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ビットコインより99%帯域幅削減。効率良い仮想通貨ボールト(Vault)、MIT研究チーム開発

2019.01.31
ビットコインより99%帯域幅削減の効率良い仮想通貨ボールト(Vault)、MIT研究チーム開発

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MITの研究チームが、仮想通貨ネットワークに参加してトランザクション検証をするのに必要なデータを、従来の仮想通貨に比べて99%も劇的に減らした新しい仮想通貨を開発しました。

ブロックチェーンで成り立つ仮想通貨の非効率性に着眼

ビットコインのような人気のある仮想通貨は、ブロックチェーン上に構築されたネットワークで、一連の個別ブロックにフォーマットされた金融台帳ひとつひとつがトランザクションデータを持っています。

仮想通貨ネットワークに参加する新規ユーザーは、何十万もの個々のブロックからすべてのトランザクションデータをダウンロードして保存する必要があります。また、サービスを利用したりトランザクションを検証する為これらのデータを保存しなくてはなりません。これが処理を遅くしたり、計算上いくらか非実用的にしたりします。

2019年2月24日から4日間開催されるシンポジウム(Network and Distributed System Security Symposium)で発表予定の論文で研究者たちが紹介したものは、ネットワークに参加するユーザーに全トランザクションデータのほんの一片だけダウンロードさせるだけでよいVaultという仮想通貨です。

Vault: Fast Bootstrapping for Cryptocurrencies
としてエントリーされています。

Vaultは駄洒落

また、スペースを占有する空っぽのアカウントを削除したり、ネットワーク全体で分割および共有されている直近のトランザクションデータのみを使用して検証できる技術が組み込まれているので、個々のユーザーのデータストレージと処理要件を最小限に抑えられるといういうことです。

「論文のタイトルは 駄洒落です。Vaultは金庫室という意味で、お金を貯めることが出来る場所ですが、ブロックチェーンもネットワークに参加すればブロック上に「金庫室」を作ることが出来ます。」

と、MITのCSAIL(Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory)大学院生のDerek Leungは話し、ブートストラップするときは、過去のブロックひとつあればこの先のブロックを検証できるので、その途中にある全てのブロックをスキップすることで、多くの帯域幅を節約できると付け加えています。

Bitcoinの99%、Ethereumの90%

実験では、Vaultはネットワークに参加する帯域幅を、Bitcoinに比較して99%、Ethereumに比べて90%まで削減しました。ちなみにEthereumは今日で最も効率的な仮想通貨と考えられています。

また、Vaultはそれだけ削減されていても全てのノードが全トランザクションを検証することを保証し、既存の仮想通貨に匹敵する強固なセキュリティを提供する、ということも重要な点です。

このシステムはAlgorandと呼ばれる新しい仮想通貨ネットワークに構築されており、これまでの仮想通貨よりも安全で、分散型でさらにスケーラブルということです。

ブロックチェーンという新しいテクノロジーが世に出てから目覚ましいデジタルマネーの改革が繰り広げられていますが、この開発によってさらに前進してくのかと思うとわくわくしてきます。
論文の発表によってマーケットに何かしらの影響が出るのかにも注目していきたいです。

参考サイト:
“https://www.business-standard.com/article/news-ians/mit-researchers-new-cryptocurrency-is-faster-more-efficient-119012700418_1.html”
”https://www.algorand.com/”
“https://www.ndss-symposium.org/ndss2019/accepted-papers/#”

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