時価総額から見える仮想通貨の魅力
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2017年6月現在の仮想通貨の種類は800種類以上
「今、仮想通貨を買っておけば必ず値上がりする!」
そんな話を聞いて仮想通貨を購入しようかと考えている人もいることでしょう。
しかし、仮想通貨の種類が意外と多くて驚いた人も多いのではないでしょうか。
2017年6月現在、取引所で取引されている仮想通貨の種類は800種類以上あります(http://coinmarketcap.com/参照)。
しかし、その中でも第1位のビットコイン、2位のイーサリアム、そして3位のリップルがシェア全体の8割以上を占めています。
全体に占める割合は低いですが、4位以下にも「ネム」「ライトコイン」「ダッシュ」「ビットシェアーズ」など、有名なコインがランクインしています。
ビットコインの時価総額の推移
時価総額第1位のビットコインのシェアの推移を見てみましょう。
2013年4月、ビットコインが仮想通貨全体に占める割合は94パーセントでした。
この当時はアルトコインの種類が7種類しかありませんから、仮想通貨=ビットコインという時代でした。
7種類しかなかった仮想通貨は、わずか1年後の2014年の春には、237種類に増えています。
そして2年半後の2017年1月には、アルトコインは600種類以上にまで増えました。それでも、依然としてビットコインが仮想通貨全体の80パーセント以上を占めていました。
しかし、わずか半年後の同年2017年6月には、ビットコインのシェアは40パーセント台にまで落ちてしまいました。それは、なぜでしょう。
ビットコインのシェアが減ったということは、ビットコインの価格が下がったから、と思われがちですが、実はそうではありません。
ビットコイン自体の市場規模は拡大し続けていますし、1ビットコインの価格も右肩上がりです。
1ビットコインの価格は2017年1月に963ドルだったものが、同じ年の6月には2885ドルまで上昇しました(半年で約3倍)。
では、ビットコインのシェアが減少したのはなぜなのでしょうか?
ビットコインのシェアが一気に減少したのはなぜ?
仮想通貨全体の市場規模は2013年〜2017年の1年で約20倍に拡大しています。
ビットコインのシェアが減った要因の1つは、アルトコインの種類が増えたことで、ビットコインが占める割合が減ったということです。
しかし、種類が増えたとはいえ、信頼性の確立されていない新しい通貨は時価総額が低いため、仮想通貨の種類が増えたことによるビットコインのシェア低下に与えた影響は限定的です。
それよりも大きな要因が、ビットコインに次いで時価総額が大きいイーサリアムやリップルの価格が大幅に上昇したことにあります。
下の図のように、2017年1月にはイーサリアムのシェアは全体の4パーセント、リップルはわずか1パーセントでした。
しかし、わずか半年後の2017年6月には、イーサリアムのシェアが約7倍の29パーセント、リップルのシェアは9倍の9パーセントまで上がっています。
次に、シェア第2位のイーサリアムの価格の推移を見てみましょう。
2017年1月には、1ETHは8.26ドルでしたが、3カ月後の4月には50.68ドルに上昇し、その2カ月後の6月には341.88ドルと、わずか半年で40倍弱にもなりました。
もし、2017年1月にイーサリアムを購入してそのまま所有していたら、40倍に増えていたことになります。
株やFXをやったことのある人なら知っているでしょうが、半年で40倍にもなる金融商品などめったにありません。
しかし、そのようなことが起きてしまうのが、成長段階にある仮想通貨の市場なのです。
ちなみに、さらに遡った2016年1月は1ETHが0.95ドルでした。
もし、イーサリアムの初期に買ってそのまま持っている人がいたとしたら、約340倍になっていることになります。10万円買っておいたら3400万円、100万円買っておいたら3億4000万円になっているということですね。
イーサリアムのシェアが増加したのはなぜ?
イーサリアムは、ビットコインにはない「スマートコントラクト」という機能を備えたコインです。
2017年に入ってから、この「スマートコントラクト」の技術を使ったさまざまな新しいサービスやコインが次々と発表されるようになり、上場前のコイン販売(ICO、またはクラウドセール)で10億円以上を調達するサービスも多数現れるようになりました。
今日、ICOで10億円以上を調達するコインがICO後に上場し、そのとたんに何十倍もの価格になる現象はもはや珍しいものではありません。
しかし、こうした新しいコインが注目を集める一方で、コインの種類が多すぎて、コインの良し悪しの判断が難しくなっているという現実があります。
実際、ICOで資金を調達しても、サービスを実際に開始せず、プロジェクト自体がなくなってしまったり、流通量が少なくて取引所で取り扱いが中止されてしまったりするようなコインもたくさんあります。
とはいえ、現在新しく生まれるコインの多くがイーサリアムを基本技術として使っているという事実から、イーサリアムに大きな将来性を感じている人が多いことは、イーサリアムの価格の上昇から見ても間違いないでしょう。
リップルの価格が上昇したのはなぜ?
