかLedgerを使うことができないことから、スマートフォン向けデバイスを開発する可能性はあるのかという質問が出ました。

それに対して、今年中、12月までに何らかのソリューションを出すと回答されました。

スマートフォンを使ってのコールドウォレットの管理が可能になれば利便性がかなり向上しますね。

まとめ

今回のミートアップでは、多くの仮想通貨投資家に馴染みのあるトピックから、仮想通貨業界の大きな課題の解決を目指すトピックまで幅広く扱われました。

それぞれの海外発のプロジェクトが日本でどのように展開していくのかに期待がかかります。

参考:

“https://www.metax.io/”

“https://adtoken.com/uploads/white-paper-jp.pdf”

“https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000031637.html”

https://www.weblio.jp/content/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA

https://kyber.network/

“https://www.nomuraholdings.com/jp/news/nr/holdings/20180515/20180515.pdf”

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