時価総額のシェアを拡大したのはイーサリアムだけではありません。
シェア第3位のリップルも負けていません。
リップルはイーサリアムよりも前の2013年から取引が開始され、仮想通貨の中でもかなり前からある仮想通貨ですが、長い間、価格の横ばい状態が続いていました。
しかし、2017年の1月から同年6月までの半年で、約44倍に上昇しています。
特に注目すべきは、3月の0.006318ドルから1カ月で0.024843ドルと約4倍になったタイミングと、4月から5月にかけて約4.4倍になったタイミングの2つです。
実は、仮想通貨の価格が上昇するタイミングは新聞などの報道と大きな関わりがあります。
3月31日の朝刊に、国内最大手の三菱東京UFJ銀行が2018年からリップルのブロックチェーン技術を使った国際送金サービスを開始するというニュースが掲載されました。
その日からリップルの価格が急騰したのです。
2回目の高騰は、みずほ銀行などの国内大手銀行の連合体がリップルなどのブロックチェーン技術を使った送金システムの実験を始めるというニュースが出た後に起こりました。
リップルは分散型台帳とIOUという仕組みを使い、わずか数秒で国際送金ができるシステムです。
リップルは、ビットコインやイーサリアムのように完全な分散型ではありません。ゲートウェイという銀行のような機関を介する必要があるため、ビットコインやイーサリアムと比べて既存の銀行システムに導入しやすいという特徴があります。
仮想通貨全体の時価総額の推移と展望
仮想通貨全体の時価総額の変化を見てみると、2013年4月の16億ドル(約1760億円)から、2016年には84億5000万ドル(約9295億円)、2017年4月には353億ドル(約3兆8830億円)、そしてわずか2カ月後の6月には1092億ドル(12兆120億円)と驚異的なスピードで上昇しています。
ちなみに、全世界の法定通貨の時価総額は、約80兆ドル(約8800兆円、http://www.marketwatch.com/story/this-is-how-much-money-exists-in-the-entire-world-in-one-chart-2015-12-18参照)といわれています。
現在の仮想通貨の時価総額は法定通貨と比べると700分の1程度です。
成熟しきった法定通貨の市場と比べると、仮想通貨の市場はまだまだ伸びしろがあるといえます。
2017年に入り、各国の多くの金融機関や企業・政府で注目が集まっている仮想通貨やブロックチェーン技術ですが、一般ユーザーにはまだ馴染みが薄いといえます。
逆にいえば、一般の人々に使われるようになれば、現在よりもさらに市場が拡大する可能性があります。
時価総額は仮想通貨界の動向を知る指標
株式を持っている人が毎日日経平均株価をチェックするように、仮想通貨を持つ人は時価総額のランキングを毎日チェックするべきでしょう。
その理由は、仮想通貨の時価総額ランキングが仮想通貨界の動向を知る上での大切な指標になるからです。
例えば、コインの順位が大きく下がった場合は、もしかしたらその仮想通貨やサービスに欠陥やハッキングがあったのかもしれません。
あるいは、急に順位を上げたコインがあれば、そのコインが新しい技術を発表したり、実用化に向けた動きを見せたりしたのかもしれません。
価格に注目するだけではなく、価格の変動の背景に何があるのかといった情報を集める姿勢も、仮想通貨で取引をする上では非常に大切です。
また、取引所で知らない種類のコインを購入するときや、他人から「このコインいいよ」などと勧められた場合は、そのコインが時価総額で何位くらいにランクインしているのか必ずチェックするようにしましょう。
1つの目安として、順位が低い(50位より下など)の場合は、そのコインが将来値上がりするのかよく考えたほうがいいでしょう。(もちろん、低い順位から価格を上げてくるコインもたくさんありますから、一概に順位が低いコインは買わないほうがよいとはいえません)
※仮想通貨(暗号通貨)の投資にかかる最終決定はご自身の判断でなさるようお願いいたします。